派遣の心得

サバイバル時代の「負け」回避術 派遣社員のダメ行動に学べ① 自信過剰バイアスを排除せよ!

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50代のEはこの日本社会を約半世紀見てきました。
Eが子供の頃の日本は経済成長まっしぐらの中で、物価も給料も右肩上がり、日本製品は品質が世界で認められ、世界的なヒット商品も連発するなど国際的地位は爆上がりという世の中でした。

そして築き上げた世界2位の経済大国の地位。
それが近年雲行きが怪しくなり、日本の世界での地位がどんどん下がっていく未来はほぼ確定のようです。

そんな日本でも底辺といわれることが多い工場派遣社員
物価が上がり給料が上がらない、悪化する日本の経済状況の中で工場派遣社員が幸福に暮らすことなどできるのか?
答えは、できます。
余裕です。

ただし、工場派遣社員に特有の「明らかに損とわかっている行動をする」「明らかに得とわかっている行動をしない」などの傾向がある場合、幸福な人生への道は遠くなります。
Eがこれまでに見た「ダメ派遣」「ダメ行動」と、それを引き起こす認知バイアスの弊害についてお伝えしたいと思います。

今回は第一弾、「自信過剰バイアス」です。

工場派遣社員の傾向

どんな国にも栄枯盛衰があります。
IT化が進む世界でgoogleやappleなどの巨大IT企業に名を連ねることができず、資源もなく少子化で人口が減りまくる日本が将来、経済大国の地位から転げ落ちることはほぼ確定しています。
が、実は国民ひとりひとりの幸福度って国の国際的地位とは何の関係もないですよね。
しかも幸福かどうかを決める基準は人それぞれ。
Eがこれまでに働いたことのある工場派遣先でも一般的に低い賃金でも幸福に暮らしている人もたくさん見ました。

そうでない派遣社員もたくさん見てきました。
彼らの多くが共通のあるマイナスの傾向を持っています。
それは、

人間が陥りやすい認知バイアスに捉われた行動をしている

ということです。

認知バイアスとは

「認知バイアス」とは人間が陥りがちな偏った判断や認識をいいます。要するに考え方の癖のようなものです。
次のようなものがよく知られています。

「ハロー効果」
「高学歴は仕事ができる」「スーツを着ている人は信用できる」など対象についての少ない情報量の中の特に目立つ一面から他の要素も同様だと判断してしまうこと。
※「ハロー」は「hello」ではなく「Halo(後光)」を表します

「正常性バイアス」
職場で火災報知器が鳴っているのに「どうせいつもの検査だろう」とそのまま作業を続けてしまう、など異常が起こっていることを認識せず正常だと考えてしまうこと。

などは、心当たりがある人も多いんじゃないでしょうか。

上の例で挙げた、火災報知器が鳴っているのに「どうせいつもの検査」と避難もせずに作業を続ける、という例はEが実際に目撃した場面でもあります。
このケースでは多くの人がこのような行動をするのではないでしょうか。

Eが目撃したのは今から2年前まで働いていた地元企業の派遣先の工場でのことでした。
ある日の始業後間もなく火災報知器のベルが、二重の扉で仕切られたクリーンルーム内にけたたましく鳴り響きました。
二重の扉とはクリーンルームに入る最初の扉を開けると体の埃を落とすための風が数十秒間吹き、風が止まるまで次の扉が開かない仕組みになっています。

火災報知器というものは煙を感知して火災を知らせるものです。
Eは当然、火災による被害から逃れるためにクリーンルームから外に出て避難しました。
ところが、避難したのはEだけで他の従業員全員が何事もないかのように作業していました。

他の従業員全員は「どうせいつもの定期点検」と何の根拠もなく判断して作業を続けていました。
結果、火災報知器のベルは定期点検によるものだったんですが、Eも含めて作業していた従業員全員がそのことを通知されていません。
はい、もちろんEも定期点検作業でのベルである可能性が高いことは認識していました。

