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「負け」回避術 派遣社員のダメ行動に学べ③ 絶滅危惧種の社畜は過剰同調性あり? 後編

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「派遣社員のダメ行動」シリーズ第三弾、今回は50代派遣社員Eが現在働いている工場派遣の現場で出会った、ある同僚派遣社員のダメ行動についての後編です。

前編では、同僚派遣社員オオタキさんの、自ら率先して行っている社畜行動について紹介しました。
後編では、予告通りオオタキさんの社畜行動がなぜ「ダメ行動」なのか、社畜行動の原動力となっている心理作用とは何か、について解説します。

オオタキさん(もちろん匿名です)。事実とはいえ当ブログでの度重なる社畜呼ばわり、ホントにすんません!

前編はこちら ↓↓↓

同僚派遣社員の社畜行動

おさらいですが、派遣社員Eの同僚オオタキさんの社畜行動がこちらです。

①勤務開始時間の1時間以上前に工場に着いている(推定1時間半前)

②勤務開始時間の15分前には仕事を始めている(推定20分以上)

③勤務時間中に、昼休みとトイレ休憩があるが、休憩終了時間の5分前には仕事を始めている

④各派遣社員はそれぞれ手待ち時間があるが、手待ち時間にもタツカワさんやEの作業を手伝おうとする

こうした謎行動、自発的な社畜行動に驚きを隠せないEなのでした。

正社員で、出世や昇給、スキルアップ、将来の独立開業などのモチベーションがあり、現実的な利益があるというのならサービス残業も、サービス休日出勤でも理解できる。
でも、現状の派遣先では正社員化どころか時給アップさえも見込み薄な中でなぜ、率先して無給の労働をするのか?

というのが、前編の内容でした。
さてここからは心理学です。
彼のような社畜(派遣社員だから派畜?)にはどんな心理作用が働いているのでしょうか?

職場での自己奉仕的労働心理

さて、この章のタイトル「職場での自己奉仕的労働心理」ですが、これはEが考えたものではありません。
オオタキさんの社畜行動について現在話題沸騰中の中国版のChatGPTともいわれている「Deep Seek」で調べた時にAIが勝手につけたタイトルです。

話題のDeep Seekで検索!

そう、Eはこの問題についてAI、「Deep Seek」で調べてみました。

今回初めて知ったんですが、Chat GPTDeep SeekのようなAIとの対話で問題解決をしてくれるアプリって【大規模言語モデル(LLM)】というらしいです。
ウェブ版のDeep Seekはこちら

ちなみにDeep Seekを使ってみた感想ですが、無料版だとChat GPTよりもすっきりした形の回答をしてくれるような気がしています。
また、ChatGPTでは全く同じ質問文で検索しても、その時々によってAIの回答がブレることが多いと感じましたが、Deep Seekの場合は割と安定している気がします。

ただEはそれほどヘビーユーザーでもないので、使い心地は各自で使ってみて判定してもらえれば。
ともあれ、Eはこの質問文をDeep Seekにぶつけてみたのでした。

職場で頼まれてもいないのに自らサービス残業をしたり、他の従業員の作業を手伝ったりするような人はどのような心理傾向がある?

Deep Seekは少し考えた様子を見せた後、すぐに回答のテキストを流し始めました。

画像引用:ウェブ版「Deep Seek」



回答がかなりの長文だったので、Deep Seekがオオタキさんのような自己奉仕的労働をする人の心理として挙げた項目名だけを抽出してみました。
全文を知りたい人はぜひDeep Seekで実際に調べてみてください。

1.承認欲求(承認希求)
2.過剰同調性
3.過剰適応
4.自己犠牲的傾向
5.完璧主義(過剰完璧主義)
6.共依存的な傾向
7.不安や恐怖からの行動
8.自己肯定感の低さ
9.責任感が強すぎる
10.孤独感や疎外感からの逃避

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社畜派遣社員の心理傾向

Deep Seekが挙げた、社畜派遣社員オオタキさんの心理傾向の10項目
なるほどどれも当てはまりそうです。

Deep Seekが列挙した、それぞれの傾向に当てはまる具体例も、最初の項目「承認欲求(承認希求)」にある「サービス残業をして「頑張っている」と認められたい。他の従業員の作業を手伝うことで、感謝や賞賛を得たい。」など、オオタキさんに当てはまっているな、と感じます。

