社労士

社会保険労務士の受験を考えている人へ その選択本当に大丈夫ですか?

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このコロナショックで仕事が減っていますよね。負けない派遣社員Eが先月末まで在籍していた派遣先でも派遣切りがありました。
実はEも昔たまたま仕事を辞めたらリーマンショックで就職に苦労したことがあります。
社会保険労務士の受験を決意したのはその頃でした。

今回はEの体験談と共に社労士受験の是非を考えてみたいと思います。

折しも外出自粛のGW、家で過ごしている人が多いと思います。
そんな時には転職しようかなと考えたり、中でも社会保険労務士を目指してみようかなと考えたりする人もいるかと思います。

社労士資格を目指すとなると、日々かなりの時間数の勉強が必要となるし教材や通信教育などの初期投資も必要となり、挫折すればすべてが水泡に帰します

Eは元社会保険労務士ですが他の資格試験で失敗の経験もあります。
誰でも試験勉強に踏み切る前には情報を集めていると思いますが、このEの記事も参考にしていただければと思います。

次の3つのチェックポイントがあります。

①社会保険労務士試験の合否は運次第って知っていましたか?
②勉強の継続力がありますか?継続できる環境ですか?
③合格後に資格を活用できますか?

Eの社労士遍歴

まずEの社労士受験経歴ですが、
2009年9月に勉強を始めて翌年2010年(平成22年)8月の受験で択一式で2点足りずに不合格(選択式はクリア)2011年(平成23年)の2回目の受験で合格(選択式で救済あり)となり資格を取得できました。

合格後はというと、
その翌年2012年夏に事務指定講習を受け、11月に会計事務所に就職し社会保険労務士会に登録し一応開業社労士となりましたが、事務所の時間外手当の完全不払いと超過重労働などで2年と少しで退職し、社労士業界から完全に撤退しました。

どうでしょう、現在派遣社員のEの微妙な経歴を見ると考えるところがあるんじゃないでしょうか?

とりあえず2回目の受験で合格。これは社労士合格者の中では早い方だと思います。え、そこまで難しくないの?って思う人もいるかと思います。

合格者ならみなそうだと思いますが、その2年間は地獄の勉強の日々でした。
とはいえ、Eは社労士受験合格者をこう表現します。

『合格者=幸運な人』

Eの合格もまさに幸運でした。なぜなら、選択式試験でまさかの救済でギリギリ合格だったからです。

①社会保険労務士試験の合否は運次第って知っていましたか?

まだ、社労士受験の勉強を始めていない人は今日Eのブログ記事を読んだことはラッキーです。Eは勉強を始めるまでこのことを知りませんでした。
まずはこれを承知した上で勉強を始めましょう。

社労士試験には択一式選択式があります。
どちらの試験も足切りがあって、択一式は各科目10問中4問、選択式も各科目空欄5箇所中3箇所の基準点以上を正解しなければ全体の点数が合格点に達していても即不合格となります。
が、正解率が低い科目は救済措置があります。

例えば、選択式の労働基準法は正解者が少ないから(実際は理由は明かされませんが)5問中2問正解でOK、と基準点を引き下げられます。
過去には5問中1問正解でOKとなったこともあります。
問題はこの選択式です

択一式は5つの文章の中から正しい、または誤った文章を一つ選ぶという方式の問題が各科目10問出ます。
各科目の試験範囲をまんべんなく問われるのでほぼ実力を反映した点数が出ます。

ところが選択式は広い試験範囲のごくごく一部の文章を5箇所の穴埋めとした問題形式なので、受験生の苦手な箇所が出るとヤバいことになります。

それだけならまだ実力不足として割り切れるでしょうが、よく救済が行われる「労働一般常識」や「社会保険一般常識」という科目は「一般常識」という文言からもわかるように試験範囲は無限です。

Eの時にもありましたが、受験生の99%が見たこともないような資料や超難問の穴埋めを要求されるわけです。
難問の中には、記憶することが困難な数字だったり、複雑な計算式を覚えていなければ計算できない数値だったりします。
どんな難問・奇問でも基準点が0点になったことはありません。

そのような問題がほぼ毎年出題されます。
受験生はどうするかというと、当然わからないんで運を天に任せて何かしら解答欄を埋めるだけ。

これがどういうことかというと、
1年間必死に勉強しても結局合否は運次第ということです。

もちろん全体の点数が合格点に達していることが前提なんで、『合格点を上回る実力を持った人の中からくじ引きで合格が決まる』ようなものです。
受験生の中でトップクラスの実力がある人も、合格点ギリギリの人もくじを引いて当たりが出た人が合格です。

こんな、理不尽ともいえる試験に立ち向かうことができますか?

