台湾移住シリーズ、今回は約20年前に台湾の日本語教師だったEの一日ルーティーンの後編をお届けします!
前回の記事で台中市の語学学校「地球村」での授業風景、昼間の授業の様子などを紹介しました。
今回はその続き、翌日以降の授業の教案作りや夜の授業風景などを紹介します。
前回の記事です。
日本語教師のルーティーン 続き
前回、昼間の授業が2コマ終了。
次の夜7時の授業までたっぷり時間があります。
さて、この空き時間をどう過ごすんでしょうか。
15:00 空き時間
午後7時まで4時間の空き時間。
まずはやるべきことをやっておかなければ。
やるべきこと、とは明日以降の授業の教案作り。
この時間帯は地球村の授業もほとんどなく生徒もいなくなる。
このまま夜の教室に移動して長い空き時間を過ごすこともあるけど、この日は移動するとする。
といっても同じビル内。
当時駅前の地球村の台中駅前分校のあるオフィスビル(?)の最上階に喫茶店がありました(この約1年後には閉店)。
台湾では、日本のように挽いたコーヒー豆をドリップするタイプのコーヒーが日本のようには一般的ではない。が、この喫茶店はおいしいレギュラーコーヒーを出す。
と、さっきまでEの授業に出ていた主婦の方々もここで談笑していた。
挨拶するが「授業の準備がるんで」と別のテーブルに着く。
いつもの美式珈琲(アメリカンコーヒー)を注文。
やがてコーヒーと一緒にケーキが運ばれてくる。
別テーブルの主婦のみなさんからの差し入れのよう。
楊さんに手を振って「謝謝」とひと言。
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教案作成
まずはやることをやる。
地球村の教材でもある雑誌を開き、翌日分の初級の授業のページに目を通す。
文法説明の項目を2、3ピックアップ。
生徒のみんなに会話練習のために発言してもらう話題はどうしようか?
雑誌の日本語の文章の内容が最近話題の映画についてなので、おすすめの映画について日本語で紹介してもらおうか?
かなり苦労する生徒もいるかと思うけど、Eがフォローしながらやってもらうとする。
時間が余ったら雑誌中の文型、「時々(頻度)」を表現する「~ことがある」で作文してもらおうか?
いつものように教師Eがまず例文を提示。いくつか考えておく。
例えばこんなの、
「夜市で食べる時は、歩きながら食べることがある」
初級の授業のレベルに達してない生徒がいた場合のために中国語の訳文も考えておく。
「去夜市吃飯、有時候邊走邊吃」
上級者向けに少しハイレベルの例文も。
「タイ料理は辛くて食べられないこともあった」
と、可能否定形の「食べられない」を「~こともあった」と過去形との組み合わせ。助詞も「が」だけでなく「も」を使ってもよし。
と、30分ほどで教案完成。
あとは授業の中で膨らませたりする。
すき間時間の活用:中国語の勉強
さて、夜の授業まではまだまだ長い時間がある。
次にやるべきことは、中国語の勉強。
かばんから取り出したのはミニサイズのノートにびっしり書かれた単語帳。
普段の会話から台湾の字幕付きのテレビ番組、地球村の雑誌と、あらゆる場面で覚えた語彙をメモしまくったノート。
単語のみならず、短いフレーズまでメモしてある。
これをすき間時間に覚えまくる。
多くの人は外国語というと英語しか勉強したことはないかもしれない。
中国語は英語の単語やイディオムを覚えるのと比べると倍以上は覚えやすい。
どう考えても日本人にとってローマ字の羅列より表意文字である漢字の方が覚えやすい。漢字は羅列ではなく組合せとなる。
しかも文法も簡単。
中国語を学べば、あの単語からして苦しんだ英語とは全く違う世界が見える。
勉強に疲れたところで喫茶店を出る。
生徒さんたちはすでにお帰りに。だいぶ長居したE。
場所を変えて、というか同じビルの階下の地球村へ逆戻り。
夜の授業がある教室でひと眠り。
すき間時間の活用:読書
30分ほどうたた寝して頭がすっきりしたところで自分の趣味、読書。
このころは結構な量の読書をしていた頃で(最近すっかり減りました)、日本語の本は廣三sogo百貨の中の紀伊国屋書店で購入していた。
日本の書店の1.6倍くらいの値段で売られているが本なしでは生きていけなかったE。
台湾移住1年時点の頃に読んでいた本は恐らく、井沢元彦著の 『逆説の日本史』 だったのではないだろうか。
井沢元彦氏の『逆説の日本史』シリーズは20代後半からずっと読み続けていた。
現在に至るまで30年も週刊ポストに連載されているシリーズは最近追いつけてはいないが、飛行機に乗る時など読書の時間がある時には真っ先に『逆説の日本史』シリーズの続きを空港の書店などで購入している。
長年にわたるシリーズの中でもやはり日本史の華は戦国時代!
