先週、12月16日にフィリピンの南を襲った瞬間最大風速75mの巨大台風オデッテ(台風22号)。
セブ島、ミンダナオ島、ボホール島など通過した島々に深刻な被害を残して過ぎ去りました。
セブに住むEの家族、妻と子供たちも今回の台風に被災。
家の屋根の損壊、雨漏り、停電などの被害があり、長時間連絡が途絶えるなど、日本から不安な時を過ごしたことは前回の記事で述べたとおりです。
(【速報】セブを襲った台風オデッテの被害実況、そしてリモート起業の未来は如何に?)。
前回の記事では台風通過翌日、12月18日(土)までの台風と家族の経過を紹介しました。
台風通過後1週間が経とうという今でも連絡が困難な状況がつづいています。
今回は今週に入り、何度か連絡が取れた妻からの情報によるセブと、Eの家族の現在までの経過を報告します。
前回の記事です。
スーパー台風オデッテ通過
セブ出身の妻と子供たちが住むセブ島、そして空港やビーチリゾートが多くあるマクタン島。
強風による家屋や構造物、樹木倒壊などの広範囲で深刻な被害を受けました。
そして台風通過後1週間の今もなお停電、断水、ネットの不通が続く地域がほとんどです。
また、停電のため決済は全て現金となり、あらゆるATMの前に長蛇の列。
ライフラインのひとつ、ガソリンもあらゆるスタンドで数時間待ち。現金もガソリンも手に入ればいい方で、数時間の間、列に並ぶ人々の多くはATMやスタンドへの供給待ちだったりするようです。
では、今日までの経過です
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台風通過二日目 12月19日(日)
前々日の金曜日、妻からの台風から約36時間ぶりの連絡を受け取り無事を確認したEだが、翌土曜日はまる一日連絡なし。
原因は停電と倒木などによる移動の困難。
妻の危機対応能力は信頼しているが、不安は拭えない。
日曜日、寒い一日。
日本時間12時前に妻からのMessengerでのメッセージが。
「今、セブ市街にいるの。発電機を買いに行くわ(外国映画の吹き替え調)」
と。
Eはさっそくビデオコール。しかし、ネットの状況が悪く成立せず。
仕方なくメッセージだけでの会話。
まず、4歳の娘の様子を聞く。
「元気よ」と。いつものように「I love you. I miss you.」関連のメッセージもひとしきり。
そして「お金が少ないの(涙)」と。
手持ちの現金が少ないのか預金自体少ないのかは不明だが、十中八九いろいろと入用なはずなので「まとまった金額を送るから」と返信。
Eが街の様子を聞く。
「ほとんどの家の屋根が壊れているわ」と。
なるほど、その様子は前日に調べまくったネットやTwitterで概ね承知している。
妻がPLDTなどのフィリピンの通信会社の回線を利用しているのかどこかの施設のWi-Fiを利用しているのかは不明。ネットは不安定でやたらとコネクションが途切れる。それに妻もやるべきことで手いっぱいのはず。
最初の会話はここまでで、次につながったのは約1時間後。
「発電機の店がみんな閉まっているわ」と。
まあ、Eもそれは予想していた「どこも売り切れかもしれないしね」と返信。
「ガソリンも少ないの」、これは心配。ガソリンスタンドの大行列も既にネットで確認済。
帰れなくなるかも。
聞くと、家に帰るまでの分はあるとのこと。しかし、ある程度給油しなければ次回以降出かけられなくなる。
「なんとか探してみるわ」と。
途中、お互いビデオコールを試みるがなかなか画像と音声のやり取りに至らない。
家族の写真は送ってもらえないのか聞いてみるが、スマホの電池を節約するために写真は撮れなかったと。
Eが妻は今どこにいるのか聞くが、返信が途絶える。
ここでまたしばらく中断。
今回も1時間ほどして妻からのビデオコール。
ようやく繋がった!