Eなりに、実際オオタキさんと接してきた経験から該当部分をまとめるとこうです。

①とにかく仕事に対して真面目である
②普段のオドオドした態度からして自己肯定感が低い
③そのため他人からの評価が気になる
他者からの依存や感謝によって自己価値を得ようとする性格
低い評価を受けることや人間関係の悪化を恐れる
⑤それらを回避するため過剰な努力で補おうとする

なるほどこう考えるとオオタキさんの社畜行動に納得がいきます。
自己肯定感が世界最高クラスに高いEにはない考え方なので、Deep Seekで調べてみるまで謎だったのもうなずけます。
おまけにEは普段から、仕事はできるだけ疲れないように最大限の省エネを心がけているわけで、他人からの評価も気になりません。
だからなおさら理解できない行動でした。

この10項目の中で、心理学で使われそうな用語もありますよね。
【過剰同調性】と【過剰適応】がそれです。
聞きなれない言葉だったのでさらにDeep Seekに「過剰同調性と過剰適応の違いは?」と聞いてみました。
回答がこれ。




「無料版Deep Seekは、無料版Chat GPTの上位互換かな」と感じるのが、このようにテーブルにしてわかりやすく比較してくれたり、最後にまとめを載せてくれたりするところです。




「まとめ」にあるように二つを比較すると、焦点動機が違うようです。

【過剰同調性】は「他者との関係性や期待」に応えようと「頼まれていない仕事を引き受ける」。
【過剰適応】は「環境や状況に適応」するために「無理をしてまで完璧を目指す」。

社畜の行動は過剰同調性

この二つのうち、オオタキさんのケースは明らかに【過剰同調性】が当てはまっています。
根拠としては、Eが受けた感じに過ぎませんが、オオタキさんの仕事中のせかせかとした動作には「こんなに一生懸命働いている」的な演技が入っている気がするからです。

なぜなら他二人の派遣社員、タツカワさんやEがいかに能力値が高いといえども、ゆったり優雅に作業して余裕で間にあう、時間に追われる必要など皆無の作業だからです。
派遣社員としては能力値は充分及第点であるオオタキさんが、あんなにせかせか動くのには演技が入っているとしか思えません。

なぜ演技をする必要があるのか、他者からよい評価を得たいがために他ならず、完璧主義などではないはずです。

結論です。

オオタキさんに代表される社畜派遣社員の行動は【過剰同調性】という心理傾向によるものである。

Deep Seekで調べた【過剰同調性】の部分を抜き出すとこうなります。



 過剰同調性

  • 特徴:
    • 他者の期待や要求に過剰に応えようとする心理的傾向。
    • 自己主張を抑えてまで周囲に合わせようとする。
  • 具体例:
    • 頼まれていない仕事を引き受けたり、自分が疲れていても「NO」と言えない。
    • 他者の作業を手伝うことで、人間関係の調和を保とうとする。


オオタキさんの社畜行動に納得したところで、次へ
なぜ「ダメ行動」なのかを解説します。

ダメ行動の理由

さて前回の記事【前編】でも述べましたが、昭和平成の時代、令和の現代では「ブラック企業」「パワハラ」と認定される状況が当たり前に横行していました。
そしてE自身が新卒で就職した頃にサービス残業、サービス休日出勤を実際に行っていたことも紹介しました。

が、少なくとも現代、正社員化も昇給も望めない職場で派遣社員が、過剰同調性とやらの特殊な心理傾向か知れませんが、自分だけ「率先して」サービス残業などの社畜行動をすることは「ダメ行動」であり、場合によっては「悪」でもあります。

その理由は。
このような影響が考えられるからです。

①ある社員が何らかの理由により、出勤時間より早く作業を始めるようになる
②サービス早出によってその社員は上司から気に入られる
同僚社員も上司に気に入られたいがためにマネをする
④後から入ってきた新人社員も「先輩がやっているから」とマネをする
⑤上司はサービス早出をしない社員を低く評価するようになる
⑥職場でサービス早出が当然のこととして常態化する
⑦社員間で上司にもっと気に入られようとサービス早出がエスカレートする

