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【ドキュメント】ブースター未接種者が受けた試練 渡航条件の見落としでも入国できた理由

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セブに住む妻と娘が7月に3年ぶりの来日
短期滞在ビザで約3か月を過ごした後、先日帰国しました

3か月間、猛暑の日本でたくさんの想い出を作ったE家族。
そんな思い出話は次回に譲るとして、今回は妻と娘が成田空港を発つ際に起きたトラブルについて語ります。

トラブル、というのは水際対策、渡航条件にまつわる出来事です。
コロナ禍発生以来、パスポートを見せるだけで多くの国に入国できていた日本人でも外国に渡航する際、多くの渡航条件が課されるようになりました。
今回の発端は完全なる渡航要件の解釈ミス、見逃し、つまり不注意によるものだったんですが、果たして妻と娘はオーバーステイになることなく帰国できたんでしょうか?

それでは詳細を語ります。

7月、来日時の入国要件

まず、7月に妻と娘がフィリピンから成田空港に入国した時の状況です。
この時はフィリピン航空、セブ発成田着の直行便でした。

日本人(E)の外国人配偶者(Eの妻)として短期滞在ビザを取得して入国。
【ワクチン接種状況】
妻 : ワクチン2回接種(1回目3月、2回目4月)
娘 : ワクチン未接種(4歳)

この時点では出国前72時間以内の陰性証明全ての入国者が必須で、「ワクチン3回接種者であれば陰性証明書は不要」との2022年10月現在存在するルールはありませんでした。
つまり、ワクチン2回接種者である妻はPCR検査等を受けて陰性証明書を入手する必要があったわけです。

2022年7月の日本入国要件については過去の記事でも語っています。


では、4歳の娘は?
これについても上記の記事で語っています。
未就学(概ね6歳未満)の子供は監護者が陰性の検査証明書を所持している場合には、子供が検査証明書を所持していなくてもよいものと取り扱う」とのこと。
つまり、妻が陰性証明書を所持していれば4歳の娘は不要

Eが3月に日本帰国した時にあった7日間の自主隔離も7月時点ではもう必要なし。
妻はEが受けたのと同じセブの病院でPCR検査を受け、陰性証明書を提出し、スマホアプリの「My SOS」をインストールし、無事入国を果たしました。

フィリピン帰国準備

思い切り楽しんだ日本の夏。
7、8、9月とまああちこち出かけましたよ。
フィリピン総領事館への婚姻届出書の提出を兼ねた名古屋旅行、花火大会、ビーチに市民プール、そして帰国直前に訪れた東京ディズニーランド

3年ぶりに日本で家族と過ごす、これ以上ないというくらい幸福な時間には90日間という期限がありました。
9月に入り、滞在期間が1か月を切るとあれこれと帰国の準備が始まります。

帰りのチケット購入。
7月時点で既にフィリピン航空のセブ直行便を買ってあったんですが、代理店から欠航になったとの知らせを受け、やむなく買い直し

買い直しの航程はこうです。

①セブパシフィック航空で成田からマニラへ、夜11時頃着
②4歳の娘を連れて朝方の便を待つのはかわいそう。マニラに宿泊
③翌日はマニラ観光
④翌々日にエアアジアでセブ帰還

と、帰国時の入国審査はマニラということになります。
マニラでの入国審査はEも3月の渡航時に経験済みです。
必要書類が揃っていて、 One Health Passという入国に際しての情報を入力したり、陰性証明書を添付したりするフィリピン政府のサイトに登録してQRコードを発行してもらっておけばスムーズに入国できました。
そこでEは二人のフィリピン帰国の要件を改めて調べました。
特に気になるのは陰性証明書です。なにしろPCR検査を受けるとなると高額な費用がかかります。

常に感染状況が変化するコロナ禍において、渡航条件は各国で刻々と更新され続けています。
二人が日本に滞在した3か月間、日本もフィリピンも感染状況は刻々と変化してきました。

さて、妻と娘がフィリピンに帰国した9月末時点での陰性証明書についての要件がこれです。

【18歳以上】
①ワクチン完全接種+ブースター接種済
→ 陰性証明書 不要
②ワクチン完全接種
→ 陰性証明書 必要 
出発48時間以内のPCR検査 or 出発24時間以内の抗原検査