※詳細は画像をクリックしてください。
本に引き込まれて読みふけっていると外が暗くなってくる。
と同時にお腹も減ってきている。
授業の前の腹ごしらえの時間だ。
外で間食
一旦、地球村を出て台中駅の反対側「後車站」へ。
線路の下をくぐる地下通路を抜けるとすぐに、学生が多く行き来するせいか安い食堂街がある。
そのひとつで軽く食事。
店先にぶら下がっている北京ダックも気になるけど、この日は50元でボリュームたっぷりの排骨飯を。
一旦満腹になって教室に戻る。
この時、夜の授業の30分前。
すでに教室に来ている生徒もいる。
次々に生徒がやって来る。Eはいつものように中国語の練習も交えてみんなとおしゃべり。
19:00 夜の受業開始
さて、夜7時からの120分の初級の受業。
内容はもちろん昼間の初級の受業と同じ。
昼間に一度やっているから夜の受業では段取りも覚えていて言葉もすらすら出てくる。
昼間に受けた話題は夜の受業でさらに手厚く扱う。逆に受けなかった話題は控えめにする、など昼の反省を生かして授業を盛り上げていく。
夜の初級は人数も多いが、その分授業時間も長い。
日本語での会話や練習は密度が薄まる分、積極的に練習したい生徒にとってはやや物足りないかもしれない。
実用を求められる英語と違って、日本語の生徒の多くは趣味の一環として日本語を学んでいる。
当然、授業にもエンターテイメントが求められる。
Eもついついお笑い芸人さながらにいち授業にひと笑いは取ろうという目標の下、身振り手振りを交えてしゃべりまくる。
学生は昼間とは打って変わって、日本語学科の大学生や通勤帰りの会社員やОLさんなど若者が多い。
もちろんEの授業の常連さんも多く、半分以上はいつも見る顔。
この夜の受業も盛況のまま終了。
授業後の交流
この頃の常連さんには、20年近くたった今でも連絡を取り合っている生徒もいます。
当時台中市にある国立大学、中興大学の学生だった客家人の鄭さん。
卒業後は地元の新竹で就職したりしていたけど、職を見つけて日本に移住。現在は台湾人の奥さんと子供二人と関西に住んでいます。
嘉義の大学を卒業して台中で就職したОLの頼さんは大学の同級生だった当時大学院生の彼氏と遠距離恋愛中。
このしばらく後に新竹の科学園区の会社のエンジニアになった彼氏と結婚。
頼さんが授業の中でも事あるごとに話題にしていた遠距離中だった彼氏とは三人でビリヤードに行ったりもしました。
この鄭さんと頼さんの二人を中心に、夜の台中駅前授業でも仲良しグループが自然発生。
午後9時の受業終了後はみんなで晩御飯に!
台中駅近くの継光街や電子街の安食堂へGO!
よくそこでみんなと店が看板になるまで盛り上がっていました。
台中駅前授業の生徒たちとE
まとめ
と、今回は2004年の台湾移住1年経過の日本語教師Eの一日ルーティーンを紹介しました。
受業の準備はまだまだ大変でしたが、台湾の人々との会話、生徒たちの前でのしゃべり、とEにとっては毎日の仕事がそのまま楽しみに直結する最高の日々でした。
今後も台湾での最高の日々を思い出しながら記事にして紹介していきます。
次回をお楽しみに!