社労士 社労士試験逆説勉強法

社労士受験 逆説勉強法その1 過去問にこだわりすぎてませんか?

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今年の社会保険労務士試験まであと2か月半となりましたね。
例年通り8月の第4日曜日、8月23日に行われます。

Eも受験生の頃、昼間は仕事で猛暑の中屋外作業で蒸し焼き状態になり、夜はへとへとになりながら遅くまで勉強していたことを思い出します。
Eが受験した2回ともひどい猛暑の年に当たり(2010年と11年)なんでこんな暑い時期にやるのかと厚生労働省を恨んだものです。

天候もさることながら多くの受験生は仕事をしながら、家事や子育てをしながら、と様々な制約の中で勉強をしていることでしょう。

社労士試験受験生のみなさん、効率的な勉強をしていますか?
限られた時間での勉強は効率が何より重要です。

今回始まった社労士受験『逆説勉強法』シリーズではEが実際にやった、または過去の反省からあみだした受験界の定説を覆す効果的勉強法を紹介します。
今回のテーマは『過去問』です。
Eのおすすめ過去問題集も紹介します。

効率を上げるEの過去問「逆説勉強法」

社労士受験界の定説として「とにかく過去問が大事」と言われていますよね。
それはその通りです。
過去問を活用せずして社労士試験の攻略はありません。

が、試験勉強全体のボリュームのどれくらいを占めていますか。
問題演習などのアウトプットに割く時間のどれくらいを占めていますか?

これがEが考える「過去問の取り組み方6則」です。

①過去問は年度別で過去5年分をやるだけでよい
②過去問は1回だけ解いて解説を読みこめば充分
③過去問5年分は6月末までに終わらせる

過去問はこれだけでいいです。
だたこの後にやることがあります。

④一問一答や模擬試験などのアウトプットは過去問の倍以上やる
⑤過去問で試験問題の傾向をつかみ直前期の勉強のムダを省く
⑥更に自分の弱点を加味して勉強の重点個所を取捨選択する

要するに「過去問にこだわりすぎてはいけない」ということです。
過去問ばかりを100%近くできるようになるまで何度も解いたりすることはかなり効率が悪く意味がないです。

過去問を解く最大の意義は「直前期の勉強の効率化に活かす」ということです。
ではこの「逆説勉強法」について解説します。

過去問を勉強する目的を理解していますか?

なぜ過去問にこだわりすぎてはいけないのか

過去問全体を見た時に、各論点の出題率って一定でしょうか?
そんなことはありませんよね。よく出る論点もあれば滅多に出ないレアな論点もあります。

勉強しているとみんななんとなく感覚でわかっていると思いますが、実際に社労士業務をする上で重要と思える内容は出題頻度は高いですよね。
それは勉強していく中でもなんとなく判断できます。

例えば昨年(2019年)の択一式の試験問題を挙げると、労働基準法の2問目に「1カ月単位の変形労働制」に関する問題がありました。

〔問2〕労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 1か月単位の変形労働時間制により労働者に労働させる場合にはその期間の起算日を定める必要があるが、その期間を1か月とする場合は、毎月1日から月末までの暦月による。

B 1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。

C 1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、1日6時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の1日10時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、1日6時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。

D 1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

E 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。

※正解は記事の一番下にあります。

2020年(令和2年)社会保険労務士試験 択一式試験問題はこちら

この問題は5つの設問すべてが実際の社労士実務に直結しています。
実際、変形労働時間制は実務でも重要項目です(フレックスタイム制を採用する会社は稀ですが)。
この問題が解けないようでは1か月単位の変形労働時間制を採用する顧問先企業の就業規則の作成、勤務シフトの作成、給料計算などのいずれの業務も不可能です。
また企業からの「うちの会社の勤務シフトってどう組んだらいい?」といった相談にも応じられません。

択一式問題はこのように実務でも重要度が高い論点の問題がかなりの割合を占めています。
社労士実務を遂行するための免許を与えるわけですから当然といえば当然です。
こういった問題さえ確実に解ければかなり合格点に近づけます。

過去問を解く意義はここにあります。
過去問を過去5年分も解けばこういった将来顧客と向き合う社労士が知っておくべき重要度の高い問題がかなり網羅されることでしょう。

でも、問題がひとつあります。
同じ論点を出題されても出題の角度が違うと正解にたどり着けないことがあります。

出題の角度が変わると正解しづらい問題の例

先ほど例に挙げた昨年(2019年)の労働基準法の第2問をもう一度見てください。正しいものを選択する問題ですがこのような選択肢がありました。

B 1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。

始めに言ってしまうとこの選択肢は正しい記述ではありません。
1か月単位の変形労働時間制の適用除外者は満18歳未満の場合、条件によって当てはまりますが、育児を行う者については配慮規定がありますが、適用除外には当てはまりません。

が、初見でこの選択肢を単独で正誤を問われたら、意外と正解率は低いんじゃないでしょうか。
理由は、
ご存じのように育児を行う者が請求すると、時間外労働や深夜業の制限など、適用除外の規定が他にもいくつかあるからです。

ないものをあるかのように書かれると、え?って思っちゃいますよね。
Eが現役社労士だった頃にこれを見たとしても「え、こんなのあったっけ?」とネットか何かで確認したでしょう。
それくらい惑わされる問題の出し方です。

