労働法

【労働者必読】雑誌紹介「本当は怖い働き方改革」会社の正体教えます

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コロナショックで経営側も労働者側も厳しい日々が続いていますね。
元社会保険労務士、負けない派遣社員Eはというと、前派遣先を退職し、GW明けの新派遣先での仕事開始に備えています。
数年ぶりにスーツでの仕事になりそうで上から下まで全部新調しないとです。

今回はある雑誌記事を紹介したいと思います。


「週刊ダイヤモンド」 4/18号、このビジネス雑誌はもうバックナンバーですが全然ネットで買えますし、なんならEの近所のツタヤにはまだ並んでいました。
この中に衝撃的な記事があります。
『同一賃金同一労働「言い訳マニュアル」』という記事です。

「怖い」記事紹介

他にこんな記事もありました

テレワークが導く「新型リストラ」
(前文略)このテレワーク、意外な副産物を生み出した。レガシー企業にとりわけ多い「働かないおじさん」をあぶり出したのだ。(中略)PCの画面に表示される彼のステータスは一日中、ずっと黄色。テレビ会議などを行うこのコミュニケーションツールで、黄色は「退席中」を意味する。(中略)「彼はほかの社員に『退席中』のステータスが見られているってことを知らないんだろうね」と同僚はあきれる。』

出典:週刊ダイヤモンド 2020 4/18  28ページ~

この記事では「MeeCap」というキーボードやマウス操作をすべて記録しデータ分析するソフトウエアを紹介しています。
MeeCapの紹介HPはこちら

なるほど、これを使えばテレワーカーの労働実態が把握できて、デジタル音痴の「働かないおじさん」が完全に可視化されてしまいますよね。

いやー、「怖い」ですよね。サボれません。
そして衝撃の記事、
『「同一賃金同一労働」言い訳マニュアル』です。

この記事が衝撃的な理由

解説します。
何が衝撃かというと、この記事は元社会保険労務士Eが先日の記事で懸念していた、同一賃金同一労働の法改正が抜け道だらけのザル法でしかないということを白日の下に晒した記事だからです。
しかも、経営者だけでなく多くの労働者も読んでいるはずの雑誌でそれを世の中に大っぴらに表明しているわけですから

Eは先日の記事の中の「待遇差をつけた場合の根拠が単なる会社の主観である」の章でこう書きました。

”(正社員と非正規労働者に待遇差があった場合)この待遇差の基準についてはどこにも書かれていません、数値もなし、つまり制限なしです。同一労働同一賃金のバイブル、厚労省のガイドラインにも書かれていないんです。会社にこれが合理的だと説明されてしまえばそれがまかり通るわけです。”
『同一労働同一賃金の現実 コロナ不況下での非正規労働者の待遇改善』(2020/4/23)

背景は、今年の4月から大企業で導入された同一賃金同一労働の法改正の規定です。
正規と非正規で仕事内容が同一なら待遇は同一(均等)、仕事内容が同一でなくても均衡した待遇にしなければならない。
労働者が均衡でないと感じた場合、会社に説明を求めることができ、会社には説明義務がある、とされたからです。

この記事は、大物弁護士がひとえに企業の利益ためだけに作った労働者からの説明義務を果たすための「言い訳マニュアル」を紹介しています。

記事『同一賃金同一労働「言い訳マニュアル」』の内容

最初の章のタイトルにこうあります。

大物弁護士が企業に進言
待遇差是正は「時期尚早」

『経営者、人事労務担当者が先ず備えるべきこと。それは非正社員から正社員との待遇格差について説明を求められたときの対応だ。説明ができなければ、行政に企業名を公表されかねない。』

出典:週刊ダイヤモンド 2020 4/18  48ページ

この4月の同一賃金同一労働のスタートに向けて多くの大企業で非正規労働者の待遇ばかりでなく比較対象となる正社員の待遇も見直しました。
見直しの基準となったのが厚労省のガイドラインです。その中にこの待遇差は合理的、これは不合理と具体例が数多く挙げられています。

Eが過去の記事で述べたように、通勤手当や家族手当など説明義務を果たしても法的に勝ち目のない、とはいえ金額的に瑣末な待遇改善は実行した企業が多いかと思います。
これによって待遇改善を期待していた非正規労働者をある程度納得させられます。

一方、この法改正の主眼である基本給・賞与ですが、Eは大企業ではほとんどが非正規労働者はそのまま、少数の企業で正社員の基本給・賞与の引き下げが行われたと思っています。