※ワクチン完全接種者 = ワクチン2回接種済みの者

というわけで、妻は出国前日の朝に東京でPCR検査を受けて、その日の夕方に無事陰性証明書をゲット
低価格のPCR検査を行っているクリニックもありますが、安心が第一と思い必要な記載事項をすべて満たしている平均的な金額の(とはいえ高額な)クリニックを選びました。
その他に妻が帰国のために準備したことは。

・3月と4月にセブで受けたワクチン接種証明書
・(妻の)One Health Pass のオンライン登録

準備万端でした♪
と、そう思っていました。空港に到着するまでは。

試練のチェックインカウンター

妻と娘のフィリピン帰国当日
Eは当然、二人を見送りに成田空港まで行きます。

夕方18時以降の便だったので、上野のホテルをチェックアウトすると京成線上野駅の近くのカラオケボックスで2時間ほど最後の時を楽しみました。
3か月の楽しい日々も遂に終わりです。
京成線で成田空港第二ターミナルへ。

出発予定時間の約3時間半前に到着。セブパシフィック航空のチェックインカウンターは受け付け開始前ですが既に列が。
ほどなくしてチェックインが始まります。
どの乗客も書類の確認が必要なせいで列はなかなか進みません。
すると、日本人の係員の方が列に並んでいる乗客の必要書類の確認に回ってきました。

①まずパスポート、そしてワクチン接種証明書を確認。
 妻の2回接種の証明書を見せる。
②次に陰性証明書の確認。
 前日に入手した妻の陰性証明書を見せる。
娘さんの陰性証明書は?と聞かれる
「!!」

もう気づいていた人もいるかと思います。
Eも妻も、この瞬間まで4歳の娘に陰性証明書が必要かどうかを全く考えていませんでした。
日本入国時と同様に、妻が陰性証明書があれば不要だと思い込んでいました~!

フィリピン渡航条件を改めて調べた時も、娘に関しては気にもしていませんでした。
完全に迂闊でした。
というのも、やっぱり毎日が楽しすぎて慎重に調べたり考えたりする時間さえ惜しかったというのが原因にあります。正直、こんなんで大丈夫かな?という自覚もありました。

もっと言えば、フィリピン入国について調べた上で日本と同じように親が陰性なら子供は陰性証明書いらない、とどこかに書いてあったような錯覚さえしていました。

Eが「どこかに子供はいらないと書いてあったような気がするんですけど?」というと、セブパシフィック航空の係員の女性は「ちょっと待っててください、今調べますから?」とどこかに電話をかけ始めました。


フィリピンランキング

4歳の陰性証明書、果たして必要?

Eも動揺を抑えて、自分のスマホで渡航条件を検索。
妻も動揺していました。娘も何事か?と心配そう。
ありました。
フィリピン入国条件について検索するとたいてい行き当たる、大使館などのHPよりはるかにわかりやすくて毎回重宝しているサイトにこうありました。

引用:日本橋夢屋HP フィリピン渡航情報
https://www.tokutenryoko.com/news/passage/13164#pc 



当然ですが、渡航条件は刻々と変わります。
上の表はあくまでも妻と娘が帰国した2022年9月末現在のものです。これから渡航するという人は必ず最新の情報をチェックしてください。

まず、妻は18歳以上で「ワクチン完全接種者(2回接種)」、陰性証明書が必要
そして4歳の娘は12歳未満で「一緒に渡航する親の検査要件と同様(ただし3歳未満は不要)」。
つまり妻と同様、陰性証明書は必要!

アウトです、完全にアウトでした。
「うちの子ちょっと前までは3歳未満だったんですよ~、ダメですか~?」などと思っちゃいましたが、もちろんダメです。
電話を終えて戻ってきた係員の女性。はい、もうわかっています。
「やっぱり娘さんも陰性証明書が必要です」と。
とりあえずチェックイン待ちの列から外れてカウンターの端に来るようにと。

Eが「どうすればいいんですか」と尋ねると返答はこうでした。

①時間的に今から陰性証明書を入手するのは無理
②ただし、到着後にマニラで6日間のホテル隔離をすれば入国可能

二人とも90日間の短期滞在ビザは満了目前。
とにかく今日この日に出国しなければオーバーステイの可能性大
オーバーステイなどということになれば、

次回のビザ申請に支障をきたすかも!

