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人生を変えたアジア放浪旅行 赤道直下シンガポール編③ 音楽の専門家に出会う!

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20年前のアジア放浪旅行
タイから南下して行き着いた国、シンガポール
次の行先に迷いながら、とりあえず航空券を買うために現地の人に旅行会社の場所を聞いてみる。
なんとその時の出会いがその後の人生を変えることになるとは。

というのも、この出会いによって海外移住を目指してあてもなく日本を飛び出て、後に台湾移住をするきっかけを掴むことができたのでした。
果たしてそれはどんな出会いだったのでしょうか。

前回の記事です。

現地在住日本人との出会い

ここまでを簡単に振り返ります。
シンガポールにたどり着いたものの、観光にもすぐに飽きて昼間はシンガポールの中心部オーチャードロードの高島屋にある紀伊国屋書店で漫画を立ち読みする日々。

シンガポールの次の行先は決まらないものの、航空券を買うために旅行会社HISの場所を知りたくて紀伊国屋書店で現地に住んでいそうな日本人に声をかけた。
というわけ。

ちょっと内気そうでEと同世代っぽい日本人ノリさんは「今、仕事中なんでここに連絡してください」と名刺を渡してくれました。
そう、彼は間違いなくシンガポール在住の日本人!
名刺にはシンガポール高島屋の中にあるノリさんの職場の名前が。

さっそく名刺にあった携帯に電話。次の週末にEが泊まっているブギスの安宿近くのショッピングモールで会うことになりました。

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ノリさん登場

ブギスにはブギスジャンクションというショッピングモールがあり、当時は「PARCO」の看板が掲げられていたり、「SEIYU」というスーパーがあったりと日本資本によって建てられたショッピングモール。
その後、2005年にパルコが地元企業に売却して内装も様変わりしたそうです。

20年前の雨のブギスジャンクション 撮影:E



ノリさんが待ち合わせ場所に現れて、モール内のカフェに。
土曜日の午後、この旅で初めての現地在住の日本人との会話。

Eはタイからシンガポールまでバックパッカーの放浪旅行をしている、と自己紹介。
この日ようやく明らかになったノリさんの人となりは、

・思った通りEと同世代
音大を出てシンガポールで音楽教育に携わっている
・独身一人暮らし
・日本の関東地方出身
・自分は日本社会は合わない、とのこと
・シンガポール在住約一年
・シンガポールの前に台湾に住んでいた

と、明らかに海外指向のある人で台湾に住んでいたこともあり。
海外指向の理由が日本が合わないから、と。
これ、Eと共通項ありです。
Eも日本を出た理由の一つが「日本の労働環境が厳しすぎるから」でした。

そんなノリさんとはとにかく話が合うのでした。
しかも音楽の専門家。特にピアノはプロの指導者です。
初めて会う音楽のプロ
興味津々でした。

Eも音楽は大好き。
小学生の頃から洋楽に興味を持ち、大学時代からは1950年代のジャズにのめり込み、時にはクラシックも聴く(マーラーの交響曲やラスマニノフのピアノ協奏曲が大好きです)というE。
とはいえ楽器はとにかく苦手で、高校生の時から長年取り組んでいるギターもなかなか進歩せず。

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音大卒とクラシックの専門家であるノリさんですが、普通に洋楽も(ヘヴィメタも!)日本の流行の音楽も聴くノリさんと、好きな音楽について語り合うのが楽しいこと。

また、子供の頃から音楽の才能があって、専門的な楽器の訓練を受けてきたノリさんに、どこが素人と違っていてどんな練習をしていたのかなど、質問しまくったり。
もちろん、当初の目的であった旅行会社HISの店舗への行き方も聞きました。

この日からEはシンガポール滞在中、毎日のようにノリさんと会うようになります。
ノリさんの仕事が終わってから、仕事の合間とEが時間を奪うかのように、シンガポールのいろいろな場所で会っては様々な話題について話の花を広げるのでした。

そして、ノリさんとの交友はこの放浪旅行の後も続くことになります。

20年前のシンガポールの街角にて

音楽の専門家

音楽のプロとしてのノリさんがどういうタイプの音楽家だったのか、のEなりの勝手な評価はこうです。

・内気な性格的に人前で演奏を披露するのは苦手
(徹頭徹尾、自分の演奏を生で聴かせてくれなかった)
・ピアノのテクニック自体はまさにプロ
(本人の演奏の録音を聴いた)
・作曲やアレンジ、アドリブなどの創造性はあまりない
(アドリブ当然のジャズのような演奏は対応不能)
は専門外

