派遣の心得

派遣社員が時給アップしたばかりの派遣先を1か月休んで南国で過ごしたら職場復帰できるのか?

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先月でした。
2022年3月にセブに住む家族と2年振りの再会。そしてセブで約1か月の滞在!
南国セブでの日々はそれはそれは楽しくて、あっという間に過ぎたのでした。

と、普通に日本で働いている者にとって1か月もの休みを取るってなかなか難しいものがあるかと思います。
そこは派遣社員といえど例外ではなく、休みを願い出た時のEへの派遣先の対応は「一旦派遣契約解除」でした。しかも、今回の休みは1か月では収まらずコロナの水際対策、7日間の自主待機期間を余儀なくされました。

そんな派遣社員Eを大手一部上場企業である派遣先は再び雇用したのでしょうか?
結論を言えば、何の問題もなく諸手を挙げて歓迎の中での復帰ということになりました。
今回はEの派遣社員の長期休暇問題の顛末を報告します。



セブ渡航前の派遣契約事情についての記事です。

渡航前の状況

さて、詳細は渡航前の記事にも書きましたが長期休みに突入するまでの(2022年3月前)Eの派遣労働の状況を整理します。

【派遣社員としての経歴】
①現派遣会社に5年以上勤務
②現在、派遣会社の無期雇用労働者扱い
③現派遣先には1年4か月勤務
④現派遣先で2回の時給アップ、計150円達成 
※2月から100円アップしたばかり

【長期休暇について派遣先の対応】
①長期休暇について現場の長は完全容認
②ところが上層部(人事)は一旦契約解除を決定
最終出勤日に机・ロッカーを空に、鍵・IDカードを返却
※再契約がない場合を想定
④業績は極めて好調、増産のため人手不足

ひとつ言えるのは、派遣先は猫の手も借りたい忙しさなので並み以上の働きぶりをしていれば元々再契約の可能性は高かったと言えます。
それと特筆すべきは、定期的な昇給でもなく2回の時給アップを勝ち取っていることからもわかるように、Eが職場ではなくてはならない存在だったこと。

ただ、2年振りとはいえ外国の家族に会いに行って1か月滞在するような派遣社員を一部上場の大手有名企業がどう見るか?
雇用し続けることを躊躇するのではないか?
それだけが一抹の懸念材料でした。

日本帰国

セブ滞在中、家族との時間を思い切り楽しんでいる最中でした。
予定していた帰国便の欠航などがあり、予定の帰国日が一日ずれることになりました。
ことを報告するためにEは帰国の一週間前に派遣会社の担当に1通のメールを送りました。

帰国日が一日遅くなります。ご面倒をおかけします。

と。

担当には渡航前に、従来の派遣先への復帰を希望する旨は既に伝えてあります。
なかなか有能なEの担当。「了解しました」とだけ返信がありました。
わかります。
担当としてもEからの「帰国しました」の一報がない限り担当も動きようがないことは承知。

そして3月末に日本帰国
Eは羽田から地元の自宅に帰る道中、担当に再びメールしました。
この時のメールには次のことを伝えました。

・羽田空港でのPCR検査が陰性だったこと
・自主待機期間が7日間あること
・元の派遣先に復帰を希望すること

これに対して担当から即返信あり。
「確認して連絡します」とのことでした。

羽田空港到着 撮影:E

自主待機開始

帰国翌日からEは7日間の自主待機期間に入りました。
現在、フィリピンからの帰国者はワクチン3回接種者であれば「入国後の自宅待機を求めない」となっています。つまり普通に生活できるわけです。

が、ワクチン2回接種者のEは7日間の自宅待機。その間一日に何度かスマホで居所確認をされました。
厚生労働省の水際対策についてのHPはこちら

My SOSの居所確認の通知画面



自宅待機初日(帰国翌日)に担当から電話連絡あり
元の派遣先の現場の長に連絡を取ったところ「、待期期間が終わったらすぐにでも復帰してもらいたい」とのこと。
これは渡航前と同じ回答。

但し、現場の長は人事の全権を握っているわけでは全然なくて、当初はこれに惑わされていました。
Eも担当も、現場の長が上(人事)におうかがいを立てて、その決定が下されるまで何も決まっていないも同然だということは過去の経験から百も承知。