ところで、様々な教材で勉強していると、特に直近の過去問はことあるごとに触れられていて、例えば今年発行された教材の変形労働時間制の章ではこの前年の問題に触れられているケースも多いはずです。
その上でこの去年の過去問を解けば記憶に残っていてそう惑わされることはなく、特に難しい設問とも思うことはないでしょう。

何が言いたいかというと、
同じ問題ばかり何度も解いていると、違う角度で出題されたときの対応力がつきにくくなります。
アウトプットの力をつけるには一つの論点を違った角度から解いておくべきです。そのためにも数多くの問題を解くべきです。

例えば上記のような問題に出くわして迷った結果、変形労働時間制の適用除外者について改めてチェックするでしょうから更に記憶がパワーアップされます。
多くの問題を解くことで、こういった気づきの機会が増します。

世のアウトプット教材、一問一答、模擬試験問題、などは過去問の出題傾向を踏まえた上で作られています、もちろんレア問題も盛り込みつつ。

もしあなたが「とにかく過去問をやれ」という社労士受験界の定説を字句通りに受け取って過去問ばかりを100%全問正解できるまで読み込む、という勘違いをしていたならすぐにやめましょう。
7月以降は過去問以外の問題を解いていってください。
間違えた問題の振り返りも忘れずに。

過去問は最高の模擬試験です

ご存じのように、
過去問の問題集ってほとんどが出題年度をごっちゃにして基本書に準じて科目順で並べられているものがほとんどです。

Eが受験生だった10年前もそういった過去問題集ばかりでした。
でもEはせっかくなら過去問で本番での時間配分のシミュレーションをしたかったし、その過去問が出題された年の合格点と比較した現在の自分の実力を知りたかったので、年度別の過去問題集を探しました。

そしてEはたった1冊だけ地元の蔦屋で見つけることができました。

もうとっくに手元にはないですが7年分の過去問が収められていました。今もその出版社の過去問題集は手に入ります。
これです。

※詳細は画像をクリックしてください。

この7年分の過去問題集ですがかつてEもやってみて解説が少なすぎる感がありました。

他の出版社のものでもう1冊見つけました、TACの年度別過去問題集
これです。

※詳細は画像をクリックしてください。

この問題集は5年分ですが問題がセパレート式になっているし解説もしっかりとされています。
紹介した二冊のどちらでもいいと思いますが、Eはこちらをお薦めします。
6月末までにこれを全部、本番形式でやってください。

過去問は直前期の勉強に役立てましょう

社労士試験は極端に言えば記憶力テストであるとも言えます。
である以上、直前期により多くの勉強量をこなすことが8月23日の試験開始時間に最大の記憶量を持っていくために必要となります。


社労士の試験勉強は結局7、8月の直前期にどれだけ勉強の量と質を確保できるかでほぼ決まります。人間の脳の忘却曲線の観点からも間違いありません。

「量」は夜更かししてでも勉強時間を確保するほかしょうがありません。
また余談ですが、徹夜は厳禁です。
記憶は寝ている間に定着します。睡眠がなければどんなに勉強しても脳に記憶として刻まれません。
ちなみに寝る直前にした勉強は一番記憶に残りやすいそうです。

「質」とはこの場合、効率です。必要な箇所に重点を置いて勉強するということです。
過去問を6月末までに一通りやっておくことによって、このようなメリットを最があります。

・出題傾向を知ることができる
・自分の強みと弱点を把握できる

直前期にもう完全に覚えてしまっていることを何度も繰り返す必要は当然ありません。
一問一答や基本書の通読などの勉強の際こういった部分をどんどん省けます。

逆にこの時点で覚えられていない、勉強が足りていない部分が多くあるはずです。そこは重点的に勉強します。
既に過去問によって出題率が高いかどうかの重要度の判定もできるようになっていますから、弱点ではあっても重要度の低い部分は深入りしない、といった形で効率を上げられます。

このメソッド、実はEは受験生当時できていませんでした。

1年目の受験では過去問題集を始めるのが遅く、7月いっぱいくらいまで先ほど触れた7年分の過去問題集に取り組んでいて、その他の勉強を効率化することができていませんでした。
7年分というのも多すぎでした。

ですから、
過去問は必ず5年分を6月末までに終わらせておいてください。

まとめ

誰でも直前期は使える時間のすべてを費やし極限状態で勉強していることでしょう。
そんな極限状態で勉強の効率を最大限に上げる方法としてEは「過去問は1回解けばいい」という社労士受験界の常識を無視した勉強法が最善であるという結論に至りました。

もう一度まとめます。

出題傾向を無視して過去問ばかりを全部解けるようになっても意味がない
・過去問ができて満足していると異なる角度からの問題に対応できない
・過去問は年度別でやることで最高の模擬試験になる
・過去問は6月末までにやることで最重要の直前期の勉強効率を上げることができる。

これが世の中で「過去問が大事」と言われる本当の理由です。
まだ過去問が終わっていない人は今からでも遅くはありません。すぐにでも取り組みましょう。
そして最も重要な直前期に備えましょう。
ではまた!

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Eのおすすめの過去問題集です。「正答率」がわかるのもこの本のメリットです。

※正解 C

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