「負けない」労働法 労働法

労働者のための「負けない」労働法① 正しく有給休暇を取れていますか?

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非正規労働者のEです!
派遣社員や契約社員、パートなどの非正規雇用のみなさん、お仕事頑張っていますか!

今回は会社や派遣先になんやかやとごまかされて有給休暇を思うように取れていない人、本来受け取れるはずの有給休暇手当を全額受け取れていない人、つまり「負けてる派遣社員」の人たちに取りたいときに有給休暇を取って法律で保障されている手当全額を受け取れる方法を解説します。

ところで非正規雇用のみなさん、有給休暇ってちゃんと消化していますか~
え、していないですか。
派遣会社の担当に取るなと言われた?
有給の支払いは本来の時給の8割の額と言われた?

はいはい、そういう人たくさんいますよね。
今回は会社や派遣先にごまかされて有給休暇を思うように取れていない人、本来受け取れるはずの有給手当を全額受け取れていない人、つまり「負けてる派遣社員」の人たちに取りたいときに有給休暇を取る方法を解説します。

ついでに会社や派遣会社にごまかしや搾取をそもそもさせない方法についても教えちゃいます。

1.有給休暇って法律でどう決まっているの?

有給休暇を取れていない人にまず、知ってもらいたい重要なことがあります。
有給休暇の取得は法律が認めた労働者の当然の権利、だということです。
「当然」なんですよね。

例えば、
働いたら賃金を受け取る、
昼休みを取って昼ご飯を食べる、
週に1日か2日、会社の休日に休む。
これ全部、「当然」ですよね。

「今月給料払わないから」とか「今日は休憩時間なしね」とか言われたら、ふざけんな!となりますよね。

でも、有給休暇に関してはなぜか会社や派遣会社に「有給は月に2日までです」とか「有給は給料の〇割ね」とか言われると、納得はしていないにしてもそのまま流しちゃっている人たくさんいますよね。

Eがこれまで見てきた限りでは、9割9分の人がそこで黙っちゃっています。
その理由として有給休暇の制度をよく知らない、というケースが多いようです。

そこから解説します。

2.有給休暇ってどうすれば取れるの?

労働基準法にこうあります。

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

厚生労働省の「有給休暇ハンドブック」はこちら
厚生労働省の「年次有給休暇取得促進特設サイト」はこちら

つまり、
労働契約を交わして働き始めた日から6か月後に出勤日の8割出勤していれば、有給休暇が10日付与される、と書いてあります。

フルタイムの人は年に10日付与されますが、パートやアルバイトなどの勤務時間が短い人でももらえます。
一週間の所定労働日数によって1~7日が付与される決まりがあります。

厚生労働省HP 年次有給休暇取得促進特設サイトより

「私はパートだから有給ないよ」という話もEはあちこちでよく耳にしてきました。
Eが「パートでももらえるよ」と教えてあげると「え、○○さんがないって言ってたよ」などと反論して、自分は有給をもらえない立場であるという間違った情報に固執する人も何人か見てきました。

Eはそういう人の心理をこう切り捨てます。

「アルバイトやパートでも(週の勤務日数が少なくても)有給休暇をもらえることを認めてしまうと、会社に有給休暇の申請を請求できない自分、会社につっぱねられたらもう対抗できない自分、完全に損をしている自分を認めることになってしまう」
だから「自分には有給休暇はない」という虚偽の情報にしがみつくわけですよね。
だって現実には、ものすごく損をしていますから。

これ典型的な「負けてる派遣社員」です。

そういう人にとってさらに残酷な現実があります。

2019年4月から、有給休暇が10日以上ある全ての労働者に対し、毎年5日間、年次有給休暇を確実に取得させることが必要となっています。

今はもう2020年の8月です。
会社から5日間の有給休暇をもらいましたか?

え、もらっていない。
おかしいですよね、法律違反です。
会社に問い合わてみましょう?
え、できないんですか?

わかりました、これは今回の記事の後半で解決しましょう。

3.有給休暇っていつでももらえるの?

有給休暇の取得にはいくつかのポイントがあります。
もし、有給休暇をもらいたいときに忙しかったり抜けられない業務があったりしたらどうなるんでしょう。

労働基準法第三十九条第5項にこうあります。

第三十九条
5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

これは時季変更権という会社側の権利です。
会社がその人に休まれると困る、という場合には他の日に変更することができる、という権利が認められています。

その日に有給休暇をもらわなければ意味がない、という場合もあるでしょうがこれはしょうがありません

労働者の権利って、当然のものでありながら
「権利を行使すると会社が不利益を被る→業績が下がって結果、労働者も不利益を被る」
という側面があるから何が何でも行使できる、というところまで法律は認めていません。
その有給休暇取得の歯止めとなるのが「時季変更権」というわけです。

ですから、とりあえずは有給休暇を取りたい日に申請してみればいいんです。
その日がダメなら、会社は労働者に日にちを変更してもらう。
なんの気兼ねもいらない、ごく普通のプロセスです。

どうでしょう。
これで少しは有給休暇取得のハードルは下がったでしょうか?

