今から約20年前のアジア各国放浪旅行。
会社を辞め、3か月間毎日英語を勉強して日本を飛び出し、タイはバンコクに始まった旅。3か月後にはシンガポールにたどり着きました。
旅に出た理由を挙げれば、日本での仕事がきつかった、会社の中国研修で外国の楽しさを知った、発展途上国の人達の方が幸せに暮らしていそう、途上国ボランティアがしてみたい、などなど。
旅でするべき行動は、できるだけ多くの人々と交流する、多くの場所を見る、多くの食べ物を食べる。
そして旅の究極の目的は「外国に移住するきっかけを掴む」でした。
旅を始めて3か月、3か国目のシンガポールにてEは早くもその後の外国移住のきっかけとなる出会いを果したのでした。
ここからは約1年に及んだアジア放浪の旅の前半のクライマックスです。
一人旅の友、紀伊国屋書店
マレーシアからシンガポール入りして、中華料理やインドカレーの食べ歩きなどしていたE。
この時点で旅が始まって3か月ほどが経過していました。
とはいえ、
そもそもなんですが、一人旅はヒマです。
久しぶりに先進国の大都会に来て始めは興奮気味でしたが、旅も長くなると各国の観光地も飽きてきます。
夜は同宿の旅行者としゃべったり、宿の1階にある食堂や近くのカフェで読書したりしてますが、昼間は時間を持て余します。
そんな時に訪れたのが、シンガポールの中心地オーチャードロードにある大規模商業施設「高島屋」。
20年前の高島屋に美味しい中華料理店があったことは前回記事で紹介しました。
前回の記事です。
そしてEが高島屋の中で何度も足を運び、日中長居をしてたのが「紀伊国屋書店」でした。
紀伊国屋書店といえば新宿にある本店を始め日本各地にありますが、外国にも多く店舗があります。
この旅で訪れたバンコクのセントラルワールド(当時伊勢丹があった)や、クアラルンプールのツインタワーの店舗にも行きました。
Eがその後移住した台中市にも日系デパートそごうの中に小規模でしたが紀伊国屋書店がありました。
活字の時代に生れ育ったEは割と最近まで読書家でした(今は動画っ子です)。
特に一人旅の間は本を渇望していました。
旅人向けの日本語の古本を売っている店では数、本の傾向が限定され、なかなか読みたいと思える本に出合えない。となると新品の本を売っている正規の書店についつい足が向きます。
が、外国の紀伊国屋書店で売っている本は日本の定価の2倍弱くらいします。
結局この旅で紀伊国屋書店で新品の本を買ったことは一度もなかったと記憶しています(台中市に住んでいた時はよく買いました)。
漫画を立ち読み
ではなぜ紀伊国屋書店に行っては長居をしていたのか?
実は当時のシンガポール紀伊国屋書店、一部の漫画が立ち読みできたのでした。
もちろんほとんどのコミックはビニールに入っていて立ち読み不可です。他の国で訪れた紀伊国屋書店も漫画がビニール袋に入っていないケースは見たことがありません。
単に店員さんの入れ忘れなのか、立ち読みする客なんていないだろうという性善説に立っているのかはわかりませんが、Eは現実として長時間立ち読みをしていたのでした。
しかもここは涼しい、外は南国の猛暑。
安宿は扇風機しかないから慢性的に軽い夏バテ。タダで涼める場所は貴重。
もちろんE以外にも立ち読み客はいましたが、Eほどがっつり長居している客はあまりいませんでした。
Eが立ち読みに紀伊国屋書店を訪れるのは平日の日中。
これ世界共通だと思いますが、平日の昼間はそもそも客が少ない。週末はにぎわっているから長時間居座れる雰囲気ではなし。
一体そんなに長い時間、何の漫画を読んでいたんだ?と思うことでしょう。
この時たまたま、ある人気長編漫画が立ち読み可能状態になっていました。
それは、
『ドカベン』
言わずと知れた日本の野球漫画史上に輝く名作。
Eの少年時代はリアルタイムで少年チャンピョンに連載されていましたし、Eはこれまでの人生でこの時を含めて『ドカベン』を2回通読しています。
ちなみにもう一回は1990年代半ば、中華料理レストラン勤務時代でした。
新宿にある店舗で働いていたんですが、新宿通りの地下街に現在のマンガ喫茶の走りができて(見た目は漫画たくさん置いてある普通の喫茶店で料金は時間制)、そこで真っ先に読んだのがドカベンだったという。
ちなみに『ドカベン』シリーズは主人公たちが明訓高校を卒業してプロ野球に入った後も続き、総巻数200を越えますが、最も面白いのが『ドカベン』31巻です。
Eは昔買った31巻だけは今でも持っています。
Eの蔵書『ドカベン』31巻
※詳細は画像をクリックしてください
31巻は、春の選抜甲子園決勝。宿敵、殺人野球の土佐丸高校との壮絶な死闘です。
明訓高校の主力、山田、岩鬼、里中、殿馬らが甲子園決勝の大舞台に導かれるまでの半生(といっても高校生)が描かれ、最後は意外な、そして感動の結末を迎えます。
ちなみにこの試合のヒーローは山田でも岩鬼でも里中でもなく、殿馬です。
ドカベン(31) (少年チャンピオンコミックス) [ 水島新司 ] 価格:539円 |
話がそれました~
ところで、この時期のEはあることに迷っていました。
それは、シンガポールの次の行先でした。
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放浪旅行、次の行先はどこ?