が、もし本物の火事だったら。
下手すると命を落とすことにもなりかねないですよね。もし本物の火災で二重の扉が何かの具合で開かなくなったとしたら。狭いクリーンルームの中はすぐに一酸化炭素を含んだ有毒な煙で充満するでしょう。
結果、Eだけが生き残っていたかも知れません。

ではなぜEは定期点検のせいでベルが鳴った可能性を知りながら一人だけ避難したのか。
人間には「正常性バイアス」という認知の偏りがあるという知識があったからです。
しかも割と近い過去に東日本大震災がありましたよね。

東日本大震災の時、正常性バイアスのせいで「たいしたことはない、津波はここまでこない」と思い込み避難が遅れて命を落とした人がたくさんいたという話を聞かされていて、正常性バイアスに捉われることが命に関わる危険につながることを認識していたからです。
そもそも自動でロックされる二重扉を通らなければ出入りできない空間で働くこと自体が危険だというリスクを認識していたので何かあったらすぐに逃げるという心構えができていました。

どうでしょう。
冷静に客観的に見れば、一人だけ避難したEの行動が正常で、そのまま作業を続けた他全員の行動の方が異常だと気づくことでしょう。
これが正常性バイアスです。

このような認知バイアスの例を挙げたのは、Eが見てきた派遣社員の中には多くの人がこういった心理的な傾向についての知識がないせいで、どう見ても損な行動をしている、または得する行動をしない、という例を見かけるからです。

つい最近見た実例を紹介します。

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自信過剰バイアス

「自信過剰バイアス」とは、その名の通り自分の能力を客観的な事実以上に自信過剰になることです。
Eもこの認知バイアスのせいで失敗することがよくあります。その典型が株式投資の場面です。

冷静に客観的に考えれば買いの場面ではない、情報も足りていない、という状況で「きっと値上がりする」と根拠もなく楽観的に考えてしまいます。

また、車の運転の場面でも自信過剰バイアスはしばしばドライバーから正しい判断を奪います。
「自分は運転が上手い」「事故に遭うはずがない」と根拠のない誤った判断をして十分な安全確認をしない、スピードを出しすぎる、飲酒運転をするなどで重大な結果を招いたりします。

そしてつい最近、自信過剰バイアスによってものすごく損な行動をしている派遣社員に遭遇しました。

仕事をする上で「工夫」をすることって大事ですよね。
何事も工夫や改善によって進歩を遂げてきました。
が、工夫が裏目にでることや、場合によっては工夫が必要ない場面ってあります。

新人、オカダくんの場合

派遣先工場でのEの部署は製造ラインではなく、メンテナンスや製造に使う治具を作ったりする、いわば製造のバックアップをする部署です。
長らく派遣社員は部署でE一人だったんですが業績好調で部署の作業量が増え、一人の派遣社員が4か月ほど前に新たに入ってきました。
年齢は30歳前後、一見コミュ力低めのオカダくん
Eの工場派遣としての評価は、よくいる平気で無断欠勤や遅刻をするようなタイプでもなく勤務態度は至ってまじめ、作業能力としては平均点並み

ただ、製造ラインで作業するなら可もなく不可もなくだろうけど、Eがやっているように自分の裁量で作業スケジュールを組みたてたり、「これを作って」と言われて作り方を自分で一から調べて想定以上の結果を出せるようなタイプにはほど遠い、といったタイプ。

部署にはE以外の派遣社員を扱ったことがない社員も多く、当初はみんなオカダくんにEに出すのと同じような作業指示を出すけど、それだとあれこれわからないことだらけで埒が明かないといった様子。
指示を出す側も心得てきて、Eは時々彼の様子を見るようにと言われました。