再び「I love you. I miss you.」関連のやり取り。が、40秒ほどで寸断。
とはいえ顔が見れるのはなにより嬉しいし、どんなメッセージのやり取りよりも多くの情報が得られる。
妻は笑顔、そこまで深刻な状況ではない様子。しかし、やや疲れが見える。
次に来たメッセージによると、現在ショッピングモールのSMシティにいるとのこと。
ネット環境が少しはよくなったらしく写真が送られてくる。
ガソリンスタンド、そしてSMシティのATMに並ぶ長い列の写真。車で街までの道中の倒壊物などの写真。
この時妻は現金を、少なくとも発電機を買えるほどには持っていないよう。
結局この日は発電気はもちろん、現金も手に入れることはできなかった。街全体が停電中であることから暗くなる前に帰らなければ。
日本時間午後4時前に「とにかく暗くなる前にガソリンを入れて帰るわ。明日また来るわね」と街を後にしたのであった。
街を離れるということは音信不通になるということ。無事に給油することができたのだろうか。
この日もEは不安な夜を過ごすのであった。
台風通過三日目 12月20日(月)
翌朝、出勤。
この時点で妻からの連絡はなし。
仕事をしながらポケットのスマホを何度も確認する。
昼前に妻からのメッセージあり。
「おはよう。今街にいるわ」と。
街にいるということは恐らく前日はどこかしらで給油できたということだろう。
ネット環境のせいでやり取りできる情報の量が限られる上、昼休みという時間の制約もある。
市街地にいる限り連絡は取れる。
いつものように昼休みのチャイムの1分前に仕事を切り上げて妻にメッセージ。
その時、妻は再びSMシティに。
この日はがっつり列に並んでようやくまとまった現金を下せたよう。
そして写真も多数送られてきた。
ただ、家族の写真はなし。そこには街への道中の台風被害の痕跡が。
メッセージは「子供たちはみんな元気よ」と。
ひとまず安心。
家族の様子がわかる写真がないかと聞く。
やはり、スマホの電池の節約のために撮ってない、と。
が、直後に妻自身の自撮り写真が送られてくる。
マスクで半分覆われた顔にはやはり疲れが見える。
「疲れてない?」と聞くとやはり「少しね」と。
無理しないように、と伝える。
妻は壊れた屋根を心配していた。
このままでは次の雨でまた雨漏りが。
Eはお金の心配しないで、できるだけ早く治すようにと返信。
この日の昼休みはフルに妻とメッセージのやり取り。
妻の両親や兄弟の家屋はEの自宅よりはるかにひどい被害を受けたよう。
妻は「ママに米を一袋贈ってもいい?」と。
Eは「もちろん、余裕があればみんなに支援して」と。
Eとしては当然、家族のライフラインが確保されているかが気になる。
「飲み水は大丈夫?」と聞く。
「それは大丈夫。でも店で売るのは中止しているわ」。
Sari Sariストアの販売用の水の在庫のことだ。
まあ、こればかりは仕方ない。家族の生存が第一。
生活水は?モーターで地下水を組み上げるタンクの水はまだあるのか、と聞く。
「もうないわ。でも子供たちが川の水を汲んできてくれているのよ」と。「子供たちが頑張ってくれて店のファイバーガラスも壊れずにすんだわ」。
普段、いつも妻に起こられてばかりのお兄ちゃん二人だが今回は大活躍だったようだ。
「二人にありがとうと言っておいて」とE。
昼休み限定の情報交換はここまで。
仕事に戻るE。
その数時間後には「お金がやっと下せたわ」とのメッセージが。妻はSMシティで生活物資を買いに行くと。
発電機が変えたがどうかは聞き逃す。
その日は、Eの退勤前に「今から帰るわ。いろいろサポートありがとう」とのメッセージを残し帰宅。
退勤後は当然、連絡取れず。
帰宅後、セブ現地の様子をまたニュースやTwitterで調べまくる。
停電は長引くとの見込みが飛び交っている。
この日は妻も停電の復旧に3か月かかるかも、と言っていた。復旧予測の中では妻の説が最長だ。
そうなれば発電機の入手はマストとなる。
台風通過四日目 12月21日(火)
昨日(日を跨いで一昨日)、火曜日。
この日は妻からの連絡一切なし。
つまり、街には出ていないということになる。
前回の記事で触れた、近所のWi-Fiスポットは機能していないのだろうか?
なすすべがない。
が、情報収集だけはできる。
これといって状況の好転を示すニュースはなし。判明する犠牲者の数が続々と増えていく。
現地からの情報量もいくらか増えた気はした。
依然として停電。ATMもスタンドも長蛇の列。
街は深刻な水不足。
飲み水だけでなく、生活水もままならないよう。
確かに、セブ市内の川の水の汚さはシャワーはおろか洗濯にも到底使えたものではないことは知っている。
日本の都市部の川と比べても色、匂いともどぶ川レベル。
Eはプロビンス(フィリピンでは田舎全般をこう呼ぶ)の妻の実家で少し茶色がかった常温の山水でシャワーをしたことがあるが、市街地の川の水に比べれば天と地の差。
街の人々はどうしのいでいるのだろう?