旅の起点はバンコク、片道切符で始まった行き先未定の旅。
タイを巡ってその後はマレー半島を南下する、この多くの旅人がたどる王道ルートは旅の前から未定とはいえなんとなく想定していて、実際その通りにシンガポールに行き着きました。
が、この後の行き先が全く決まっていなかったのでした。
とはいえいくつかの候補はありました。
①ベトナム、そしてカンボジア、ラオスなどインドシナ半島を巡る
②インド周遊
③バリ島、そしてインドネシア周遊
④フィリピン周遊
⑤バンコクに戻る
と、候補は多数。どれも決め手に欠ける状態でした。
実は最も有力だったのがバンコクに戻る、でした。
旅の最終目的、海外移住先を探す。
シンガポールが三か国目でしたが、やっぱりタイに住んでみたい、という気持ちがありました。
もう一度戻って移住のきっかけづくりをしようか、と。
そして滞在中のシンガポールも然りでした。
シンガポールは滞在すればするほど住んでみたいという気持ちが強くなります。何と言っても先進国は住みやすい。
そのためには何かしらのきっかけ、具体的には仕事を得るなど長期滞在のためのビザ取得が必要となります。
もちろん、他にもっと多くの国を見てより自分に合った居場所を見つけたいという気持ちも混在しています。
だからこそ、次の行先が決められずにいたのでした。
旅行会社を探す
ただシンガポールで、現地の人と交流するでもなく毎日漫画を読んでいても始まらない。何か次の行動を起こさねば。
次の行動にはまず航空券が必要。
当時Eは外国で航空券を買ったことがなかったんですが、他の旅人からシンガポールに日本の大手旅行会社HISがあるとの情報を得ていました。
カオサンロードのような旅人が集まる街ならともかく、外国のよくわからん旅行会社で買うのは不安。もうHISの一択。でもどこにある?
こういう時のEが取る行動は、
「誰かに聞く」
です。
誰に聞く?
現地に住んでいそうな日本人に聞く。
紀伊国屋書店には現地在住っぽい客が多くいます。彼らなら外国人でも購入しやすい旅行会社を知っているはず。
シンガポールのハトの大群がいた公園 撮影:E
運命の出会い
そんなわけで知らない人に話しかけることにあまり抵抗のないE、とはいえ話しかけやすそうな人を探してEは聞きました。
平日昼間の紀伊国屋書店。荷物を持たずに手ぶらで日本語の本を立ち読みしていて(もちろん漫画でなく、長居もしていない)、Eと同じくらいの年頃の大人しそうな人でした。
「すいませーん」と日本語で話しかけるE。
「はい?」ちょっとびっくりした感じ。
「今旅行でシンガポールに来ているんですよ。飛行機のチケットってどこで買えるか教えてもらえません?」
「HISがありますよ」やっぱりHIS。
「場所とか教えてもらえませんか?」とE。
その人は「ちょっと待っててください」というと、紀伊国屋からどこかに消え、しばらくして戻ってくると携帯番号と名前の書いてあるメモを。
「今、仕事中なんでここに連絡してください」と。
Eは深々とお辞儀をしてお礼を言い、その人は「仕事」に戻っていきました。
これがシンガポール在住のノリさんとの最初の出会いでした。
親切そうな人。
Eはそう時間を置かずに電話しました。
HISの場所と行き方が知りたいです。
ついでに、いろいろお話ししませんか、と。
なにしろ移住のきっかけを掴むための旅、外国人であろうと日本人であろうと誰かと交流することによって何かを得られるかも知れません。
そしてなんとこの後、その何かを得ることができたのでした!
今、シンガポール在住の日本人といえばこの方ですよね。
シンガポールの紀伊国屋書店についてのYouTube動画ありました。
まとめ
かくして現地在住の日本人ノリさんと次の週末にEの泊まっている安宿近くでお茶をすることになりました。
この旅を通じても初めて接する現地在住日本人。
如何にしてEは海外移住のきっかけを掴んだのか!?
今回はここまで。
次回をお楽しみに!
20年後の現代はスマホさえあれば放浪旅行も便利ですよね。