派遣の心得

サバイバル時代の「負け」回避術 派遣社員のダメ行動に学べ② 現状維持バイアスは人生崩壊への第一歩

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さて、サバイバル時代の「負け」回避術第二弾です。
前回は「自信過剰バイアス」という認知バイアスの悪影響について、ある派遣社員のダメ行動を例に語りました。

ところで最近の日本、深刻な円安がさらに進行。
将来の個人の所得や財産の目減りを心配してか、政府は先週いきなり「資産所得倍増プラン」とやらを掲げ、国民の資産を貯蓄から投資に向けるべく動き出すようです。

これまで投資に無縁だったみなさん、今後NISAやiDeCoなどの投資優遇政策がさらに拡充されるであろう今こそ投資を始めましょう!

と、言われて「よし始めよう!」と動き出す人ってどれくらいいるものなんでしょうか?
多くの人は「貯蓄」という現状を維持するばかりで、貯蓄を投資に回すなんてとんでもない、恐ろしい、と敬遠して見向きもしないことでしょう。

今回は「現状維持バイアス」心理的な傾向ついて、Eが見た派遣社員の「ダメ行動」と共に紹介します。

前回の記事です。

現状維持バイアスとは

「現状維持バイアス」とは、ほとんどすべての人にある潜在的な心理的傾向です。
リスクを避けて、現状維持を選択する」という無意識の行動を表すものですが、このバイアスは人間が原始の時代から敢えてリスクを取ることをせず生命を守るために機能してきたとも言われています。

確かに、「現状維持バイアス」は現状に危険の兆候がない場合は効果を発揮します。
かつての日本、1990年初頭のバブル崩壊までの銀行利子が年6%以上もあった時代。
そんな状況であれば投資なんて必要ないですよね。もし株式などの投資でお金を年間6%伸ばせたとしたらかなりの大成功です。逆に損失を出すケースも普通にあります。

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「危機」の現状認識

現状維持バイアスは、現状に「危機」がなければ正しく機能します。
わざわざ余計な危機(リスク)に近づく必要がないからです。

さて、話は戻って日本の金融経済
バブル崩壊後の日本、資産を銀行に預け続けることに危険の予兆が起こりました。銀行利子の水準が大きく下落。
そして時は2016年頃、マイナス金利が導入されると銀行に100万円を預けていても利子が数十円しかつかないという明らかな資産の「危険」の状態に陥りました。
物価が上昇したり、円安になると額面が同じでも相対的に資産の価値が下がります。

ちょうどその頃、100万円までの投資なら(2015年当時)配当や利益が非課税となるNISAの制度が始まり、Eが2015年に株式投資を始めたことはこれまで何度か過去の記事で語ってきました。

そう、Eは危険には敏感な方でその当時すでに「資産を全部銀行に預ける」ことに危機感を感じていました。それに気づいたのにはあるきっかけがありました。

・Eはかなり以前から南国への移住を目指していた。
2002年頃には移住を目指してアジア放浪旅行をしていた。
2003年から台湾に移住して約3年住んでいた。
2015年に台湾、タイなどを久しぶりに旅行した。
・その時、十数年の間の各国の物価上昇を肌で感じた

2002年頃に訪れたアジアの国々、とにかく驚くのは発展途上国の物価の安さでした。
バンコクで泊ったエアコンなしのゲストハウスのドミトリーの宿泊料が一泊50バーツ(当時で約140円)。
台湾は台中市の中心部で住んでいたワンルームの家賃が月5,000元(当時で約17,000円)。
食べ物も日本と比較して圧倒的に安く、節約しながらの旅行なら日本で普通に過ごすよりも安く生活できるほどでした。

ところで約20年前の当時の日本の物価、恐らく多くの人が「物が安くなった」と感じていたんじゃないでしょうか。
その頃でした。それまで各社一律400円だった牛丼の並盛が290円に。マクドナルドのチーズバーガーが79円、ハンバーガーに至っては59円という衝撃の値下げがあったりしました。
100円ショップが急激に店舗数を伸ばし始めたのもこの頃です。