なんとしてもセブパシフィック航空のこの日この便に乗らなければ。

何はともあれ、妻にスマホでマニラの(できるだけ安い)隔離ホテルを探すように、と。
Eはさっきの係員の女性を呼び止めて「すいません、いくつかご意見をうかがいたいんですが」と。
あの時はものすごく忙しそうなのに、申し訳ありませんでした~

Q:(この時点で出発時間まで約2時間)成田空港にもクリニックがあるけど陰性証明書取得はやっぱり無理だと思いますか?
A:(申し訳なさそうに)はい、もう時間的に無理です
Q:隔離ホテルを予約した場合の証明って何が必要ですか?
A:スマホ画面でも予約が確認できれば大丈夫です
Q:どのホテルが隔離ホテルとして有効かわかりますか?
A:フィリピン大使館のHPにあります
(Eがこれではないかと見つけておいたページを見せる)
A:そう、これです!

これでやらなければならないことがはっきりしました。
とにかくチェックイン、そしてチケット発券という第一関門を突破しなければなりません。
そのために必要なことは「指定の隔離ホテル予約のスマホ画面」を見せること。

突然の隔離となると、その後の予定が大きく変わります。娘は帰国後すぐに学校に入学する予定。
でも、今そんなことは言ってられません。帰国できなければ全ての予定はパー

それにマニラでの検疫という第二関門も二の次の話。
今から約1年前、日本に帰国したら14日間の強制隔離があった時代。ホテル隔離するにも政府が専用の交通手段を手配するなど一般の人と接触しないように厳重な扱いでした。
「予約のスマホ画面」でホントに大丈夫?という不安は残ります。
が、もうマニラの空港に着いちゃった自国民を追い返すなどということはさすがに起こらないのではないか。

などとマニラ到着後のことなどあれこれ考えながらもまずはホテル予約
妻はagodaで、EはTrip.comで検索。
なにしろ当日の予約、しかも既に夕方。
最安価格帯は軒並み満室、妻が見つけたagodaの一泊5,000円くらいのマカティあたりのホテルを5泊6日予約しました。

ついでに言うと、娘の分のOne Health Passのオンライン登録もしてなかったんでその場で登録。
どんだけ娘の渡航条件については忘れ返ってたんだ、という有様ですよね…

ホテルの予約画面娘のOne Health Passを係員の女性に見せると、これでOKと。
列に並び直して、と言っても最後尾、ようやくチェックイン完了。二人のチケットが発券されました。
本来なら別れを惜しんでお茶でも、と思っていたけど時間がない。
三人で出国ゲートに直行。とその前に三人ともガマンしてたトイレに…

無事に帰国できるのか?
不安を抱きながら出国ゲートのさらに奥の荷物検査の向こうに消えていく二人を見送るEでした。

もともとagadaで予約してあったマニラのホテルのキャンセルを、と思いきや当日キャンセルの手続きはできず。
あとでキャンセル料を請求されるかも、などと思いながらもふとあることに思い至り、例えできたとしてもキャンセルはしないでおいた方がいいかも、と考え直したのでした。

動揺でカメラのピントが合ってません…

マニラ到着、の連絡待ち

その後、何度か妻にメッセージを送るも返事なし
既読にもならず、Wi-Fiも繋がってないっぽい。空港のWi-Fiに繋がってない?
まあ、搭乗ゲートまで結構遠そうだったからそれどころじゃなかったんでしょう。

Eは成田空港を後にして遠路自宅へ帰ります。
空港での時間が予定よりだいぶ遅くなり、チケットを買ってあったJRに乗り遅れ、乗換えの繋ぎも悪くて自宅に着いたのは夜も10時過ぎ

妻へのメッセージはまだ未読のまま。
それもそのはず、到着予定時間はもう少し遅い時間。
二人が去った空虚な家で連絡を待つのみ。

と、午前零時ちょっと前に妻から「着いた!」とメッセージが。
同時に送られてきた写真には、疲れた顔の娘が荷物を載せたカートの上に座っている。
荷物を受け取ったということは検疫は通過しているということ。
これから隔離ホテルに向かうのか、と聞いてみる。