社労士合格、Eの体験談

運次第の難問があるとはいえ、Eは2回の試験でそういった難問・奇問をことごとくクリアしました。
救済措置が取られる難問がある中、1年目は選択式全科目3点以上。でも択一式が2点足りず不合格。まだ実力不足でした。

2年目も難問・奇問の類は全て3点以上。ただ、ごくオーソドックスな問題の科目を最後の残り5分で見直した時に考え過ぎで本来正解していた解答を変えるというケアレスミスをして「労基法・安衛法」が5点中2点…

ネットの合格点予想では誰も救済措置があるとの予想をしていなかったのに、なぜかその科目が救済され2点以上OKとなり、予想外の逆転合格をしたというわけでした。

99%不合格だと思っていたので、合格発表までの約2か月は、翌年の試験に向けて勉強を続けるかどうか本当に悩んでいました。まさに社労士を目指したこと自体を後悔さえもしました。

ケアレスミスの神救済で合格となったものの(マジで幸運でした!)、Eは二回の試験のすべての難問・奇問は3点以上でクリアできていたわけです。

なぜできたのか?
正直自分でもわかりません。ただ選択式試験は択一式と比べて試験時間に余裕があります。
時間ぎりぎりまで選択肢を比較検討し、出題者の意図や心理を分析し、悩みに悩んだ上で解答用紙を埋めたのは覚えています。

ちなみにEは社労士試験以前に受けたことがある中国語検定二級の試験でも同じようなことがありました。
リスニングの試験でほとんど、80%くらい聞き取れず聴き取れた20%の情報を元に全体のストーリーを類推して埋めた解答がなぜかほとんど正解していて合格できたという。これもマジで幸運でした!

Eはその辺の才能があるのかもしれません。

社労士試験最大の難関、選択式の運不運

勉強さえすれば誰でも合格できるだけの実力は身に着きますが、最後はくじ引き状態
こんな試験に挑むかどうか、まずこれが社労士受験を選択する際の第一関門です。

Eも受験生当時、ネットで様々な受験情報を集めていましたが、この選択式問題のせいで何年も落ち続けているという受験生のSNSの書き込みをいくつも見ました。

難問・奇問をことごとくクリアしたEでも必勝法は、ひたすら考えるということ以外何もありません。
翌年またクリアできるという自信も全くありませんでした。

まずはこの現実を知った上で、長丁場の勉強を始めるかどうか熟慮しましょう。

②勉強の継続力がありますか?継続できる環境ですか?

社労士受験の勉強を始める前にまず気になるのがこれだと思います。
そもそも合格まで継続して勉強できるのか、と。

合格率はおおむね6~7%。
ご存じのように社労士試験は最低限、合格の可能性があるレベルに達するだけでも相当な勉強量を要します。
日々の勉強を継続することができなければ合格などあり得ません。

Eの1年目の勉強量をざっと計算してみましたが約850時間だと思います。
それでも択一式が2点足りなくて落ちるという、運不運以前の完全な実力不足でした。

働きながらだと、仕事以外の時間を相当犠牲にします。
試験日が近づくにつれて勉強時間が増えていきますが、Eの場合、4月以降は休日に勉強以外の予定は一切入れませんでした。
友人に誘われたけど勉強が気になって別の理由をつけてドタキャンしたこともありました。

Eがそこまでして勉強できたのは強烈な負のモチベーションがあったからです。
Eの場合、とにかく他人に雇われないで何か知らで独立したかったから。それプラス、リーマンショック期に受けた会社でゴミのような扱いをされた怒りも後押ししました。
詳しくは過去の記事にあります。
『社労士試験を目指した3つの理由。実際になってみて、微妙だった…』

何かに取り組むとき怒りのパワーってすごいですよね。
これがある人ならやり抜けるとEは思っています。

勉強時間を確保できる環境にありますか?

