「負けない」労働法 労働法

労働者のための「負けない」労働法② サービス残業、もうやめましょう  

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今の派遣先を今月末で辞めることが決まっていて、退職まであと3日となったEです!

最近では少なくなってきましたが、職場に自ら好んでサービス残業をする人っていませんか?

困ったことに、自分だけでするならまだしもサービス残業をするのが当然と言わんばかりに周りの同僚にも強要してくる人間も見たことがあります、というか程度の差はあれ、どこの職場にも一人はいました。

何が楽しくてサービス残業なんてするの?
そういう人に巻き込まれたらどうすればいいの?

今回はこの辺を語ります。

なぜサービス残業なんかをしようと思ってしまうのか?

まず、サービス残業の本質を確認しましょう。

例えば1日8時間の労働力を使用者(会社)に提供して8,000円を受け取る。
労働契約がそうなっていたとします。
これ何の変哲もない普通の契約関係ですよね。

1個1,000円のものを、1日に8個作って売る人がいたとします。
普通8個渡せばいいものを10個作って相手に渡すことを始めました。
強制されてもいないのに2個余分に渡すとしたら、何かの見返りがあるからやるわけですよね。

ま、買い手あってこそ売れるわけですから、他の売り手との競争もあるからおまけをつけて安売りする場合もあるでしょう。
他の売り手よりも買ってもらえるように。

すると何が起こるかというと。

他の売り手も安く売り始めます。
あいつが2個余分に売るなら俺は3個売る、と。

これがどんどん広がってほとんどの売り手が安売りするもんだから、買い手はウハウハですよね。
エスカレートして、休みの日にも売りに来て報酬をもらわずに商品を置いていく売り手まで現れ始め、歯止めが利かなくなっていきます。

この状況、何が起こっているか理解していますか?

ほら俺の商品(労働力)って、こんなに安っすいんですよ~

と言っているわけですよね。
確かに、そりゃあ安いでしょうね~
1個1,000円だったものが700円や600円、500円へと単価が下がっていくわけですからね~

労働力の大安売りが始まる時のパターン

この労働力の大安売り、始まるパターンがいくつかあります。

買い手側(会社)が安売り(サービス残業)をもとめてくる。
 これ、そこらじゅうで起こっていますよね。
 例えば、
 始業時間前(または後)に職場の清掃をする。
 始業時間前(または後)に朝礼をする。
 職場を出発して現場に着いた時間が始業時間にされる
 定時までに終わらせて、と終わるわけのない仕事を振られる

 など、枚挙にいとまがないとはこのことですよね。

売り手側が頼まれてもいないのに、安売り(サービス残業)を始める。
 理由としては、
・自分の意識の高さとか責任感の高さを上の人や周りの同僚に(意外と同僚の場合多し)見せつけたい。
・仕事が他の人より遅くて罪悪感があるから時間外に仕事をして人並みにできている風を装いたい。
・その仕事、または職場がマジで好きで就業時間が過ぎても仕事していたい、職場にいたい。

などなど、これも様々ですね。

要するに、放っておくと職場というものはサービス残業が自然発生するものと思った方がいいようです。

では、誰かが職場でサービス残業を始めて他の人にも強要しだしたら。
または、既にサービス残業が当たり前の状態になっていてやらざるを得ない状況にあったらどうすればいいでしょうか。

上の人が止めなければどうにもなりません

こればかりは力関係次第です。
世の中、特に職場と恋愛は力関係で多くのことが決まってしまいます。

職場で自分より上の人間がサービス残業を始めてしまって下の者にも強要してきたすればなかなか抵抗できるものではありません。
ホントに抵抗しようとすれば法的手段を使うしかなくなり、職場にいづらくなってしまったりします。

他に今よりいい職に就けそうにないから仕方なく従う。
これも結局、他の職に就けそうにない、という弱みから力関係に屈しているわけです。

もちろん職場で最強の力を持つ経営者であればサービス残業を止められるし、本来法的にも止める義務があります。

これはEの前派遣先がそうでしたが、実際コンプライアンスを気にする上場企業ではサービス残業が皆無でした。
直接雇用は正社員から期間工、パートまで5分単位の給料計算で、みんな定時になると5分すぎる前にタイムカードを押して帰っていました。
これは経営側が逆にサービス残業の発生を徹底的に抑え込んでいるからです。

でもご存じの通りそうでない企業はあまりにも多いですよね。
経営者が止めないのなら職場で力関係が上の人が「サービス残業はやめよう」といえばいいんですが、そういうケースも稀ですよね。