まだ、申請するのに気がかりなことがある、という人の原因はこれですね。

実は、有給休暇取得の理由は通院でも冠婚葬祭でもなく、旅行に行きたいだけ。
会社に理由を聞かれてホントのことを言うのは気が引けるし、嘘をついてバレたら大変だし。

大丈夫です!
理由を聞かれたとしても答える義務は一切、全くありません。ゼロです。

旅行に行くから、と答えて「ふざけるな、遊びで有給なんて認めん」といわれるような職場もあるかもしれません。

その場合は、後述の手段を取りましょう。
その前に、かくいうEはちゃんと有給休暇を取っているんでしょうか。

4.Eの有給休暇の取得歴

Eは今の派遣会社の従業員として働き始めてもうすぐ3年半となります。
次回3年半経過時は「14日」の有給休暇の取得となります。

ちなみに有給休暇には2年の時効があって、入社半年後に取得した10日分は2年経過する、入社2年半に達するまで使うことができます。
ということは、入社1年半後には「11日」が取得できますから合計「21日」分を2年半に達する前に取ることができるわけです。

有給の1回の付与の上限が「20日」ですから、最大で「40日」まで貯めて消化することができます。

Eは適度に(5日前後)翌年に残しながら毎年順調に消化しています。
これまでに「10日」「11日」「12日」と取得して3回の合計で「33日」取得
現在残りが「8日」なので通算「25日」使った計算になります。

何に使ったかというと、

①家族の住むセブに旅行 一回約5日間×3回で「15日」
②去年2週間ほど入院した時に(目の手術をしました)、健康保険の傷病手当金の待機の3日間を有給休暇にあてた(これは複雑なので今回は説明を省きます)
③その他もろもろ、随時取得で計「10日」
 例としては、
 ・家族が日本に来ていた時にお出かけ
 ・自分の通院
 ・親の通院
 ・派遣先を替えた時に1日ブランクができたから有給休暇にあてた

というわけで、通算「28日」取得

上記②については、入院の期間を有給休暇として全額もらった方が得か、健康保険の傷病手当金として3分の2をもらった方が得か、派遣会社の担当にシミュレーションしてもらいました(それどころじゃなかったんで)。

入院期間の長さを考えると待機の3日だけ有給休暇取得にしたほうが得、とEが総合的に判断して(保険の入院保障がもらえる、今後も有給休暇は必要、など)申請したので会社も当然有給休暇の理由は把握していました。

※なんのことか頭の中が「?」の人も多いかと思いますが、これ(業務外の事由による病気やケガの療養のための休業をした時の対処法)についてはいつか改めて解説します。

さすがにセブ旅行で5日間休むときには派遣先にも派遣会社にも理由を言いますが、単発で1日だけ取得するようなときには派遣会社の担当もいちいち理由を聞いてきません。

もちろん、有給休暇分の手当は、時給×所定労働時間(8h)、をしっかりもらっています。

「有給取るのに文句言われないばかりか、理由も聞かれずに、しかも全額もらえているの?すごいホワイトな派遣会社だよね」って思う人もいるかもしれませんが、正確に言うと違います。

Eがそうさせていたからです。

5.会社や派遣会社に有給取得で文句言わせない、ごまかさせない方法

労働者の権利(賃金、休暇、休憩時間など)のことで会社ともめるのって、できる限り避けたいですよね。
これからもその職場の同じ上司、同僚と働き続けるのに会社ともめたら、それは働きにくくなるでしょう。

でも労働者の権利を平気で侵害(賃金不払い、休憩時間に電話対応させる、有給休暇を与えない、など)してくる会社はたくさんあります。
自分が働いたことのある会社でもありましたし、社労士だった頃もたくさん見ました。

なぜ会社は違法とわかっていても労働者の権利を侵害してくるのか。
労働者の賃金や時間を搾取してでも利益を確保したいからです。
経営者はとにかく自分たちの取り分を増やしたいわけです。