法改正の理念に従って非正規の賃金を上げた企業も中にはあるとは思いますが、そういった企業の多くはコンサルを雇っていないなどの理由で情報に疎いか、情報の分析ができていなかったかだと想像しています。
情報というのは、Eが前述の記事に書いた「待遇差は説明さえすればまかり通る」ということです。

この記事でも大物弁護士の主張は要するに、ガイドラインは無視しても構わない、と言っています。それらしい説明をして当面を乗り切っておけばいい、と。

では、当面とはいつまで?
二つ目の章のタイトルにこうあります。

夏前めど最高裁判決下る日本郵便事件
大企業の「待遇格差」基準に

『正社員と非正社員との「待遇格差」をどこまで是正すべきか。その答えとして最も注目されるのが、5月の連休明けから夏前をめどに最高裁の判決が出る日本郵便の裁判だ。』

出典:週刊ダイヤモンド 2020 4/18  52ページ

日本郵政は雇用者の4割弱を非正社員が占めていて、その人数も一般の企業とはけた違いです。
罰則がない厚労省のガイドラインは当面守る必要はない、と切り捨てられましたが、最高裁の判例となると大きな拘束力が生じます
判決と同じポイントで従業員に訴えられた場合、まず勝てないからです。
判決内容が世の中の正規と非正規の待遇差の新たな基準となるわけです。

大物弁護士はそれまで待遇を上げずに持ちこたえろ、と主張しているわけです。
ではそれまでに従業員から待遇格差の説明を求められたら?

そのために大物弁護士事務所の資料を基にダイヤモンド編集部作成の『言い訳マニュアル』が紹介されています。
基本給、賞与、退職金、その他の手当と項目に分けて書かれていますが、おおむね、

正社員→長期間働くから(待遇が上)
非正規→働くのが限られた期間だから(待遇が下)

という言い訳で落ち着いています。

ここまで読むと、なんという非正規労働者を敵に回す悪魔のような記事か、と思いますよね。
日本中の経営者に待遇を上げなくてもいい抜け道を伝授しているわけですから。

ご安心ください、
この10ページある記事の最後の2ページには非正規労働者に希望を与える内容が記載されています。
その部分は是非、この雑誌を書店で手に取るなり、実際に買うなりして自分で読んでいただければと思います。
ヒントは「職務給シフト」です。

ともあれ、
間もなく行われる日本郵便の最高裁判決は日本の労働市場を少なからず動かすでしょう。
過去の高裁の判決では非正社員に有利となっています。
超有名企業で起こった事件や裁判判決は労働者の待遇改善の社会的な動きのきっかけになってきました。
期待しましょう。

まとめ

考えてみてください、この雑誌記事で紹介された大物弁護士の主張は100%企業側の利益のためだけのものでしたよね。これが彼らの行動原理です。

Eは常々言っています、
企業は国が労働者の待遇改善を促すような施策を行っても簡単には労働条件を上げようとはしません。労働者側からのコントロールは徹底して排除しようとします。
まるで、労働者は敵であるかのように。
そして、Eにとってそんな会社や経営者はです。

Eはこの習性をよく知っているから大物弁護士が言うような抜け道を多くの企業が取ることを予想していました。
待遇はそのままで説明を求められたらとりあえずこれは合理的だと説明しておく、これはそこそこ能力のある社会保険労務士ならすぐに思いつく方法です。

社労士や弁護士にとって企業コンサルは大きな収入源です。彼らは企業側への法的規制がある度に企業を守るための知恵を絞っています。
かつてはEもそれに加担していました。

有名な孫子の兵法の言葉「敵を知り己を知れば百戦をして危うからず」。
会社が労働者を敵のように扱う以上、会社は労働者にとって敵です。
そして多くの労働者は会社(敵)の行動原理、習性を知りません。

そもそも会社は普段まるで自分の会社の労働者の味方であるかのように振る舞っています。社訓だかなんかで従業員は家族、だとかと言っておいて裏では社員、とりわけ非正規の賃金をギリギリまで節約しようとしています。

そう聞いて、自分の会社はそんなことない、ちゃんと従業員全員のことを考えてくれている、と思った人もいるでしょう。
残念ながら99%幻想です。
その証拠をEはたくさん見てきました。自分が在籍した会社もです。このことは今後の記事で紹介する機会があるかと思います。

実際、同一賃金同一労働が始まると聞けばついつい「待遇が上がるかも」と期待した人も、結果を見れば納得いただけるんじゃないでしょうか。

これからもEのブログを読んで会社と対等に戦える知識を増やしていきましょう。
元社会保険労務士Eは常に労働者の味方です。
ではまた!

全労働者必読です!

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