約3年ぶりの「派遣社員のダメ行動」シリーズ第三弾!
今回は50代派遣社員Eが現在働いている工場派遣の現場で出会った、ある同僚派遣社員のダメ行動についてです。
あの昭和平成を彩った社畜の生き残り、Eと同世代のオオタキさん。
今時めずらしい、まあ見事な社畜ぶりで感心するほどで。
しかも派遣先工場で出世するわけも、給料が上がるわけでもない派遣社員なのに。
ではオオタキさんがどのような社畜ぶりで、どのような心理作用から来ているのか。また彼のような働き方がなぜ「ダメ行動」なのかを今回は解説します。
2回シリーズの前編です。
派遣社員オオタキさん
派遣社員Eは昨年、2024年8月から現在の工場で働いています。
前派遣先から契約終了、派遣切りを言い渡され、現派遣先に移った経緯については当時、詳細を当ブログにて紹介しました。
現在の派遣先工場で働き始めた時の過去記事です。
簡単にEの現在の派遣先での状況を紹介するとこうです。
①派遣先は非上場企業、とはいえ首都圏に本社があり複数の地方工場を持つ中規模の企業。その地方工場の一つで働いている。
②この工場では単一の製品をひたすら作り続けていて、Eはその製品の多数ある製造工程の一つで働いている。
③作業内容は、大型の機器に投入する前のセット、機器の操作、完成後の処理、の3つ。
④部署メンバーはリーダーの社員1人と、Eを含めた派遣社員が3人の計4人。
そう、Eが働く製造工程の派遣社員は3人。
そのE以外の2人の派遣社員がこちら。
①タツカワさん
部署では大ベテランのアラ還。歩く姿や動作は「おじいちゃん」そのものでゆったりしているのになぜか作業スピードは速い。
寡黙だが、聞けばいろいろと親切に教えてくれるし、困っていると横からそっと手を差し伸べてくれる、まさに派遣の大家。
②オオタキさん
Eの約1か月後に入る。50代半ばでEよりいくらか年上。過去に酒屋で働いていたせいで背中が曲がっている。
就業態度が極めて真面目。常にせかせかと動き回っている。タツカワさん同様に寡黙、というかややオドオドしている感あり。
そして、明らかに社畜気質あり。
そう、今回の記事で話題とさせてもらうのが「社畜気質あり」のオオタキさんなのです。
オオタキさんの人となり
もう少しオオタキさんについて詳しく書くと、
①酒屋での勤務の他に派遣社員歴は長く、なくとも4か所以上で働いている。
②上長からの指示はかなり忠実に守るタイプ。
③工場派遣社員としての能力値は並み以上。
④作業スピードも悪くないが、タツカワさんやEに比べるとだいぶ遅い(タツカワさんとEが速すぎる)
⑤作業に自分なりの工夫を加えたり、状況に対応したりすることには長けてはいない。(これもタツカワさんやEとの比較で)
⑥社員のナイトウさんだけでなく、同じ派遣社員のタツカワさんや年下のEに対してもかなりへりくだった態度。
さあ、すでにかなりの「社畜」臭がしてきましたよね。

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オオタキさんの社畜行動
では、なぜEがオオタキさんを社畜と断定するのかを見ていきましょう。
オオタキさんの社畜行動がこれです。
①勤務開始時間の1時間以上前に工場に着いている(推定1時間半前)
②勤務開始時間の15分前には仕事を始めている(推定20分以上)
③勤務時間中に、昼休みとトイレ休憩があるが、休憩終了時間の5分前には仕事を始めている
④各派遣社員はそれぞれ手待ち時間があるが、手待ち時間にもタツカワさんやEの作業を手伝おうとする
一応確認ですが、これ「社員の行動」ではありません。
「派遣社員の行動」です。信じられないですよね。
ここがブラック企業で社員にも派遣社員にも就業時間外の、始業よりだいぶ早い時間に仕事を始めることが当たり前になっていて、そうでないと雇用が継続してもらえないような体質、だというならまだオオタキさんの行動は理解できます。
が、過去記事でも触れましたが、現在の派遣先は少なくとも派遣社員にとってブラック要素はほとんどありません。
上長の社員ナイトウさんも、勤務開始時間前に仕事を始めることを「強要」したことはありません。
が、微妙な場面はありました。

早出の仕事開始時間
現在、Eたちの部署では早出作業があります。
既定の勤務開始時間から30分ほど早く出勤します。
初めて社員ナイトウさんから早出を指示されたときにこう言われました。
「みんな早出の時は、暗黙の了解で15分早く来てるんですよね」と。
これ、「早出30分」の時にはさらに15分早く、合わせて「勤務開始45分前」に出勤しているということです。
