社労士試験まであと2週間ですね。
さて今日は超直前期にやるべきことについて語ります。
毎回言いますが、社労士試験は記憶力テストです(選択式というくじ引きの要素もありますが)。
必要な記憶量をどれだけ持ち込めたかで点数が決まります(合否はくじ引きの運でも決まります)。
あの膨大な試験範囲の記憶力試験である以上、超直前期のこの2週間は最も重要な期間です。
今回は改めて社労士試験の特性を分析し、超効果的に記憶を作るために何をすればいいのかを解説します。
これから社労士試験の勉強を始めようかと考えている人にも社労士試験の本質がわかります。
この記事を読む約5分の時間ももったいないと思える時期でしょうが、この記事を読むことによってムダな勉強をしていたであろう数時間が省けるかもしれません。
社労士試験の分析
記憶力テストと対極に位置するテストがあります。
例えばTOEICなどの語学力試験。
直前に文法や語彙やイディオムを鬼暗記し、めちゃめちゃネイティブの音声を聴きまくってもそこまで点数に反映はされません。
一方、帰国子女だったり留学経験がある人など、一般の学習者より格段に会話力、語彙力、読み書きの能力が身についている人は直前に一切勉強しなくても高得点が取れます。
何が対極?何が違うんでしょうか。
語学力というのは人間の脳に最も深く刻まれた固定記憶のひとつです。
認知症や記憶喪失の人でも言葉を忘れるということはそうそうありません。
社労士の試験範囲はというと。
元社労士、経験年数2年余りのEはよく知っています。
使わないとすぐに忘れる知識ばかりです。
固定記憶と短期記憶
記憶というものをものすごくざっくり2種類に分けます。
「固定記憶」と「短期記憶」としましょう。
文字通り、記憶の持続時間が長いものが「固定記憶」、短いものが「短期記憶」です。
誰でもそうですが、勉強期間が短いと固定記憶が少ないですよね。
記憶力テストである社労士試験にはもう一つの特性があり、試験時間に記憶が蓄積されていれば(問題を正解できれば)例え試験終了後に全部忘れたとしても一切関係ありません。
Eもそうでしたがとりあえず合格して資格を手にすることが先決で、合格後にプロとしてしっかりした知識をもって仕事に臨む、といったことは後回しです。
話を戻すと点数は、「固定記憶 + 短期記憶の合計」で決まるわけです。
固定記憶は、勉強を長年休みなく続ければ自然に蓄積されていきます。
一方、短期記憶の蓄積量には限界があります。
そして、短期記憶としてどの項目を記憶するかの選択は点数に大きく影響します。
この超直前期には出題される可能性の高い項目を優先して脳に叩き込まなければなりません。
この時期に、出る可能性が低いのに覚えにくい項目を時間をかけて必死に覚えようとしているとしら致命的です。
Eの社労士試験経験
Eは2回目の試験で合格しました。
では、それぞれの試験でEの記憶量はどうだったのでしょうか。
Eの1年目の試験
1年目は、当然固定記憶が少ない状態でした。
これは仕事や子育てをしながら勉強している人には仕方がないことです。
2週間前の超直前期でもせっせと固定記憶を作っていく作業をしなければなりません。
勉強初期は固定記憶が作りやすいものですが、次第に固定記憶は作られにくくなっていきます。
おおまかな骨組みはどんどん固定記憶に組み込まれていきますが、枝葉の項目、例えば複雑な項目や数字や計算式などの、記憶持続時間の短い項目が残っていくからです。
そこは超直前期の猛勉強で補うしかありません。
Eは猛暑の2010年の夏に昼間の屋外での仕事でへとへとになりながら夜中まで猛勉強しました。
残念ながら実力不足(記憶量不足)で択一式が2点足りずに不合格(選択式は全3点以上でクリア)。
Eの2年目の試験
2年目、1年目の(不)合格発表までは一切試験勉強はしませんでした。
自己採点は不合格でしたが万が一にも合格していたら試験勉強なんてムダです。
プロとしての実践的な知識の方が重要になります。
それにあれだけ勉強続きだったんだから息抜きしなければやってられません。
しかし不合格が確定した後Eは、絶対に翌年に合格する!、との決意のもとに猛勉強を再開しました。
それが功を奏して、固定記憶は飛躍的に増えていきました。
7月頃には、前年同様に超直前期に更にギアを上げた猛勉強をすれば(固定記憶に短期記憶を猛烈に積み上げれば)合格確実圏にいると認識していました。
実際、1年目は夏祭りの花火大会の日も家で一人勉強していましたが、2年目はしっかり見に行きました。
全ては短期記憶を積み上げるための超直前の2週間、特に最後の1週間が鍵だと見抜いていたからです。そのための準備も着々と進めていました。
そのラストスパートの猛ダッシュのためにもリフレッシュが必要でした。
超直前の2週間に何をしたか。
過去の記事で紹介した「試験開始時間「逆算」勉強スケジュール」にのっとって勉強をしました。
