世界を席巻中のcovid19ですが、日本では新規感染者数が100人前後が続いています。
そしてフィリピン。
同じく新規感染者が激減。11月25日現在で1,166人/日と、9月に2万人/日を超えたピークからようやく落ち着いてきました。
入国者に14日間の隔離期間を設けていたフィリピンも徐々に制限緩和。
そして、先週26日にフィリピン政府から試験的に12月1日からビザなし渡航解禁と発表がありました!
と、ほぼ同時にバッドニュースが世界を駆け巡る。
そう、新たな変異株『オミクロン株』が南アで発生。
もしデルタ株級の感染力があるなら世界に広がるのは時間の問題。
果たしてEはセブに住む家族に会えるのか?
Eのフィリピン渡航の現状と、ビザ取得のプロセスについてお伝えします。
Eの渡航制限状況
ご存じのように、世界最強の日本のパスポート。
多くの国と同じように、フィリピンも平常時、コロナ禍前ならノービザで観光目的の渡航が可能でした。
それがコロナ禍による渡航制限でビザは必須。
少し前までの状況では日本はイエロー国(信号と同じ、グリーン国が安全)でフィリピン入国後に14日間の隔離(自主隔離期間含む)。
もちろんビザは必須。
日本帰国時にも14日間の待期期間あり。
ということは往復で3週間以上、隔離ホテルから一歩も出られず何もできない日々を過ごさなければならないということを意味します。
Eは次回の渡航では最低でも30日間はセブに滞在する予定でいます。
それには理由があります。
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渡航に当たっての現状
セブに長期滞在するということは日本での派遣社員の仕事を長期間休む、または派遣契約を打ち切るということになります。
Eの事情からいって、少なくとも命に関わる事情でもない限り、セブ滞在に付随する長すぎる待期期間を受け入れることができません。
よってセブへの渡航は待期期間の壁がなくなってからと考えていました。
そしてもうひとつ、ビザの問題ですが当然誰にでもビザが発行されるわけがありません。
Eの場合、 『9(A)[短期滞在ビザ]』 というカテゴリのビザが取得可能となります。
詳細はフィリピンの日本大使館HPの「お知らせ: コミュニティ隔離下における外国人のフィリピン入国のための ビザ申請書類」というページに載っています。
この中に「入国できるのは?」としたビザ取得可能な対象者の一欄があり、そのうちEが当てはまり得るのが、
3. フィリピン国籍者と渡航しない外国籍の配偶者、外国籍の未成年の子供、フィリピン国籍者の介助が必要な外国籍の子供、フィリピン国籍者(未成年)の外国籍の親
であると認識しています。
そしてこの場合に必要なビザが『9(A)[短期滞在ビザ]』となります。
ま、人道的措置のひとつに当たるんでしょう。
そう、Eはセブに住むフィリピン人の妻がいます。
現在、妻とは日本で入籍しているけど、フィリピンでの婚姻の手続きはまだ済んでいません。
次回の渡航は、妻とのフィリピンでの婚姻手続きのためでもあります。
というのもフィリピンの婚姻は、紙一枚を役所に提出するだけの日本と違って、多くのプロセスを経て初めて成立します。
全部済ませるには渡航前に完璧に準備したとしても最速で1か月はかかります。
そのため、婚姻成立のためには1か月以上セブに滞在するか、複数回渡航するしかありません。
もちろん、様々な渡航制限、プラス航空チケット暴騰の現状で複数回渡航の選択肢はないと言えます。
よって全ての準備を整え、できる限り帰国後に現派遣先に復帰できる算段をした上で腹を決め、腰を据えてセブに滞在する、ということになるわけです。
日本の感染者数の減少
いずれにしても渡航はまだまだ先かと思った矢先、ご存じのように日本の新規感染者が急激に減少。10月のはじめに千人を切り、ここのところ100人前後とほぼ収束の様相を呈してきました。
フィリピン政府も安全なグリーン国と認定された国はワクチン接種者は隔離なしとの発表(Eは二回接種済)。
しかし10月下旬の時点で日本はなおイエロー国。
とはいえ日本の状況からしてグリーン国認定は近い。
渡航できる日が近い!
と期待が高まっていました。
もちろん妻からも「早く来て」と熱烈な催促(少々切れ気味で…)。
そして去る11月12日、ようやく日本がグリーン国に。
ワクチン接種済のEは隔離免除でフィリピン入国可能となりました。
この報を受け、さっそくビザ申請手続きに動き出しました。
ビザ取得へ始動
ではフィリピン入国のための『9(A)[短期滞在ビザ]』の取得には何が必要なのでしょうか?