そんなわけで、この1週間ほどオカダくんの作業の様子を見るようになったんですが、ある重大な欠点に気づきました。それは、

自分で余計な工夫やアレンジを加えようとする

というところです。
さらに悪いのが、工夫やアレンジができる能力値がないということです。

つい先日Eが別の作業をしている横でオカダくんが何やら組み立てていました。
始めはさほど気にしていなかったんですが、なにやら試行錯誤してなかなか進まない模様。

Eの部署には、製造現場で使う作業台や棚をパイプとジョイントというものを使って作ったりする作業もあるんですが、その改造を現場から依頼されてオカダくんが作業することになっていたようです。

画像引用:モノタロウHP 「メタルジョイント」
https://www.monotaro.com/g/00341225/



オカダくんの面倒を見るようにとの指示が出ている以上やらなければなりません。
何を作っているのかと聞くと、現場の作業台の下に取り付けてあるゴミ箱を固定するパイプの位置を10cmほど上げるという単純な作業
Eが現場を見ると今取り付けてあるパイプを3、4本今の位置から上に上げるだけ。作業時間は長くて15分

オカダくんに一体どういう構想で作るつもりか聞くと、その辺の100円ショップで売っているようなプラスチックのごみ箱をがっちりホールドできる堅牢な置き場を作り上げるつもりのよう。
そのための装置をパイプを細かく何本も組み合わせて時間をふんだんに使って作ろうとしていたのでした。

ちょっと待て、とEはオカダくんに言い聞かせました。
まず、この作業を指示した社員が何を求めているのかを考えてみよう、と。
今現在、100円ショップ的ゴミ箱はたった3本のパイプで十分支えられていて、構造自体に問題があるとは誰も言っていないしどう見ても問題ない。
指示した社員が求めているのは、作業をその効果に応じたコスト(時間と経費)で終わらせること。
「ここに支えのパイプを1本着けてこの3本をそのまま数cm上げるだけで十分だよ」と目的を果たすに十分な具体的な方法を教えてあげました。

Eは自分の作業に戻り、それから1時間ほどした終業間近の時間
オカダくんが作業している現場を通りかかるとまだ作業中
しかもEの助言は完全無視。自分の壮大な構想を実現しようと悪戦苦闘してまだまだ終わりそうにない。
結局その日は作業が終わらず、翌朝指示を出した社員にEまで呼ばれて何をやってるの?という話に発展してしまいました。
実はオカダくんには過去にもこれと似たような事例がちらほらとありました。

「ダメ行動」分析

このオカダくんのダメ行動、Eは自信過剰バイアスによるものと判断しました。
それを説明するにはEならどういう考えで仕事をしているかを紹介します。

まず、作業指示を受けた場合に第一に考えることは。
作業の完成は大前提
次はその作業を効果に応じたコスト(時間と経費)で終わらせる。
つまり簡単にできるものはできるだけ簡単に済ませちゃう、ということです。

例えば何かの用具を作るように指示を受ける場合、これまで工場の誰も作ったことがないような画期的なものを作るようにとの指示は、派遣社員にはまずあり得ません。

Eがいかに有能であろうと一介の派遣社員がそんなチャレンジを任されることはあるわけがなく、全ての指示は過去の作業のトレースです。
しかも90%の作業は素人のEでも簡単にできるし、初めてする作業も人に聞けばすぐにできるものばかりです(オカダくんのポテンシャルでは苦労すると思いますが)。

長年稼働しているこの工場で行われてきた作業は、すでにベテランによって様々な工夫が施されています
何かを作るという指示の場合、Eは基本的に既にあるものをトレースします。
Eたちが作った作業用具は、作業者にとって不具合があればすぐに改善を要求され、要求を満たすための工夫が施されます。
今、現場で使われている用具はそうやって工夫され、洗練されてきたものです。

明らかにこうした方が使い勝手がいい、とわかる場合には自分のアイディアを採用しますが、派遣社員の作業としては過去のトレースだけで結果に関しては100点満点がもらえます。

Eの場合は、時給アップのためにもそれ以上の得点を目指します(実現もしてきました)。
単純にトレースする、人に聞く、ことだけで試行錯誤という手間はなくなり、かなり作業時間は短縮されます。少ない材料で作ることでさらに経費も減らせます。
もちろん他の社員や派遣社員からよりよいアイディアをもらったら誰であろうと全面的に採用します。他人のアイディアだろうが作り出した成果は全部自分のものです。