過去の記事で紹介したこれです。
記憶の持続時間が短い項目はどうせ忘れるんだから超直前期まで放置。
↓
各項目の記憶持続時間を把握しておく。
↓
試験開始時間まで記憶が維持できるタイミングで最終的な短期記憶を作る。
↓
もちろん重要度も加味する。
試験範囲の中には、複雑な数字や計算式など(少なくともEは)記憶が1日も、数時間も持たない項目も多くあります。
そういった項目は前日夜~当日朝、果ては試験開始直前に会場へ向かう電車の中で、会場までの道を歩きながら、試験会場の席で最終確認をします。
Eは試験官が「机のものを全部しまってください」と告げる瞬間までテキストを開いていました。
できるだけ新鮮な短期記憶を脳に残すためです。
詳しくは過去の記事を読んでください。
結果、択一式も選択式も余裕で合格基準点越え。
しかし、選択式で最後に余った5分間で見直したオーソドックスな問題の労基法・安衛法で正解していたはずの解答を考えすぎで別の選択肢に書き直ししてしまい「2点」。
誰も救済を予想していなかった科目でしたが奇跡の2点救済でラッキー合格できました。
あの「魔の5分」がなければ合格発表までの2か月余りを絶望と期待の狭間で不安定な毎日を過ごす必要などなかったのに、と死ぬほど後悔しました。
とはいえ、合格してしまえばそんなものは吹っ飛びます。
これも過去の記事で何度も触れていますが、社労士試験はどんなに実力がある人でも選択式というくじ引きの要素が大きく合否に影響します。
つまり、「実力がある人の中で運がよかった人が合格できる試験」なわけです。
もしEが選択式で失敗し続けて5年も同じペースで勉強を続けていたら、選択足切りは別として、固定記憶だけで合格基準点を余裕で越えられるようになっていたかもしれません。
ま、仮定の話ですが。
超直前の2週間にやるべきこと
ここまで読んでくれた人はもうわかっていると思います。
この超直前にやるべきことはこの3つです。
基本書を超高速で一回転する。その際次の項目はバッサリ切る。
・既に固定記憶化した項目
・出題の可能性が低くて覚えにくい項目
【超重要】記憶が2~3日以上持たない項目は試験前3日以降に、各項目の記憶持続時間に応じて試験開始時間から逆算して最終確認する。
そのために次のことを確認しておく。
・記憶持続時間の短い項目の洗い出し
・(上記項目は恐らく多数あるだろうから)上記項目の出題可能性の判定と取捨選択
・残った項目のざっくりした記憶持続時間を把握
・記憶持続時間の短いものから最終確認のスケジュールを組む
※この作業自体に時間はかけない、通常の勉強をやりながら練り上げていく
横断整理学習はそれ自体が効率的に記憶を蓄積できる作業。
横断整理学習テキスト、または自分で横断的にまとめたノートをチェック
上に述べた勉強方法は、試験前2か月前くらいから周到に準備してあるとさらに効果があります。
が、今からでも全然遅くありません。
残り2週間でやるにはこれだけでも精一杯でしょう。
ですが、アウトプットも最後まで続ける必要があります。
Eは合格の年は効率を考えて直前期用の一問一答集を使いました。
が、アウトプットでやってはいけないことがあります。
×今さら過去問を深堀りする。
初学者の練習受験でもなければ、過去問ってもう何度かやってあるはずです。
それに特に近い年の過去問はあらゆるテキストや問題集にもちりばめられています。
何度も目にしたおなじみの問題文で問われればすんなり答えられるようになっていたりします。
それでは同じ論点を違う角度で問われた時に対応できません。
過去の記事に詳しく解説しているんでここでは(受験生のみなさんの勉強時間を奪わないように)省きますが今、過去問を深堀りしていると完全に時間をムダにします。
もうひとつEがやったことがありました。模擬試験問題です。
Eは会場で行われる形式の公開模試を受けたことがなく試験と同じ環境でのシミュレーションが足りていないと思ったので(前年の本番試験経験は大いに役に立っていましたが)試験の2週前の週末に市販の模擬試験問題で時間配分などの最終確認をしました。
Eは会場までの移動時間がもったいなくて、公開模試は1度も受けませんでした。
まとめ
もちろんEもわかっています。
勉強法なんて人によって千差万別です。
ですが、何かの課題に取り組むときに、その課題の特性を理解せずに闇雲に取り組もうとすると効率が悪く、往々にしていい結果を生めません。
記憶力テストである、という社労士試験の特性を理解した上で、最重要となるラスト2週間には最大限効率的な勉強をしましょう。
次回は、Eが試験本番に向けてどう準備したか、当日の試験時間と休憩時間をどう過ごしたかを解説します。
お楽しみに!
Eの直前期のおすすめ教材です。
詳しくは画像をクリックしてください。
2年目はこの「月刊 社労士受験」を活用しました。
直前期にはこの雑誌についている単語帳をすき間時間にめくっていました。