その驚きの内容とは。
これが申請に必要な書類です。
- 滞在予定日数+6カ月以上の有効期限があるパスポート原本とデータページ(顔写真部分のページ)のコピー
- 記入済み非移民ビザ申請用紙(申請者本人が署名をすること)https://tokyo.philembassy.net/downloads/visa-nonimmi.pdf
- パスポート申請用サイズまたはビザ申請用紙の写真添付部分に収まるサイズのカラー写真(3カ月以内に撮影された写真を申請用紙に添付すること)
- フィリピン国籍者との婚姻、親子関係を証明する書類の原本と、そのフィリピン国籍者の国籍を証明する書類 (例:出生証明書、婚姻証明書、フィリピン旅券など)
[注意:書類が日本語の場合は、英訳し、公証役場での公証および日本外務省によるアポスティーユを受けること] - フィリピン国籍者(配偶者または親)からの身元保証書
(https://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/downloadable-forms/#nav-cat) - 航空券予約証明書/日程表のコピー
(*最大乗客受入数によりフィリピンへ入国が出来ない場合があります。) - 隔離施設での隔離措置が必要な方のみ。フィリピン観光省(DOT)もしくはフィリピン保健省(DOH)指定の隔離施設の仮予約(https://onehealthpass.com.ph/quarantinehotels/)
- (航空機搭乗前までに)OneHealthPassに登録をすること(https://www.onehealthpass.com.ph/e-HDC/)
- ビザ申請/発行に関わる同意書
(https://tokyo.philembassy.net/downloads/forms/undertaking-visa-applicant.pdf) - フィリピン国籍者の配偶者/未成年の子供/親がすでにフィリピンに滞在していることを証明する書類(航空券の予約確認書、フィリピン入国のスタンプが押されたフィリピンのパスポート、バランガイ証明書、学校の成績表など)
- お届け先を記入した520円のレターパック(郵便局またはコンビニエンスストアで
購入可能)
引用:在日フィリピン大使館HP「お知らせ: コミュニティ隔離下における外国人のフィリピン入国のための ビザ申請書類」
なんじゃこりゃ、ビザなしで行けたはずがどうなってるんだ!? なんだこの書類の数は~!
と思いませんか?
Eは思いました。
ひとまず落ち着いて、まずは「とにかくいっぱい書類が必要」とだけ認識しましょう。
ひとつひとつ見ていくと、まあ確実に手に入る書類がほとんどです。
ただ、
この中で普通の社会生活では滅多にすることのない手続きが二つ求められています。
それは4番目の項目の注意書き。
Eはフィリピン国籍者である妻と、フィリピンでの婚姻手続をしていないため、婚姻関係にあることを証明するためには日本の戸籍謄本の提出が必要となるんですが、日本語で書かれた書類には「英訳」が必要と書かれています。
さらに、
[注意:書類が日本語の場合は、英訳し、公証役場での公証および日本外務省によるアポスティーユを受けること]
Eは思わず声を上げました。
「はあ?」
と。
「公証役場での公証」?
「日本外務省によるアポスティーユ」?
公証だのアポスティーユだの、みなさん聞き覚えありますか?
解説します。
まず、公証役場での公証について。
公証って?
実はEは司法書士事務所で働いていた時に業務として公証役場に行ったことがあります。
遺言書を残す場合、確実に証拠として残すために公証役場での公証を受ける、というケースがあったりします。公正証書遺言を作ることによって他人が勝手に遺言書の内容を書き換えることができなくなるからです。
しかし、公証役場の業務についてそこまで深く知るわけではないEは「外国語の訳文」という私文書が公証の対象になることなど知りませんでした。
公証人が訳文の内容に間違いがないことを保証してくれるわけです。
場所によりますが、公証役場で公証してもらうと、同時に法務局が公証人の押印を確認する、という形になります(法務局に足を運ばなければならないケースもあり)。
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アポスティーユって?