時は流れて2015年
Eは超ブラックな会計事務所を退職し、羽を伸ばしに昔懐かしいアジアの国々を久しぶりに訪れました。
と、行く先々で昔感じた物価の激安感がイマイチなくなっていることに気づきました。
バンコクのゲストハウスの宿泊料は当時の倍近く。タイも台湾も食べ物も当時のような激安ではなくなっていました。

日本はというと、確かに値上がりしているものもありますが、値上げの原因は輸入品の原材料の値上げによるものがほとんど。給料水準は皆さんご存じの通りこの20年ほとんど変わらず。
「え、日本って経済大国じゃなくなっているじゃん」と不穏な空気を感じていました。

そして今年、2022年に入っていよいよやってきた「ヤバい円安」
今回の円安の直接の原因は、アメリカなどが物価高の対策として政策金利を引き上げたのに対して日銀は相変わらずのマイナス金利を続けていることによるものですが、現在の円相場こそが日本経済の実力とみる人も多いかと思います。

と、経済の難しい話はともかく要するに「どんどん安くなる円で利子がほとんどつかない預金だけしているとヤバい」ということはわかるかと思います。
給料が上がらなければ生活費の負担が増えるだけで資産は減る一方
老後にもらえる年金も将来、減ることはあるとしても増えることは到底望めません。

投資に目を向けない派遣社員

ともあれ、NISAやiDeCoといった投資に対する税制優遇措置が始まって、Eのように投資を始めるきっかけになったという人は多いかと思います。
利益や配当にかかるはずの約20%の税金が非課税という制度は、あるとないではモチベーションが雲泥の差です。

Eも2015年にアジア旅行で感じた危機感からNISAでの株式投資を始めましたが、恐らく税制優遇制度がなければその時点では始めていなかったでしょう。
その後、同じく税制優遇のある確定拠出年金、iDeCoの存在を知るとすぐに楽天証券から申込書を取り寄せるなど、秒で始めたものでした。
そのあたりの経緯も、過去の記事で語っています。

いいものは他の人にも勧めるE

さて、NISAやiDeCoを始めたE。
始めてみてどうだったかというと、こうでした。

【(一般)NISAの運用結果】
実現利益はそれなりに出すものの、含み損のある塩漬け株も多く出す。
限界を感じ、2021年からはつみたてNISAに切換える。

【つみたてNISAの運用状況】
昨年、2021年から始めて米国株や全世界株を中心に限度額の月33,333円(年間40万円)を積み立てる。
初年度は順調に利益を出すが今年、2022年は世界的に株式市場が不穏で伸び悩み中。
1年半経過でここまで売却なし。最近の損益は5万円から10万円の間を行ったり来たり。

【iDeCoの運用状況】
開始初年度はいりなりコロナ禍で米国株を中心に暴落。
しかし各国の金融政策によりすぐにプラスに転換。今年、2022年に米国株の下落などがあるが、トータルでは2年半で20万円前後の含み益あり。

となっています。
ちなみに2年半が経過したiDeCoの楽天証券での運用状況がこれです。


最近動きが激しいですが、概ね20万円前後の含み益です。

ところで、「いいもの」って周りの人にも勧めてあげたくなるものですよね。

一般NISAって、はっきり言って誰にとっても「いいもの」であるとはとても言えませんでした。
Eは運よくトータルでは利益を出しているものの、損失を出した年もありました。

つみたてNISAに関しても、平常時なら米国株のインデックスファンドなどに投資している限り「いいもの」ですが、今年に関してはウクライナでの戦争などもあり簡単に利益が出せる状況ではありません。

しかし、Eの運用状況の例からいってもiDeCoに関してははっきり「いいもの」として他の人に勧められるものだと言えます。
Eは毎月 iDeCoの掛金を限度額の23,000円、給料振込口座から引き落とされています。
順調に運用益を上げていけば60歳以降に元本と運用益を受け取ることができます。
しかし、もしiDeCoをせずにこの毎月の掛金23,000円をただ銀行口座に置いておくだけだったら?