娘の陰性証明書については何も聞かれなかったよ、と。
妻の陰性証明書をチェックするも娘はスルー
ホテル隔離についても一切触れられず、あっという間に終了、だったそう。

実はこれ、五分五分くらいで予想してました。
日本が感染者数世界一位を達成していたこの夏、フィリピンでは既に集団免疫を獲得しているのか1日の感染者数は最大でも4,000人台。
隔離ホテルがどうのという面倒なことをホントにやる?
と疑っていました。

ともあれ妻が「隔離しなくていいんですか?」などと余計なことを聞くことなく、知らん顔していてくれてよかったです。

さっそく妻にコールしてみたけど、出ず
またしばらく音信不通に。
とりあえず、予約した隔離ホテルをキャンセル。
こちらのホテルは、すでに予約当日を終えようかという時間で無理かと思いきや、なぜかキャンセル可能でキャンセル料もなし。
agoda、ありがとー

寝ずに連絡を待って日本時間1時過ぎ、ようやく「ホテルに着いた」とメッセージが。
もちろんすぐにコール。
今回は繋がりました。
もともと予約してあった方のホテルに到着。
二人ともめちゃめちゃお腹が空いてたようで、Jollibeeのチキンライスを爆食していました。
ホテルも気に入っていたよう。二泊して翌々日にセブに帰還予定。

これでEもようやく安心して寝れます。翌日は出勤。
おやすみzzz

ルールと実務

と、これが事の顛末です。
渡航条件、って文書で様々なケースを細部まで規定してありますよね。
しかも感染状況によって刻々と変化します。
確かに、様々な国へ旅立つ旅客が、行先の検疫で規定通りの処遇を受けているか否やなどわかり様がありません。
航空会社の責任はあくまでも渡航条件を満たしているかどうか、です。
チェックインでは行先の国で確実に入国できる旅客にしかチケットを発券できない、というのはよくわかります。

一方のフィリピン、マニラ空港の検疫
なぜ、ホテル隔離が必要であるはずの二人をスルーしたのか?

まさかですが、係員が本来の規定を知らなかった?
日本でホテル隔離があった当時、乗客を隔離させる手配をする空港職員が地獄の忙しさだったというドキュメンタリーをテレビで見たことがあるけど、単にめんどくさいからわざとスルーしてる?
って、今さらわかりようがありません。

ルールはルール、実務とは別物、ということが証明された一件でした。
こういうこと、どちらかというと日本より海外で多いですよね。

ただ、昔インドからパキスタンに渡る国境で逆のケースに遭遇したことがあります。
パキスタン側のイミグレの男がとにかく「インドルピーをパキスタンルピーに両替しろ」と要求してきて、どうせ法外な手数料を払うことになるんで拒否するのに押し問答が続いてもう大変、しかも同じ男に行き帰りに2回遭遇
と、ないはずのルールが発生するという逆実務ルールがあったりしますが、これについては当ブログの人気シリーズ「人生を変えたアジア放浪旅行」でいつの日にか詳細を語ります。
そろそろ旅の続編、更新します。ペース遅すぎですいません。

20年前のアジア旅紀行、1年に及んだ旅のまだまだ序盤です。

まとめ

【今回のトラブルで失った損害】
①最後に家族との別れを惜しむ時間
②乗り逃したJRの特急料金
(えきねっとで購入した割引の特急券は乗り逃すと無効)

【逆に得たこと】
①本来、娘が受けるべきだったPCR検査の料金
②海外渡航時に気をつけるべきこと、などの教訓

というわけで、毎日が楽しすぎてついつい不注意で冒したミスですが、トータルではプラマイゼロかなと。金銭的には差し引きで得をしました♪

つい最近も、外国人観光客の日本入国が可能に、入国者上限が撤廃され、有効なワクチンの種類が拡大される、など常にルールは変化しています。
くれぐれも(旅がどんなに楽しくても)自分が当てはまるルールについてはよく調べるようにしましょう。ついでに、現地での実際の運用についても調べておければ尚いいですよね。

ところでEは、年末年始にまたセブに渡航します!
次回は韓国経由の航空券で、韓国入国も必要になりそうです。
その際はまた詳しい渡航条件についてレポートします。
次回をお楽しみに!

最近いつもここでチケット予約しています。

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