さて、先日の記事で「起業する」と宣言しました。
それはあるビジネス書を読んだことがきっかけだということも伝えました。
この本です。
『しょぼい起業で生きていく』という本です。
価格:1,430円 |
この本を読んだおかげでこれまで、この年に至るまで、起業に踏み切れずにいた原因である「精神的な障壁」が取り払われて、いよいよ起業できました。
なぜならこの本でいう「しょぼい起業」とは、
・例えば食事を多めに作って余りを売る、などの「生活の資本化」を基本とする。
(生活の資本化=まず自分が消費⇒余った分を販売)
・例えばガレージに停まっている車を有料で貸し出す、などの「資産の資本化」をする。
(資産の資本化=すでに持っているものを使ってお金を稼ぐ)
・「事業計画」も「銀行での資金調達」もいらない。
・最初から一攫千金を狙ってはいけない
といった、大した初期投資も必要なく、低リスク低完成度で始められる、超ゆるい起業だからです。
そんなわけで、この本を読んだその日のうちにEはセブに住む妻に「起業するよ~」と宣言し、あるプランを伝えたのでした。
と、ここまでが前回の記事の内容です。
Eの起業プラン
これも既に述べましたが、Eは日本では起業しません。
というのもEの妻はセブ出身で、現在子供たちと一緒にセブの田舎に住んでいます。
そしてEはコロナ禍が収まれば近い将来、セブに移住します。
よって日本で起業することは無意味。
というわけで、セブ島でリモート起業です!
前回の記事です。
実行するのはセブに住む妻です。
実は妻は以前から、彼女の母親もやっている「サリサリストア (Sari Sari store)」をやってみたいと言っていました。
Eが考えた「しょぼい起業」プランは、このSari Sariストアを他の商品・サービスと組み合わせる、という超単純なものです。
もちろん、前述の著書が述べている通り、「生活の資本化」、「資産の資本化」をして、資金調達などせず(もちろん多少の設備の改善、仕入れはします)、一攫千金も狙いません。
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最初に直面した課題
「Sari Sariストアと他の商品・サービスを組み合わせたビジネス」というのがEと妻とで固まった方針ですが、実はここに至るにいろいろとありました。
『しょぼい起業』を読んだEは、この本の著者が最初に始めたというリサイクルショップを妻が住むセブ島の田舎で始めるのもいいな、と思っていました。
Eは家族が住むセブにまだ定住したことはないものの、何度も訪れています。
去年はセブ島の田舎に新居も建てました。
Eは家具や雑貨を揃えようとするとき、日本でならまずリサイクルショップに行きます。
日本でハードオフや 2ndストリートなどのリサイクルショップが全国区になってからというもの、特に目的の品物がなくてもリサイクルショップに寄って、安くて使えそうなものを見つければ購入したりしています。
3歳の娘にリモートで子守唄を歌う時に弾くギターもハードオフで買いました♪
ところがセブでこういった店はないのかと妻に聞くと、ないと。
そこで、セブの田舎の新居には店舗にできそうなスペースがあるのでリサイクルショップを始めるのはどうか、と妻に相談しました。
が、妻はやりたくないと。
なぜやりたくないかと聞くと、リサイクルショップはそこらじゅうにある(え⁉)だとか、買取の時にゴミばかり買わされる、だとかいろいろ理由を述べていましたが、要するに妻の趣向に合わないというのが本音のようでした。
その代わりに妻が強く押すのが、自分の母もやっていて前からやりたいと言っていたSari Sariストア。
ところが、Sari Sariストアの案はEがかねてから反対していたのでした。
理由は、
利益が少なすぎて、ビジネスとして意味をなさないからです。
どういうことのなのか、説明します。
Sari Sariストアって何?