Eの派遣会社も全くのホワイトで労働法を完全に遵守している会社などでは決してありません。

Eが3年半前に今の派遣会社の工場勤務に応募した初期にこんなことがありました。

3年半ほど前、Eが応募した派遣先の工場は多数の派遣会社を介して派遣社員を募集をしていてその中でもEが応募した今の派遣会社は、
・最初の2か月は通常の時給の250円増し(すごい!)
・入社から3か月間は入社祝い金1万円あり
という他社よりかなりいいインセンティブを付けていて、これに惹かれて応募しました。
派遣会社も労働者の取り合いですからこれくらいのインセンティブをつけることもあるんですね。

当時は今と違う担当がいて、説明を聞いて派遣先でも面接を受けてシフトも決めて事務所に戻ってさあ、契約
担当が契約書を持ってくると、最初の2か月通常の時給の250円増しのはずが、もともとの通常の金額が書かれていました。

Eは「あ~、来たか~」と思いすぐさま「あれ?これ時給が違いますよね」と指摘。すると、
「あ~、そうでしたそうでした~」と印刷し直した250円増しの時給の契約書を持ってきました。
Eは心の中で「残念でした、応募者が俺で」と思いながら署名捺印したのでした。

それだけではありません。

1か月働いて給料明細書が郵送されてきました(今は明細書はクラウドで閲覧、印刷できるようになりました)。
そこには入社祝い金の1万円の支給がない

Eはすぐさま派遣会社にメールしました(電話ではなく)。
すると担当から返信で来月の給与で来月分と一緒に振り込みます、と。

クレーマーと思われているかな、などとも思いましたが、笑いが出るくらい必死で支給するはずの手当をごまかしにかかるんだな、とあきれたEでした。

さすがにそれ以降は、Eに対してつまらないごまかしはしてこなくなりました。

これが重要です。
おかしいと思ったらすぐ問いただす。
「え~、自分の方が思い違いしているかもしれないから聞けない~」と、されるがままになっている人が多すぎます。
そういう人は、

カモです。

これ以上、労働者の当然の権利を奪われたまま働き続けますか?

6.それでも会社が違法な搾取を仕掛けてくる場合にはどうすればいいのか

中には開き直って、法律の方が間違っている、こんな法律をいちいち守っていたら経営なんてやってられない、とばかりに違法な搾取(時間外手当不払い、長時間労働、果てはパワハラなど)を仕掛けてくる経営者もたくさんいます。
Eは社労士時代に嫌というほど見ました。

そういう会社に限って社長一族は従業員よりはるかに高額の報酬を受け取っていたりします。

派遣社員なら、まずは派遣会社に苦情を申し立てましょう。パートやアルバイトの人なら本社の人事がいいでしょう。
その時、気を付けることがいくつかあります。

まず、前提として、開き直って違法な搾取をしてくる会社は既にかなりのブラック企業でそこで働き続ける価値はありません
その時点で退職を覚悟しておきましょう。

できるだけことを荒立てない、もめない、感情的にならないようにしましょう。
もめたら、辞める覚悟をしているとはいえ明日から働きずらくなる。
当然です。これはよほどのことがない限り抑えましょう。

それと、電話での苦情はやめましょう。
証拠が何も残りません。
電話での音声を録音するのもいいでしょうが音声を、例えば労働基準監督署なりに提出するのって面倒ですよね。音声は第二オプションです。
メールなら印刷して提出するだけです。日付も宛名、差出人も確実に残ります。

メールを送って会社が電話で返して来たら、音声録音をonにしてから通話しましょう。

その会話で無事、有給休暇取得となればよし。
不当に有給休暇取得を拒否されたら、次のステージです。

労働基準監督署への匿名の通報です。
これについては、Eが自分の会社の超過勤務手当不払いを同僚と辞めた従業員と結託して通報した時の経験とともに、次回解説したいと思います。

まとめ

Eが自称する「負けない派遣社員」とはこういう派遣社員です。

非正規労働者が世の中で「勝ち組」に入ることは至難の業でしょう。
でも負けないことはできます。負けないとはこういうことです。
・法律や制度を利用して、会社や経営者の搾取から身を守る
・派遣やパート、アルバイトという労働形態のメリットを最大限に活用する

Eも現在もし正社員として働いているとすれば、当然派遣社員の今より責任がありセブの家族を訪れるために5日間、いつでも行きたいときに有給休暇を取って行く、などということはさすがにできません。
派遣社員という立場だからこそできることです。
実際、派遣社員の道を選んだ理由は家族のことが大きく影響しています。

非正規雇用のメリットを理解し、搾取から身を守る
そのためにも労働法や制度の知識を増やして「負けない派遣社員」になりましょう。

次回をお楽しみに!

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