そしてさらに、法務局の確認を外国に対して保証するのが外務省のアポスティーユというもののようです。
ただ、アポスティーユが有効なのはハーグ条約締結国だけ(フィリピンは該当)。その他の国は同じく外務省で「行員確認」を受けることになるようです。
図にするとこんな感じ。
外国語の訳文
↑
翻訳者が押印
↑
公証人が公証
↑
法務局が確認
↑
外務省が証明
↑
フィリピン大使館が確認を取る
と、おぼろげに理解するだけでEはあちこちググりまくって数日を要しました。
いざ公証役場へ
フィリピンビザの必要書類を確認すると、Eはまず妻に必要書類、出生証明書や身元保証書の郵送を要請。
ただ妻は今、パスポートの更新中で申請から10営業日で到着のはずが遅れていて受け取りはまだ。届いたらスキャンして送ってもらうことに。
次に、戸籍謄本を入手して英訳文を作成。
もちろんネットで見つけたひな型で簡単作成。
そして、公証役場に電話。
最短で1週間ほど先だったけど予約。職場で有給休暇を申請。
というわけで先週、公証役場に。
初老の公証人の面前で英訳文に間違いがないという「宣言書」にサインをして公証の押印をもらいました。
どういう仕組みになっているかよくわかりませんが、同時に法務局の確認印もついていました。
料金はというと、びっくりする値段です。
なんと、
11,500円でした。
さて、次は公証をもらった戸籍謄本の英訳文にアポスティーユを。
と、ここでフィリピン渡航を待ちわびる人々の間に衝撃のニュースが入りました。
ビザなし渡航解禁!
公証役場で公証をもらった直後でした。
フィリピン政府が、いきなり渡航制限を大胆緩和!
少し前からささやかれてはいたものの、Eは驚きました。
外国からの渡航者受け入れによる産業活性化のためなんでしょうが、フィリピンではコロナ禍が始まって以来やけに厳しい行動制限が続いていました。
今月になってようやく子供がショッピングモールに入場できるようになったものの、学校の対面授業が1年半以上、現在に至るまで中止。我が家のお兄ちゃん二人もいまだにオンライン授業。
日本と比べてもあり得ないくらい厳しいフィリピンがビザなし渡航解禁って。そんな噂は期待するだけ損、結局裏切られるだけ、と半分も信じていませんでした。
それが驚き、12月1日からビザなしOK。
試験的に、12月1日から15日の間の措置だとのことですが、問題がなければその後も継続されるはず。
「やられた~」とショックを受けたE。
結果的に、ビザは必要なかったのでした。
英訳して、有給を取って、11,500円を払ってもらった公証付き戸籍謄本英訳文、紙切れ同然です。
とはいえ、ビザなし解禁のおかげでこの後のアポスティーユやその他ビザ申請手続きは一切必要なくなりました。
パスポートと、往復の航空券と、ワクチン接種証明書と、PCR検査の陰性証明を持って空港に行くだけ(だけ?)。
まあ、手放しには喜べないけどよしとする。
渡航予定は1月中、ないし2月。
派遣契約の期間、そして長期休み(または一旦契約解除)を派遣先が受け入れてくれるかどうかによります。
しかも、現在時給アップの交渉中で近日中に結果が出るという状況。
妻もとにかく早く来い、と。
さて、航空券予約の日時、航程をどうしたものかと考え始めた矢先、再び急転直下の悪夢が。
新たな変異株登場
さて、ご存じのように南アフリカ共和国で新たな変異株「オミクロン株」が発見されました。
さっそくフィリピン政府は感染者が確認された数か国からの入国制限を開始。
今後どうなるか。
記憶に新しいのが世界を、そして日本を混乱に陥れたデルタ株。
インドで見つかったデルタ株が急速に世界に広がり、日本をも医療崩壊に陥れたあの悪魔の変異株。
もちろんまだ未知数の「オミクロン株」ですが、デルタ株の時のような、いやそれ以上の感染爆発を引き起こすのか、はたまた意外と小規模で終わるのかわかりませんが、ビザなし渡航をするのにそうそう猶予がない可能性は大です。
もし、日本で一人でもオミクロン株の感染者が出れば、確実にビザなし渡航は吹き飛ぶでしょう。
しかし、です。
そうなれば手間とお金をかけて入手した公証付き戸籍謄本英訳文が役に立つ日が来るかもしれません。
再び渡航制限が厳しくなったとしても外国人配偶者への人道的措置は維持される、かもです。
今後の成り行きに目が離せません。
果たしてEのフィリピン渡航、二年ぶりの家族との再会は実現するのでしょうか~!
まとめ
フィリピン渡航に関してのここ数日のまるでジェットコースターのような事態の急転。
どう判断して、どう行動すれば最善か、ついていくのがやっとです。
Eのように外国に大切な人がいる、または外国に住んでいて日本帰国を待ちわびている、という人はたくさんいることかと思います。
まずは各国オミクロン株の水際対策をしっかりしてもらうこと。
もし感染爆発したら早期のワクチン開発を。
そして、国内の感染対策も今一度締めなおすこと。
もうしばらく人類の命運は目に見えないウイルスに翻弄されることになりそうです。
今後もEのフィリピン渡航の成り行きをお伝えします。
次回をお楽しみに!