実際に最近Eは「来週末までにこういうのを作ってくれ」と言われた結構大きくてやや複雑な用具を細部まで完コピして翌々日に完成させたことで指示した社員に驚かれました。
ま、いつものことですが。

一方、オカダくん。
きっと120点かそれ以上を狙っての行動なのでしょうが、逆に社員に「何をやっているんだ」「作業に時間がかかりすぎる」というマイナスの評価を下されてしまった最大の敗因は「自分がこれまでベテランたちがやってきた仕事よりレベルの高い作業ができる」という思い上がった自信過剰バイアスに陥ったためと分析しています。

Eは自身を、工場派遣社員の世界でなら自分以上の能力を持った人間はほとんどいない、と実績に基いて客観的に自己評価をしています。
が、世の中の労働市場にE以上の人材は星の数ほどいることは正しく認識しているつもりだし、ましてやこの業界で長年働いているベテランより上のパフォーマンスが簡単に残せるとはさらさら思っていません(彼らより短時間でできるようになれる、とは思っています)。
もちろん人間は自信過剰バイアスに陥りがちである、という知識があるから、常に「自分は思い上がっていないか」との客観的な自己診断もするようにしています。

その上で、派遣社員という立場の損得勘定から「確実に100点を取りに行く」「大きな失点のリスクは負わない」という姿勢を心がけています。

Eからのアドバイス

今現在、自分が自信過剰バイアスに陥っていないかどうか客観的に自己診断した上で、Eからひとつあえて工場派遣社員のみなさんにアドバイスがあります。

Eは「確実に100点を目指す」と言いましたが、みなさんはまず70点を目指してください。
まずは「今あるものをトレースできるようになる」。それができたら「少ないコストでできるようになる」、「工夫や改善をする」ことで100点に近づけていきましょう。

このEのあからさまに上から目線のアドバイスに対して「こいつは何を思い上がっているんだ」と思うかもしれません。
その場合、そう思ってしまったあなたはすでに思い上がっています。
「世の中自分より上は星の数ほどいる」、「自分のポテンシャルや実力なんて大したことはない」ということを忘れている証拠だからです。
天才級のIQを持っているような人でない限り、Eが自分より能力値が上かも知れないという可能性を客観的な根拠もなく排除したわけです。
それこそが自信過剰バイアスです。

周りの自分よりできる人間は利用すればいいわけです。
オカダくんにEは、何か作る時には始める前に誰かに相談しろ、いちいち社員に聞くと面倒だと思われるだろうからEに聞け、と言っていますが一向に相談に来ません。
Eに最善のやり方を聞いてトレースすれば自分で考えてやるよりはるかにいい結果を残せるし、Eに聞いたからと言って成果は全部彼のものです。

利用すればいいのに、といつも思いますがなせ自分が得するとわかっている行動をしないんでしょうか?
意外と自己評価は高いのかもしれません。
だからこそ、若くして派遣先を渡り歩いているんでしょうけど。

まとめ

人間が陥りがちな認知バイアス
それらを知識として知っているだけで、自分が損をする判断や行動を防ぐことができます。

実はEも2年ほど前に「正常性バイアスに」陥った過去があります。
コロナ禍の始まりの時期、2020年の始めでした。
過去に「SARS」の騒動の記憶があったEは「コロナウイルスは夏になれば収まる」となんの根拠もなく楽観的な予測を信じ切っていました。
その後、Eはセブに住む家族と2年以上会えないことになるんですが、初動でコロナ禍がペストやスペイン風邪のように後の世の歴史の教科書に載るほど深刻で長く続く可能性を認識していれば別の行動がとれていたかもしれません。

派遣社員の「負け」回避術、今後もお伝えしていきます。
次回をお楽しみに!

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