Eは自宅待機のまま数日待つ。
自宅待機の間にやっていたことといえば、Netflixでアニメ『進撃の巨人』の一気見
Season1から最新話までまる三日間見続けてネトフリ廃人になっていました。

『進撃の巨人』フィーバーの最中、再び担当から電話が入りました。

派遣先の処遇

担当から告げられた派遣先の処遇は、

待機期間終了後に再び派遣労働契約
・復帰日は派遣社員の受入れの曜日が決まっているから待期期間終了後の最初の受入日

とのことでした。
まずはひと安心。

が、契約の前にもうひとつ確認しておくべきことがありました。

復帰後の時給は?

Eはこれまで交渉によって2回の時給アップで、計150円を達成しています。
まさか新人と同様に一般の派遣社員の時給に戻されるのでは?
と、その心配はご無用で条件は全て元のままとのこと。

これで安心して『進撃の巨人』に没頭できる。廃人生活を満喫するEでした。

復帰前日に派遣会社に出向いて契約書にサイン。
作業着は休み前にクリーニングに(自費で)出して返却するように言われていましたが、担当が上手いこと理由をつけて事務所に留め置いてくれていました。有能です!
その作業着をそのまま使います。

職場復帰

復帰初日、出勤時間の15分前に派遣会社の担当と一緒に庶務に。
そこで休み前に一旦返却した入館証と靴、以前と同じロッカーの鍵を渡されました。

1年半前に入社した時は半日レクチャを受けましたが、当然今回はなし。
その日の朝礼から仕事開始。
初日からEの復帰を見込んでか誰も手を付けず、やり残されていた仕事に忙殺されるのでした。

Eの休み中、本来Eが担当している仕事は他メンバーに引継ぎをしてありました。
Eが復帰できない場合も考えてEが独自に作った資料も渡し、辞める前提で完璧に引き継いでおいたにもかかわらず3月分の仕事の半分以上が残されたままという。

現場の人たちとしてはEは必ず戻って来る、というか戻ってこないなどということは考えたくもないといった状況だったことは想像がつきます。
それくらい復帰して1週間以上経った現在も職場は忙殺されています。

とはいえ現場の長に「埋め合わせに人を雇うより、1か月休んでもEさんを雇ったほうが利益がある」と言わしめ、同じ部署のはぼ全員から復帰を歓迎されるという厚遇を受けました。
言ってみれば、休んでいる間にいつの間にか自分の存在価値が爆上がりしていた感じです。

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勝因解析

勝因というのも変ですが、今回Eが無事に、周囲の歓迎ムードの中、元の派遣先に復帰できた原因を考察してみました。

まず、一番に大きな原因はこれでしょう。

勝因1 現在、業績好調で人手不足である。

どんなに有能な労働者でも、人があふれて仕事がない状況で再契約は難しいでしょう。
Eが今回のセブ滞在を1か月という期間にしたのは、派遣先が明らかに人手不足で、帰国後の復帰に勝算があるぎりぎりの長さだったからです。

そうでなければもっと短い滞在期間にしていたことでしょう。
有給は全て消化で、足りない分は欠勤(無給)となる日も出るので収入との兼ね合いという別の要素も絡んではいました。
長期休みを取るなら職場の繁閑や労働者の需給の状況を見て時期と期間を選ぶ、ということが当然考慮しなければいけない事項だと言えます。

次がこれです。

勝因2 Eが派遣社員としては飛び抜けて有能である。

あ、怒らないでください、嫌わないでください。

自慢しているわけではありません。Eは入社から1年の間に2回、計150円の時給アップ、しかも言い値で、を実現するほど一般的な派遣社員の能力水準をはるかに上回っていることは客観的にも事実です。

日々の業務スケジュールもEの裁量に任されています。業務の優先順位や緊急度合いなどは必要に応じて上にお伺いを立てますが基本自分の判断で動いています。
判断のための必要となりそうな情報も常にアンテナを張り巡らせているし、どれからやってもいいような業務はその時々の気分で決めています。
明らかにヒマなときはトイレに長めにこもってスマホで株式投資の情報を見たり、実際に売買したりすることもあります。