結論、力関係が下の労働者にはどうにもならない。

サービス残業に悩まされない方法とは

これはズバリ、派遣社員になることですね。
これについては生きた証拠がここにいます。
Eは今月で契約終了になる現派遣先できっぱりとサービス残業を拒絶しました。

というより、タイムカードのない職場でEの出退社を現認して勤務時間を報告するチームリーダーが実際に残業した時間より少なく報告しようとしていたのを、やめさせました。

彼は典型的な、あたかも自分が職場の全責任を負っているかの如く振る舞いたがるタイプ。
自分たちの手際がよくなかったから時間がかかった、的なよくある借りてきた仕事の倫理観をもちだしてきました。

Eは故意に残業代稼ぎに業務を遅らせたわけでは100%ないし(それよりも早く帰りたいし)、一度曖昧にすると際限がなくなることを経験上知っているから断固として抵抗しました。
最後には「少なくつけてもいいけど、その場合争うことになります」と告げて帰ると、結局実際の時間で報告していたようで、その後も実際より少なく報告されることはありませんでした。

つまりEは力関係で屈することはなかったわけです。

職場の力関係の中で、派遣社員って決して低くないって知っていましたか?

Eが圧力に負けず、正当な主張を通せた理由はそこにあります。
今回のように現場で個人対個人で圧力をかけられようと、間に入っている派遣会社を通じて派遣先の企業に抗議することもできます。

これもありがちですが、派遣会社が取引先である派遣先企業に遠慮して主張できなかったとすれば、まさに法的手段で争うこともできます(例えば内容証明郵便で不払い分の給与を請求する、労働基準監督署に通報する、など)。

だって、派遣社員だから働きにくくなれば他の派遣先に移ればいいだけですから。

これが派遣社員の最大の強みです。
何を隠そう、今回Eが負荷の大きすぎる仕事量と長時間労働が嫌で、今月で契約終了にして他の派遣先に移ることを決めたのも、正にこの強みを行使したからに他なりません。

言い換えれば、独自の倫理観だか何かで残業時間を少なく報告しようとしたチームリーダーは派遣社員のEに力関係で負けたわけです。
(これこそがこのブログのタイトル、『負けない派遣社員』の由縁です)

では、正社員や簡単に職を捨てられない立場の労働者はどこまでも耐えるしかないのか?
そんなことはありません。

労働基準監督署は労働者の味方です

まず、今回Eがやったように直接改善を要求することが第一歩だと思います。
鉄メンタルを持つEは一人でも、周りに聞こえる大きさの声でも(わざと周りに聞かせましたが)抗議や反論ができますが、勇気がない人は仲間を募りましょう

就業時間後の長いミーティングがあったらまずは短くしてもらうところから始めましょう。
不当なサービス残業の程度がどんなにひどくても職場を変えられない、改善を要求することで職場にいづらくなることは絶対に避けたい(十中八九いづらくなるでしょうから)人は、残念ながらタイミングを待つしかないかもしれません。

ここが世の中での「力関係」という部分でしょうね。

しかし経営側が開き直ってサービス残業を放置、または強要している場合は戦うべきです。
Eは実際に労働基準監督署に通報してある程度の改善がされたことがあります。
これについてはいつか詳しく記事に取り上げる予定です。

簡単に言えば、「匿名で通報する」、「ランダムな労働調査という名目にしてもらう」。
これをすれば数日後に労働基準監督官がやってきます

ただ、これでは弱いです。
実態につながる証拠を強制的に提出させる、というところまではやってくれません。

Eの場合は水面下で従業員数名で組んでまずは匿名の形でEが電話で通報しました。
最後には辞めた同僚に証拠書類を渡して実名で通報してもらいようやく経営者が呼び出されるというところまでこぎつけました。

とにかく労働基準監督署は親身になって聞いてくれます。
一度相談してみてはどうでしょうか。


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まとめ

契約、法律、世間の常識、人と人の関係にはいろいろなものが介在していますが、結局一番大きいものは力関係だと思う今日この頃です。

力関係って、立場が弱かったとしてもその人が本気でどうにかしたいと思えば変えられます。
利用できる様々なものを味方にすることでも変えられます。

世の中には何十年もわけのわからないサービス残業をはじめ、不当な労働条件に耐えている人も少なくはないでしょう。
このまま退職の日まで耐え続けるんでしょうか?

毎日繰り返される10分の無給のミーティングがなくなるだけでもかなり生活が改善されますよね。
そろそろ重い腰を上げる時ではないでしょうか。

次回をお楽しみに!








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