Sari Sariストア、というのは要するに駄菓子屋 + 雑貨屋のごく小さいお店のことです。
妻の母親がやっているのは、その小さいお店の内でも、最も小さい部類に入るもので、こんな感じです。
妻の母経営のSari Sariストア 撮影:E
この店は妻の母が住む10数戸の家屋が集まった集落にある、立地的にも、商品の数量的にも(ご覧の通り)超小規模店舗です。
実際Eが訪れた時にも、近所の子供がスナック菓子を買いに来ているのを2度ほど見た程度。
日に数十ペソほどの売り上げをを家計に足しにできればいいいかな、くらいの商売です。
もう少し大きい店はこんな感じです。
ラプ‐ラプ市のSari Sariストア 撮影:E
この店はラプ‐ラプ市の空港に近いにぎやかな市場の中にあり、客数も品数も段違いに多いです。
このような Sari Sariストアが「利益が少なすぎてビジネスとして意味をなさない」と述べた理由は、その仕入れの経路にあります。
小規模なSari Sariストアのほとんどは商品の仕入れ先が「大規模スーパー」だからです。
小規模なSari Sariストアは、うちの妻のような普通の主婦などが経営していたりしますが、スナック菓子、飲料、調味料、洗剤などの商品を大規模で比較的割安なスーパーで仕入れて、Sari Sariストアで売る時は仕入れ値に3ペソ(約7円)程度を上乗せして販売します。
例えば、1個25ペソのインスタントラーメンを仕入れて、28ペソで売る、3ペソの粗利、といった感じです。
Eの自宅周辺には大きなスーパーはなく、最短でも車で1時間はかかるため、住民は日常の買い物は Sari Sariストアで済ませることが多い。
つまり、ひとつ余計な中間業者(大規模スーパー)を間に挟んだフィリピンの小売システムの末端が Sari Sariストア、というわけです。
結局一番利益を得ているのは、SMマートなどの大規模スーパーです。
妻はこのSari Sariストアをやりたいと言っていたんですが、Eは反対し続けていました。
ひとつの商品で3ペソの利益では労働をした分、既に損だと思っているからです。
それに加えて仕入れには輸送費、ガソリン代がかかります。
商品によっては冷蔵などの保管が必要です。
こういった輸送や保管にかかる経費、販売にかける労働などを差し引くと完全に赤字です。
そこそこの規模のSari Sariストアなら卸売業者から直接、仕入値での仕入ができるでしょうが、セブの中心地から離れ、閑散としているEの自宅の小さな Sari Sariストアと取引をして、商品の納入に来てくれる業者を見つけられる見込みはほぼありません。
会計事務所勤務経験のあるEは、こういった計算は瞬時にできますが、経営や会計の知識に乏しい妻に理解してもらうのは結構苦労します。
実はこの現象は妻だけではありません。
会計事務所で多くの中小企業の経営者と関わっていると、妻のように感覚だけで商売をしている人も結構います。
材料費をかけすぎていて、売上が上がれば上がるほど損失が増え、かなりの借金を抱えている、という会社もいくつか見てきました。
そういう経営者って、
どんなに数字で説明しても、なぜか納得しません。
それどころか、例えば明らかに割高な仕入先を替えてみたら、などのアドバイスをしても頑なにやり方を変えようとしません。
Eはその辺もわかっているので、Sari Sariストアをやりたいという妻に、やめるように無理に理詰めで説得することはしませんでした。
その代わりに、
Sari Sariストアだけの起業はしない。他の商品・サービスと組み合わせる、
ということを条件にしました。
Sari Sariストアに置く商品も、最初はあくまでも家族で消費するものだけ。
初回の買い付けは、家で6か月以内に消費できる量にするようにと妻に伝えました。
Sari Sariストアの商品買い付けの様子です。
プラスアルファの商品・サービス
ここで、もうひとつ触れておくべき情報があります。
セブの自宅はWi-Fiを引いているんですが、周囲の家ではWi-Fiがない家も多いです。
そこで妻は昨年末に親族の一人と共同で、コインを入れて一定時間Wi-Fiが利用できる、コインWi-Fiの機械を購入して、家の横に設置していたのでした。
これもEは当初、初期投資のコインWi-Fiの機械、約2万円を回収するのは難しいんじゃないかと反対していました。
が、ふたを開けてみるとそこそこ利用客がありました。1回5ペソで30分間利用できるんですが、売上にして週に約500ペソはあるようです。
この売上は、共同で機械を購入した親族との折半ということになっています。
それでも月額2,500ペソ(約5,400円)という我が家の高いWi-Fiの通信料の足しにはなっていました。
と同時に、既にいくらかの利用客がこれから開業しようという店の前に集まっていたわけです。
これでSari Sariストアと組み合わせるサービスがひとつ決まりました、というか既に決まっていました。それが、
コインWi-Fi!