はい、毎年めでたく数円の利子がついていましたね。
その同じ額をただiDeCoの掛金に移すだけで資産が20万円ほど増えました(但し、iDeCoは60歳まで引き下ろせないので注意が必要、詳しくは過去の記事をどうぞ)。

iDeCoについての過去記事です。



従って、Eはこれまでの同じ職場で働く多くの派遣社員(但し40代以上)にiDeCoを勧めてきました。
その結果、iDeCoやつみたてNISAを始める人はおろか、証券口座を開く人すら一人もいませんでした

ごく最近、同じ職場のある派遣社員に、なぜか証券口座だけ持っていて一切運用していないという人がいました。
証券口座を作るくらいだから全く投資に興味がないわけではないだろうと思い、iDeCoとつみたてNISAを勧めてみました。

米国株のインデックスファンドは現状下落傾向ではあるものの、米国企業は長期的に見れば確実に成長が見込めるし円安も進むだろうから今は逆に買い時、と勧めてみました。
結果はいつもの通り、「投資は怖い」で動きなし。

現状の危機にも動かない理由

ま、Eとしてもボーナスのほとんど出ない派遣社員という働き方をしているその人が、投資で利益を出そうが、銀行に置いておいて資産の価値を下げようが知ったことではないわけで。

最近では勧めた相手が「現状維持バイアス」を打ち破れる人かどうかを見届けることだけを楽しみに勧めてみる、といった感じです。

投資を勧めても動かない人の理由は一律にこれです。

①申し込み手続きや確定申告など面倒くさい
②とにかく投資は怖い、投資なんかしたら破産する

この二つの理由によって、資産を全て銀行預金に置いておく(中にはパチンコや競馬にハイリスクハイリターン投資する人もいますが)という選択を、Eが投資を勧めた全ての人が選択しているわけです。

「現状維持バイアス」の弊害として「現状に危機の兆候があるにもかかわらず動かない」という点を挙げましたが、恐らくEの「現状が危機である」という説明が足りていなかったのかもしれません。

今現在、「ヤバい円安」としてはっきりと「危機の兆候」が目に見える形となってきています。
そこに政府の「資産所得倍増プラン」とやらの投資推進政策も発表されました。

さて彼らはこの期に及んでもなお銀行預金だけに頼って生きていくのでしょうか?
はたまた現状維持バイアスから逃れ、少しでも資産を増やせるようになるのでしょうか?
今後も職場を通じてサンプルデータを集めていきたいと思います。
楽しみです。

スマホの割高プランを使い続ける派遣社員

Eが職場を通じて、低所得の工場派遣社員の人たちに勧めてきた「いいもの」は他にもあります。
例えば、数年前でいうと「スマホの格安SIM」です。
今なら「楽天モバイル」やNTT DoCoMoの「ahamo」などの携帯大手四社他の格安スマホプランです。

これもE自身の経験から「いいもの」、節約できるものとして同じ職場で働く多くの派遣社員におすすめしてきました。
昨年2021年以降は菅政権の政策と楽天モバイルの登場のおかげで、大手携帯電話会社も相次いで格安プランを打ち出すこととなり、世間に広く周知されEも敢えて周りの人にお勧めするのはやめています。

Eのこれまでの携帯電話遍歴はこれです。

2013年 ソフトバンクのガラケーから、同じくソフトバンクのスマホに乗換え
2015年 旧楽天モバイル(DoCoMo回線)の格安SIM購入、スマホは別購入、電話番号そのまま
2020年 現楽天モバイル発足と同時に契約、スマホも購入、電話番号は新規
※ iPhoneは使用したことなし

そう、初めてスマホに乗換えた時感じたことは、「便利、でも高すぎる」でした。
当時も今もネットはPCでの利用が主なので、スマホでは5G以上使用することはまずありません。スマホ乗換え当時は今よりもはるかにネット利用は少なかったはずですが、それでも当時の携帯電話料金は8千円は超えていました。