勉強を始めたばかりの頃って誰でもやる気にあふれているからいくらでも勉強できる気持ちになるものですよね。

が、仕事を持っている人にとって勉強時間の確保って正直難しいです。時間が確保できないと、どんなに強いモチベーションがあっても挫折します
常に残業があるような仕事では体力的に厳しいです。
家族があって子供がいれば家族に割く時間も必要になります。

幸いEは当時独身でしたし、リーマンショック時に就職できた司法書士兼土地家屋調査士の事務所は安月給の代わりに残業はゼロ、17時きっかりに帰宅できていました。
これだと仕事後に3、4時間の勉強も無理ではありませんでした。

そんなEも失敗の経験があります。

Eの資格試験失敗談

Eは社労士に合格した後、実は税理士を目指した時期があります。

もともとEは地方の地元で社労士の資格だけでの独立開業は難しいことを認識していました。
社労士に合格した直後だったこともあって、まず簿記検定を3級、2級と取り、勢いに乗って税理士試験の勉強を始めました。

税理士試験は5つの科目に合格しなければなりませんが、各科目が社労士試験と同じくらいの難易度があります。
まず、必須科目の簿記論を受けることにして数万円を払ってオンラインの通信教育を始め、経験のためにと実際に1度試験を受けました(0点に近かったと思います)。

そこそこ順調に勉強を始めたEでしたが、ほどなくして会計事務所に就職し状況は一変しました。
超長時間労働の日々だったんです。未経験の仕事なので仕事後も仕事のための勉強が日々待っていました。
もはや一秒たりとも税理士の試験勉強なんてできなくなりました。

会計事務所では税務会計やコンサルの仕事もしていたので知識が多少役に立ちましたが通信教育の授業は7割受けずに終わりました。

このように、環境の変化も考慮して勉強時間の確保ができるかどうかよく考えてみましょう。

ちなみに、試験は毎年8月の第4日曜日、最も暑い季節にありますから仕事と勉強による疲労は5月の今よりかなり負担がかかりますよ。

③合格後に社労士資格を活用できますか?

かなりの労力と時間、人によっては何年も、をつぎ込んで資格を取得した後で社労士資格を活用できる目算はありますか?
これがEが提示する3つ目のポイントです。

膨大な労力を費やして資格を取得しても、活用しなければ時間と労力、費用をドブに捨てることになります。
確かに履歴書に社労士資格を書けば就職に何らかのプラスがあるかもですが、社労士資格を活用する仕事でない限り到底費やした犠牲の元は取れません。

それが意外にも、資格だけ取って何も活用しない人が多いです。
それは登録社会保険労務士の数(現在全国で約4万2千人、開業・法人社員・勤務込み)と合格者の数(令和元年は 2,525人)の比較からも言えますし、Eが合格当時にSNSや合格後の事務指定講習を受けた時に出会った合格者のほとんどが特に資格を活用する予定がない人でした。
1人だけ社労士資格があると会社で給料が上がるという人がいただけです。

Eの社労士就職体験

Eはとにかく実務経験を積んで早く独立開業したかったので事務指定講習を終えてすぐにそれまでの職場を退職して社労士就職に動きだしました。

が、そもそも就職自体が困難でした。
Eの地元の通勤可能な範囲で社労士を募集している事務所は3~4か所。
一方Eは当時実務経験ゼロのアラフォー
全事務所で不採用になりました。
と、思いきや最後の会計事務所の不採用通知が届いた直後に税理士先生から直接電話がかかってきてやっぱり面接に来ないか、と。         

その会計事務所は税務会計の他に社労士業務、外国人技能実習生の監理団体など多角経営していました。

Eの司法書士事務所での不動産登記の実務経験が相続税の申告などに、中国語のスキルが外国人技能実習生の業務に役に立つということで逆転採用となりました。

Eは他のスキルのおかげでなんとか就職にこぎつけ資格をムダにせずに済みましたが、社労士資格だけなら全滅していました。2年の猛勉強が危うくパーになるところでした。
社労士資格を生かせる働き口は意外と少ないです。

Eの経験から言うとその先独立開業したとして、実務遂行力、顧客獲得する営業力、経営者としてのマネジメント力など多くの能力がなければ食べられるようにはなれません。

自分の環境やスペックで合格後に社労士資格を生かせるかどうか、よく考えてみましょう。
年齢や経験値によっては業界に脚を踏み入れることすらかなわないことも。

まとめ

今回の記事を見て、せっかく今挑戦する気満々なのになぜ水を差すんだ、と思う人もいるかもしれません。
それでもEが再考を促すのは、挫折する人があまりにも多く、資格を取れても人生にプラスに転換できるケースがあまりにも少ないからです。

社労士受験に費やす労力と時間は、他のことにつぎ込むことでいくらでも人生の役に立てられます。
しかも社労士業もご多分にもれず将来AIに仕事を奪われるとも言われています。

貴重な人生の時間と労力をムダにしないためにももう一度考えてみましょう。
次回は社労士受験に向いている人のタイプについて語りたいと思います。
ではまた!

今年の受験生のみなさん、そろそろ直前対策の時期ですね

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