つまり15分のサービス早出ということです。
これに対して、負けない派遣社員Eはこう答えました。
「僕、賃金が支払われない時間には働きませんよ」と。
このEのド正論に対してナイトウさん、なんの反論もすることなく了承。
それでもナイトウさんが15分のサービス早出をさせようとするなら、Eはもちろん然るべき措置をとりますが、それは全くありませんでした。
ちなみにベテランのタツカワさんはそもそも早出を拒否しています。
早く起きたくないのだとか。
その代わり、突発的に残業の必要が生じたときはタツカワさんが優先的に残る、という仕組みになっているようです。
ただ、Eが入ってから突発的な残業は一度も発生してはいませんが。
Eは「早出30分」の時は普通に34分ほど前に仕事を開始しています。
4分早いのは、普段に定時まで働くと慣例として5分前にはみんな作業を止めるのが許されているので、その分の4分くらいは働くのはまあいいかな、との判断です。
ま、差し引き1分はこちらがいただく形で。
話を戻してオオタキさん。
恐らくEと同じことを言われたのでしょう。
オオタキさんが早出の日に、Eが出勤するとどう考えてもオオタキさんの作業スピードからすると45分以上はかかる作業の痕跡があります。
社員のナイトウさんの「暗黙の了解」とされた15分のサービス早出をそのまま受け入れている様子。
確かに、「暗黙の了解、みんなやっている」と示唆されれば、メンタル弱い人ならそうそう逆らえないことでしょう。
が、オオタキさんの場合は職場の圧力で仕方なく早く来ている、というわけではないようなのです。
自発的サービス早出
このケース、世にいう「サービス残業」ではないので「サービス早出」というしていますが、オオタキさんがしているサービス早出は、出勤時だけではありません。
昼休みやトイレ休憩などの休憩時間後も、オオタキさんはほぼきっかり5分前には仕事場に戻ってきて作業を始めています。
そればかりか、作業の手待ち時間があっても常に何か作業がないかと探しています。
3人の派遣社員の間で手が空いた人がやるという形になっている作業はオオタキさんは率先してやります。
それでも何も仕事がないとタツカワさんやEの作業を手伝ってきます。
ここで割と重要なところなんですが、オオタキさんが手伝ってきたときの対応が、タツカワさんとEでは違います。
タツカワさんはオオタキさんが再三手伝ってくると、やんわりと自分でやるから手を出すな的に伝えます。
一方Eは、最初は「僕やりますよ」と一応はお断りしたけど、それでも手伝ってくると放置しました。
しかもやがて心の中で「いい人~」「助かる~」と、オオタキさんの手伝いは大歓迎するようになりました。
だって、
楽できるから。
そう。
何を隠そうEは、なぜか手待ち時間にも何かしら作業がしたい様子で、やたらと他の派遣社員の仕事を手伝うオオタキさんを、「便利だな~」と利用させてもらっています。
もちろん「いやー、すんません」の言葉は付け加えておきます。
仕事において何よりも「できるだけ疲れない」ことをモットーとするEには渡りに船です。
ではオオタキさん、なぜ同じ派遣社員のEに楽をするために利用されてまで作業を手伝ったり、自ら進んでサービス早出をしたりするのでしょうか?
分析してみましょう。
社畜の心理傾向
さて、オオタキさんの一連の行動、一般的にどう言われているか思い当たるふしはありませんか?
そう、「社畜」です。
ところでこの社畜という現代語は、どう定義づけされているのでしょうか?
ウィキペディアで調べてみました。
社畜(しゃちく)とは、主に日本で、社員として勤めている会社に飼い慣らされ、自分の意思と良心を放棄し、サービス残業や転勤もいとわない奴隷(家畜)と化した賃金労働者の状態を揶揄、あるいは自嘲する言葉である。「会社+家畜」から来た造語かつ俗語で、「会社人間」や「企業戦士」などよりも、外部から馬鹿にされる意味合いを持つ。
引用:ウィキペディア「社畜」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E7%95%9C
はい、すいませんでした。
社畜という言葉には揶揄したり、馬鹿にする意味合いがあるとのこと。
とはいえ、オオタキさんの行動を「社畜」と評価したことを撤回するつもりはありません。
なぜなら、実際にEが現場でオオタキさんの行動を見た時には内心「アホだな~」と思いながら眺めているからです。
ただ、厳密にいうとオオタキさんは派遣社員なので「会社+家畜」は当てはまってないので「派遣会社+家畜」で「派畜」と表した方が適切?
「ハチク」って語呂がよくない?