これだけEの仕事ぶりが認められているのにはEが数年前に派遣社員として生きていくことを決めた理由にも起因しています。
今から5年前にEは正社員として働いていた会社を派遣社員になるために辞めました
理由は、長時間労働やわけのわからないサービス残業やストレスから逃れ、自分の能力の5~6割だけ使ってのんびり働ける生活を得るためでした。
つまり、自分のポテンシャルからすると難易度の低い仕事を選択しているから当然評価はよくなるわけです。

もしEの職場でのパフォーマンスが並み以下だったとしたら。
この人手不足の中、人事が現場の長に求めたようにEのポジションは代わりの人材で埋め合わされていたことでしょう。

今回のような長期休み後に復帰できるかという問題だけでなく、労働者の個々の能力、資質によってその労働者への待遇や扱いに格差が生まれるのは当然のことです。

これまで他の派遣社員を見ていると、このことをわかっていない人は大勢います。
学校は生徒は平等に扱う必要がありますが、会社は本来従業員を平等に扱う必要はありません(もちろんあからさまな依怙贔屓は全体のモチベーションに影響しますが)。
能力があろうとなかろうと、業績がよかろうと悪かろうと同じ給料、待遇だとすればそれは共産主義の世界だけですよね。

そして労働者の資質、という意味ではこのことも関係してきます

勝因3 使う側に扱いやすい派遣社員という印象を与えている

要するに派遣先の上司、自分を評価し、自分の処遇に影響を及ぼす人から良く思われていることが必要。悪く言えば要領よく立ち振る舞えということです。
それによってプラスを積み重ねることが、何かあった時に自分を助けることになります。

Eが実際に心がけていることです

①指示内容や職場環境に多少の不満があっても嫌な顔をしない
②従業員間の揉め事を起こさない
③こまめに報告する
④隠せないミスは報告する(隠せるミスは完璧に隠す)
⑤多少の残業・休出は引き受ける
⑥期待通り、またはそれ以上の結果を残す

などなど。
これらをひと言で表すと「行動は得か損かで決める、感情は排除する」、そして「自分の行動はできるだけ上によく見せる」ということです。
例えば、相手が社員でもここは少しキレた方が得だと判断すれば少しキレて見せる、という場合もあります。

今回、「1か月休んでもEさんを雇ったほうが利益がある」とEの復帰を強力に後押ししてくれた現場の長。彼が派遣社員に何を求めているのかを考えてみます。

第一は業務において平均以上の結果を出してくれること、でしょう。
次に、というかその前提として面倒を起こさないこと
揉め事を起こしたりして余計なことに時間を使わせないこと、が挙げられます。
職場を見ていると意外と多いんですが、やたらと細かいクレームをつけたり面倒を起こして余計な時間を取らされる派遣社員は、普段いい結果を出していてもかなり評価が減殺されますよね。

もちろん、今回のEの1か月の休みは現場の長にとってはかなりの面倒なことだったはずです。
これまでのプラスがかなり減殺されたことは間違いないでしょう。
損得を考えれば、しばらくはおとなしくして次回までにまたプラスの積み上げをしていくとします。

まとめ

そもそも2年振りとは言え、Eはなぜ1か月もセブ滞在をしたのか。
これもEが派遣社員という生き方を選択した理由につながります。

当時、家族ができて家族と過ごす時間を何よりも大切にしたいという思い。
どこの職場に行っても長時間労働わけのわからんサービス残業がつきまとう正社員という働き方に限界が訪れ、ついに決意して派遣社員になりました。
そこにコロナ禍。2年以上家族と会えない日々。
この家族との空白を埋め合わせるのに1か月という時間はEにとってはどう考えても不可欠でした。

今回は思惑通り元の派遣先に復帰できましたが、例えば休み中に人手不足が一気に解消されるなどして完全に契約打ち切りになる事態も覚悟してはいました。
まあ、結局のところ復帰の決め手は人手不足だったと思いますが。

これからもEの派遣社員としての生き方を紹介していきます。
次回をお楽しみに!

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