申請を予定しているフィリピン渡航のビザも時期を考え直さなければ。
次の渡航はフィリピン側での婚姻手続が目的のひとつだが、役所が対応できない状況で渡航してもできるわけがない。
とはいえ、
一刻も早く家族に会いたい。
台風通過五日目 12月22日(水)
本日、午前中まで音沙汰なし。
最後の連絡からふた晩。
水は十分あるとは言っていたがいつかは尽きるはず。
Eは昼休みに、ネットで調べた蒸留水の作り方を表した図解のURLを妻あてに送ったのだった。
今日も連絡はとれないのかと思っていると、午後イチで仕事中に妻からのメッセージあり。
「またSMシティに来たわ」と。
すぐトイレの個室に駆け込む。
まずは「I love you. I miss you.」関連を。
妻は「家族はみんな元気よ」と。
ホントによくやってくれている。
妻からの報告。
発電機は軒並み売り切れで買えないとのこと。買えたとしても倍の値段がつけられているのだという。
ここ数日、水や生活物資も平常時より高い値段がつけられているという。
そこは仕方ない。価格というものが需要と供給のバランスで決定されるものである以上。
妻は「みんな家の修理とかでとても忙しいの。もうすぐ次の台風が来るらしいから」と。
Eはその情報も既にキャッチしていた。
まだ台風認定はされていない熱帯低気圧のようで、先週のスーパー台風ほどではなくセブ直撃もないだろうが(来たらヤバい…)、ダメージを受けた家屋に雨となるとさらにダメージが広がる。
Eは今トイレにこもっていてそう長くはいれないことを伝え(もちろん妻も承知しているが)妻に聞きたかった質問のメッセージをいくつか送って仕事に戻る。
次にスマホを見れた時、妻からの返事が残っていた。
Q 飲み水はまだあるの?
A 大丈夫、まだあるわ。うちの両親や家族にも分けてあげていいかしら?(いいよ、と返信)
Q ガソリンはどうやって手に入れたの?だいぶ並んだの?
A すごく長い列だったわ
Q スマホの充電はどうしているの?
A スマホの充電機能の付いたソーラー発電器を買ったわ
Q (娘の)Kはパパの顔が見れなくて寂しがっている?
A 時々泣いたり寂しそうな顔をしているわ。遊んでいても突然やめたりするの。私も寂しいわ。
ああ、かわいそうに…
もう4歳。
災害下という事情も理解できる年齢ではあるだろうが、常にスマホの向こうから話しかけてくれて(時にはウザいほどに)、毎晩のように子守唄を歌ってくれるパパをもう1週間近く見ていないのだから。
妻ともお互い顔を見ての会話はもうずいぶんしていない…
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妻はその後、SMシティで生活物資を購入して帰宅。
今日も無事を祈ることしかできないEであった。
今後のセブ復興
今日の妻とのやり取りでわかったことは、今のところ生存に支障は全くなさそうなことでした。
ただ、現状のライフラインの状況が数週間続くことになれば、うちの家族も持たなくなります。
当然、今後は政府や国際的な支援が不可欠。
今回の災害はそういうレベルにあります。
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Eはふと思いました。
甚大な災害が発生した時って、よく国際ボランティアが被災地に入ったりしますよね。
日本で起きた東日本大震災の時も支援物資や、有志の多国籍ボランティアが訪れたりという話を聞きました(実はEは当時、南三陸町にボランティアに行ったことがあります)。
今現在、コロナ禍で、しかも新たな変異株も発生して国際間の渡航はただでさえ厳しさを増していますが、
ボランティアのための特別なビザって発行されないものでしょうか?
もし、フィリピン政府がこれをやってくれるならEは現在申請の準備をしているビザとは別に、取得を試みることでしょう。
今回の被災地とかかわりの深い日本人を含めた外国人はたくさんいるはず。
すぐにでも手助けに駆け付けたいと思っている人もたくさんいるはず。
水や食料、燃料など、基本的なライフラインの供給すらままならない被災地を、フィリピン政府は多くの手を借りて救う方策に打ってでてほしいものです。
引き続き現地の状況、Eの家族の様子を妻の報告を元に伝えていきます。
ではまた!
とにかく水が大事です。必要とする時はいつ来るかわかりません。
Eも備えます。