もちろんコインWi-Fi の売上を含めても、ビジネスとして意味をなさない、ということには変わりありません。
妻と話し合い、ひとつの案を試してみることにしました。
近年、日本でも流行していたあれです。
タピオカドリンク!
タピオカドリンク販売計画
タピオカドリンクの販売を決めた理由はこれです。
・初期投資がほとんどない
・作るのが簡単
・コーラなどのソフトドリンクに比べて単価が高く設定できるから、利益を上乗せする余地がある
・セブでもそこそこ人気のドリンク
などです。
さっそく作り方の動画をYouTubeで検索して妻に送りました。
ついでにですが、Eのたっての希望であるリサイクルショップ。
家でいらなくなったもの、例えば3歳の娘が赤ちゃんの頃に使っていた服などを店に並べてもらう。これだけは承諾してもらいました。
これで、おおまかな起業計画はできました。
もともとコインWi-Fiでいくらかの利用客がある
↓
Sari Sariストアを始めて、ついでに日用品も買ってもらう
↓
タピオカドリンクを販売して、プラスアルファで買ってもらう
(コインWi-Fiの客は店の前で30分以上を過ごすわけだから、飲み物の需要あり)
↓
ついでに家でいらなくなったものを買ってもらう
と、このように実に「しょぼい起業」です。
まさに「生活の資本化」、「資産の資本化」、初期投資ほとんどなし、一攫千金は狙いようもなし。
ホントに、ビジネス書『しょぼい起業で生きていく』のおかげです。
アラフィフにしてようやく、しょぼく起業できました。
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Sari Sariストアの立ち上げ!
というわけで、起業のおおまかな道筋が決まり準備に取り掛かりました。
・Sari Sariストアの商品買い付け、陳列、値札付け
・タピオカドリンクの試作、味見
・家でいらなくなったリサイクル品の選定
こうしてみると、簡単ですよね~
と思いますよね。
Eもそう思いました。まあこれまでのところ起業が進行していると言えばしています。
が、そう順調にはいかず、いろいろありました。
今日現在の進行状況です。
・Sari Sariストアはオープンしました。売上はまだほとんどありません。
・娘が赤ちゃんの頃に着ていた服や道具を販売しています。
・店回りを少し改良しました。
・タピオカドリンクの試作は迷走しています。
とこんな状況です。
Eとしては利益率が高くて継続性も望める、タピオカドリンクの販売を早く試したいという気持ちがあるんですが、妻の動きが鈍い。
ぶっちゃけ、めんどくさいんじゃないかと思います。
Sari Sariストアはもともと乗り気だったけど、タピオカドリンクはEが条件を付けたことによってしぶしぶ始めた計画ということもあると思います。
迷走、といいましたが妻はやたらとゴージャスな、凝ったドリンクの試作ばかりするんですよね。
失敗作もあったりで、なかなか進まない…
これ、実は失敗作だったそうです。
ここでEが必殺の要望をしました。
「とにかく定番のタピオカミルクティーを試作して、始めはメニューはひとつでいいから販売を始めて」と。
近日中にタピオカミルクティー、販売します!
まとめ
しょぼい起業を計画から始めて、リモートで妻に指示、相談、アドバイスをしながらやってみて思ったことは「動きが鈍い」ということでした。
仮にも日本でビジネスマンだったこともあるEです。
「こうすれば売れる」とか「こうすれば儲かる」とか「上司に指示された」となれば、そのプロジェクトを最速で計画し実行する、というのは当たり前のように身についています。
今回のようなゆるい起業ならEが現地にいれば1週間かそこらで準備を整えて店をオープンしていたことでしょう。
これは本当に妻にも申し訳なかったんですが、ビジネス経験のない妻に少し厳しい要求をしすぎているのかもしれません。
何度かEの催促に妻がへそを曲げて「もうやめる」となった場面もありました。
Eは悟りました。
この起業には忍耐が必要、と。
今後は妻のペースで、妻の「やりたいこと」と「やりたくないこと」を最大限尊重して進めていきます。
今後もEの「リモート&スロー起業」の様子をお伝えしていきます。
次回をお楽しみに!
最近発売の続編もなかなかおもしろいです。
しょぼい起業で生きていく 持続発展編 [ えらいてんちょう ] 価格:1,430円 |
資格を取ることも起業のきっかけであることは間違いありません。