では、なぜオオタキさんは自ら率先してサービス早出や他人へのいらん手伝いをやり続けているのでしょうか?
ここからは完全なるEの想像でその理由を考えてみました。
オオタキさんの行動の理由
前提として、この派遣先は派遣社員が正社員化されることはなく、Eが前派遣先で達成したような時給のアップもほぼあり得ないことは判明していて、職場では共通理解となっています。
つまり、どんなに勤務態度も良好、勤労意欲も良好だとしても現実的なメリットはない、と考えていいということです。
①社員のナイトウさんや派遣社員2人に好かれたい、または嫌われたくないから
②過去の職場がブラックで、職場の圧力のせいで、まさに時間外労働を率先してやるよう強迫観念を植え付けられていたから
③過去の職場で手待ち時間に作業の手を止めると「なに突っ立ってんだ」などと叱責を受けて何かしらの作業をするよう強迫観念を植え付けられていたから
④過去の職場の影響で勤労意欲が高く、働くこと自体に喜びを感じる意識高い系だから
という風に、要するに過去のオオタキさんを巡る職場環境が、現在の行動につながっているんではないか、と考えるのです。
それか、もしかしたらですが、労働に対する崇高な理想を抱いていて、修行僧のようにとにかく己がよしとする仕事道を貫く、といったタイプ?
というか、それらの要素がミックスされている?
正解は本人しかわからない、いや本人さえわからないのかもしれません。
が、Eにはなんとなく理解できます。
なぜなら、オオタキさんと同世代のEは彼のような社畜(ホント失礼ですが)が当たり前、ブラック企業が当たり前すぎてブラックとさえ思われていない、そんな時代を生きてきたからでした。

平成社畜時代
知ってますか?
今現在の日本の1週間の労働時間の上限、法定労働時間が40時間になったのは1988年(昭和63年)4月1日の労働基準法改正の時でした。
それ以前は週48時間。
日曜日が休みだとすれば、月曜から土曜まで毎日8時間労働。
今では、考えられないですよね。
死にますよね!
覚えていますが、Eが高校生くらいの1980年代後半、日本の労働者は「エコノミックアニマル」と呼ばれ、外国人から「働きすぎの国民」とみられていました。
そんな世界情勢が労働者の待遇改善につながったようです。
当時は過労死も社会問題となっていました。
え、ということは。
そう、Eが大学を卒業して就職する数年前に法定労働時間の改善があったわけです。
ですが考えてみてください。
それまで1人48時間の労働で業務を賄っていた会社が、急に全社員の労働時間が6分の5に減らされて成立するでしょうか?
そのまま1人48時間を働かせた場合、余った8時間は時間外労働、残業となります。
実際、Eが新卒でチェーンレストランの会社に就職すると、ほぼすべての正社員が残業。
しかも現在では時間外労働時間の上限とされている月45時間、年360時間もほぼすべての正社員が超えていました。
もちろんパワハラも日本中で横行(でしたよね?)。
サービス残業も横行。
Eの会社では、特にEのような大卒の若手店長候補は給料が支払われる時間以外にも勤務することが、「暗黙の了解」で行われていました。
はい、Eもやっていました。
しかも自ら率先して。
店が忙しい日にはサービス早出をしたり、休日に完全無休で出勤したこともありました。
派遣社員の今では到底考えられませんが、なぜ当時はできたのか?
理由はこれです。
①サービス残業をすれば上司に気に入られた
②より多く長く働くことで勉強になると思っていた
③他の人もやっているから遅れをとりたくなかった
④そもそも店で働くのが楽しかった
そう、結局当時は職場が楽しくて仕方なかったので、おかしいなとは感じながらもサービス残業が苦ではなかったのです。
それに、店でより長く働くことは今考えても確かに、近い将来店長になるにあたってより経験を積めるという結果にもなりました。
出世に昇給、スキルアップ、将来の独立開業、など意欲満々の労働者ならそういった働き方も全然ありだと思います。
そういうモチベーションがあるのなら、時間外労働も決して「アホだな~」などとは思いません。なにしろ現実的な利益が得られるからです。
が、正社員化も時給アップも見込めない職場でそれをやる?
そこでEは、オオタキさんの行動の元になっている心理作用について深掘りして調べてみたのです。
次回予告
続きは後編へ。
もう恒例となりましたが、今回も長文となりました。
1回記事で完結させる予定でしたが、前後編に分けます~。
後編は、オオタキさんの社畜(派畜?)行動がなぜ「ダメ行動」なのか、社畜の行動の原動力となっている心理作用とは何か、について解説します。
後編はたぶんそんなに長文にはならないと思います。
では、後編をお楽しみに!
後編はこちら ↓↓↓