これ、Eにとってはまさに「現状に危機の兆候」です。
いかにスマホが便利であろうと8千円などあり得ない。
しかし、当時LINEなど連絡機能として不可欠なアプリもあってもう手放せない。契約の2年縛りもある。

そしてやって来ました。
2015年頃に当時の大手3社以外の格安SIMの参入が可能となり、Eはソフトバンクの契約2年縛りの終了と同時に旧楽天モバイルのSIMカードを契約
その後の携帯電話料金は2千円前後。実に月額にして約6千円、年間にすれば約7万2千円の節約を実現したのでした。
電話番号はソフトバンク時代のものが引き継がれました。

海外では昔から日本のようなSIMカードが使えない携帯端末などあり得ません。
Eが台湾に住んでいた頃も当然、携帯電話会社でSIMカードを購入して、別購入した携帯端末に入れて使っていました。
むしろこれが正常

となれば当然、Eは周囲の人々にお勧めしまくりました
まあ聞く人聞く人、格安SIMを使っている人など出会ったことがありませんでした。
しかも中にはガラケーでも不都合ないような使い方をしている人さえいました。
Eがスマホを月額2千円で使えることを教えてあげると、これまた一律で同じような反応をされました。

「電話番号を変えたくない」と言われる
 ⇒ 乗り替えても同じ番号を使える

「大手三社より機能が落ちるんじゃないか?」と言われる
 ⇒ 特殊な使い方をしない限り同等

「店舗がないから初期設定が難しい(はず)」と言われる
 ⇒ 端末側で必要な設定はあるが説明書通りにすれば簡単

「何か大手三社にはない不都合がある(はず)」と言われる
 ⇒ 実際に使ってみて何の問題もない、問題を見つけようにも見つからない

「それでもとにかく何か不都合がある(はず)」と空想を語られる
 ⇒ 空想上ならいくらでも問題は存在し得る

というわけで、ただの一人もEの格安SIMの利用体験を聞いても乗り替える派遣社員は現れませんでした。そして、とにかく乗り替えなくてもいい理由をどこかしらから絞り出してきます。
どうでしょう、この現状維持バイアスというものの人を縛る強力な威力は!

これを読んで、楽天モバイルや大手三社の格安プランが一般的になった今だからこそ彼らを笑えるとは思いますが、当時ならどうだったでしょうか?
ほとんどの人が彼らと同じ反応をしたんじゃないでしょうか?


そしてそしてまさかですけど、現在この期に及んでも大手三社の昔ながらの割高プランでスマホを使っている人なんていないですよね?

なーんて言いましたが、Eは見抜いています
これを読んでいるかなり多くの人が、恐らくは5割を軽く超える人々が、いまだにスマホに月8千円以上も払っていることでしょう。

Eは最初に格安SIMに乗換えてから7年が経っています。現楽天モバイルに乗換えてからも月額2千円を超えることはほとんどなく、データ使用が少なく0円だった月もあります。

7万2千円 × 7年 = 50万4千円

なんと、いまだに割高プランを使っている人と比較すると、Eは50万円以上の節約をしてきたことになります。
さすがにこの具体的な金額を知れば「危機の兆候」に気付けるんじゃないでしょうか?

って、Eはやはり知っています。
現状バイアスはそれでもなお強力に人を縛り続けるということを。

まとめ

低所得者である工場派遣社員が自らの資産の「危機の兆候」に気付かず、もしくはあえて目を向けず、現状維持にしがみつくというダメ行動を紹介しました。

現状維持バイアスは時として「ブラック企業で働きづづける」「DVのパートナーと別れない」などの人生を破壊する要因にもなり得ます。

人が潜在的に持つ認知バイアスを的確に自覚し「危機の兆候」が顕れた時には確実に「負け」を回避しましょう。難しいことではあるようですが。

今後も派遣社員の「ダメ行動」に学ぶ「負け」回避術を紹介していきます。
次回をお楽しみに!


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