なるほど完璧に音符通りに演奏する真面目なタイプ、といった感じ。
楽器の教育者となるとノリさんのようなタイプの方が向いているのかなと。

EもYouTubeでギターの弾き語りを披露したりしていますが、ギターも歌も自分の演奏能力(マジで低いです)の範囲内で基本的に原曲を崩さずに演奏します。
作曲も試したことは何度もありますが、まともな作品を作れるには至っていません。
プロのノリさんでも難しい作曲など、才能ゼロでただただ好きというだけで歌とギターを続けているEにはそうそうできるものではないのか、と納得です。

そんなノリさんの「さすが専門家、常人とは違う」と思わせるエピソードがあります。

音楽のプロの耳

ノリさんとはホントにいろいろな場所に連れて行ってもらいました。
過去記事で紹介した高島屋やホランドビレッジの中華料理店もノリさんの案内でした。


その他にも中華街、インド人街、アラブ人街、ボートキー、ナイトサファリと一人ではまず行かないような場所にも行きました。
そしてシンガポールの鉄板として多くの屋台が集まるホーカーでもよく食事しました。

ある日の晩ごはん、いつものようにノリさんとホーカーで食事。
場所は覚えていませんが割と規模の大きいホーカー。夜の一番にぎわう時間。
その頃は内気なノリさんもだいぶ打ち解けてきていました。

広いホーカーの客席のあちこちで音楽が流れています。
それぞれ別の音楽が何か所かで流れ、客のざわめきもあって様々な音の洪水の様相。
Eとノリさんも会話の音量は大きめ。

と、ノリさんが突然「あ、さっき言ってた曲。この曲好き」と言い出します。
曲名は忘れましたが、その少し前に二人の会話で話題に上った洋楽曲のことです。
「え?」とE。
周りの騒音に耳を澄ませますが、ホーカーの客のざわめきと複数、恐らくあちこちのスピーカーから3つか4つは流れている音楽のどれか一つさえ聴き取れません。

「いや~、わからないけど?」とE。
ノリさんは「え、これだよこれ」と指で中空を指して言いますが全くわからず。ノリさんは何でわからないの、とでも言いたげ。
そこでピンときたEは「それさ、普通の人間には聴き取れないよ」と。

そう、プロの音楽家の耳は一般人とは全く別物なのでした。
その最たるものがオーケストラの指揮者
彼らは何十人もいる奏者の奏でる音をひとつひとつ聴き分けることができるといいます。

指揮者がするトレーニングで、オーケストラがわざと原曲と違う音を出したりして、それがどこで誰が間違えたのかを指揮者が指摘するという間違い探しというものがあるらしいです。
時には音の違いだけでなく、あるべき音をわざと演奏しない、というものもあってプロの指揮者はそれをことごとく言い当てることができるのだと。

ノリさんは一流の音楽家ではないにしろ、それに近い能力を有しているのでした。
彼によると今食事している席から二つくらい向こうで流れている曲だそう。実際にその場ではどんなに耳を澄ませてもさっぱりわかりません。

幼いころから長年音楽の訓練を積んできたからか、はたまた天賦の才なのかはわかりませんが、Eには騒音としか思えないごちゃごちゃに入り混じった音の中から、ノリさんは明確にひとつの曲を聴き分けていたのでした。
ノリさんが指摘していたその曲は、結局Eには最後まで聴きとることはできませんでした。
音楽のプロの卓越した能力を目の当たりにした一幕です。

そしてノリさんとの会話はある方向へと進みます。
ノリさんがシンガポールに移住する前に住んでいた台湾についてです。

台湾在住歴

当ブログ記事を以前から読んでもらっている人はご存じのように、Eは台湾で日本語教師をしていたことがあります。
そして、前述のノリさんの人となりとして「シンガポールの前に台湾に住んでいた」と紹介しました。

もう誰もが気づいているかと思います。
そう、この人、ノリさんこそがEをその後の台湾移住に導いてくれた人なのでした。

さて、過去に台湾在住歴のある、現在シンガポールに住んでいるノリさんとの出会い。
そこからどうやってEが台湾に移住するという結果に結びつくのか?
それについては次回詳しく語ります!

当ブログ「台湾移住2003」シリーズの冒頭の過去記事です!

まとめ

この放浪旅行では何度か「その道の専門家」に出会うことができました。

ひとつの例として、バンコクの安宿では当時Eが大好きだったアメリカの小説家ポール・オースターの日本で出版されている小説のほとんど全ての日本語訳をしている東京大学教授の元で学んでいる、という東大の大学院生に会ったことがありました。
専門家の卵とはいえ彼の話も面白かったのを覚えています。

その他にも、まさに旅行会社HISで働いていた世界中の旅行事情に詳しい人、インドで鍼治療の修行をしている人などなど。
普段の生活圏では絶対に出会えないような人に会えるのが旅です。
近年、外国に行く度に日本人旅行者が減った気がして仕方ないです。

というわけで次回はEと台湾とを結びつけたいきさつについて語ります。
次回をお楽しみに!

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この小説はこの放浪旅行中に読んだ数多くの本のうちの最初の一冊でした。

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