気づきましたか?
この⑥や⑦のような段階が「ブラック企業」状態なわけです。
昭和平成のあの全国総ブラック企業状態は、企業だけの責任か?
違います。

上司や経営者に気に入られようと、労働力の安売り競争に明け暮れた労働者側にもかなりの責任があったはずです。
ついでに言えば、サービス残業に不満を感じながらも、長いものに巻かれて声を上げることなく従ってきた労働者も同罪といわなければなりません。
令和の現代、Eのように「賃金が支払われない時間には働きませんよ」と当たり前の権利を当たり前に主張できる社会状況は整いつつあります。

昨今の労働者の労働環境が改善される「働き方改革」には賛否があるかと思います。
社畜労働者が減ることで企業は労働力の搾取ができなくなるわけですから、企業側のごまかしの収益性は当然下がります。
日本経済はよく「30年の停滞」といわれていますが、30年以上前は全国総ブラック企業状態で、モーレツ社員(死語)たちの労働力の安売りによって経済成長が後押しされたという背景もあったことでしょう。

が、企業による「労働力の搾取」や、労働者の「労働力の安売り」の状態が健全であるはずはありません。
職場でひとり社畜が生まれることで、前述のように職場全体がブラック化してしまう危険性もはらんでいるわけです。

Eの職場の場合

ではEの職場は?
当面はブラック化が発生する可能性はありません。

理由は。
ベテラン派遣社員タツカワさんもEも、サービス早出に何のメリットもないことを理解しているし、オオタキさんの早出に左右されるような脆弱なメンタルは持ち合わせていないからです。

言い換えれば、上司である社員のナイトウさんに嫌われたところで何の不利益も起こり得ません。
もし不利益な取り扱いでもされれば元社会保険労務士のEは然るべき措置をとることでしょう。

現状の生産計画からして新人が入ってくる見込みも、向こう半年はありません。
新人派遣社員がオオタキさんの社畜行動による圧力でサービス早出をしてしまう、という懸念もとりあえずなし。
が、万が一新人が入ってきた場合は、社畜行動の連鎖をEがなんとしても防がなければならなくなることでしょう。

今回述べた社畜行動の弊害についてオオタキさんに直接話したこともありますが、オオタキさんにしてみれば当然の行動で、何が悪いのかさっぱり理解できないのでしょう。
相変わらず出勤時間よりだいぶ早くに作業を始めています。休憩時間が終わる5分前に作業を始めるのも変わりません。

そして社員のナイトウさんも、オオタキさんが時間前に仕事場に戻れば「あれやって」と当然のように指示を出します
ほら、もうすでにブラック時代回帰の兆しが見えていませんか?

ちなみに、Eが早めに戻ったとしてもナイトウさんは何も指示は出しません。Eもベルが鳴るまで作業はしません。

いろいろ語りましたが、オオタキさんのような社畜(重ね重ね失礼をば)も昨今では絶滅危惧種となりつつあるようです。
このまま絶滅してくれて、日本企業が健全な競争の中で世界で勝ち残れるようになればいいのに、と願う派遣社員Eでした。

まとめ

オオタキさんの社畜行動、心理傾向としては「過剰同調性」が該当するようでが、Eは彼の行動を「ダメ行動」、場合によってはかつてのブラック蔓延社会に逆行する「悪」と断罪しました。
が、これに異論があることは承知しています。

確かに、自ら率先して無給の仕事をすることは禁止されているわけでは全くありません。
本人が満足しているんだから批判されるいわれはない、というのもその通り。
後から新人が入ったとして、それに追随するかどうかもその人次第、もまたその通り。
社員ナイトウさんも、人を見てサービス早出を容認、奨励をしているということもわかります。
EはオオタキさんがEの作業までも手伝ってくれるのを、これまで通りありがたく見守るしかないようです。

が、結局のところ上司にも同格で年下の派遣社員にもいいように利用されているわけで、「負け」の側にいることは間違いないといえるでしょう。

これからも派遣社員の「ダメ行動」に学ぶ「負け」回避術を紹介していきます。
次回をお楽しみに!

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