先日、今年の社会保険労務士試験の合格発表がありましたね。
去年まで11月に発表でしたが、今年から国家試験全般的に早く発表するようになったようです。
受験生は早く次へ向けた行動ができるようになりましたね。
2011年に2回目の社労士試験挑戦でラッキー合格したEも当時のことを思い出します。
何度も思いました「もしあの時不合格だったらどうしていただろう?」と。
翌年も挑戦するのか、きっぱり諦めるのか、はたまたしばらく休むのか。
今回はもし2年目の試験で不合格だった場合にEが当時取っていたであろう行動をシミュレーションしてみたいと思います。
今現在、今年の試験が不合格で今後どうするか迷っている人も多くいるかと思います。
一例として参考にしていただければ幸いです。
合格当時の状況
2回目の社労士試験を受けた当時のEはアラフォー。
地元の小さな司法書士(兼土地家屋調査士)の事務所で助手として働いていました。
30代は後半に差しかかるまでアジア放浪旅行や台湾移住など海外で過ごし、帰国するやリーマンショックに見舞われ、就職困難者に。
やっと潜り込めた司法書士事務所もかなりの薄給。
活路を求めて、数ある選択肢の中から社会保険労務士を目指すことにした、という次第です。
この時のEは、リーマンショック期の就職活動で受けた屈辱から「もう他人に雇われたくない、独立開業したい」との強烈なモチベーションがあり、次のようなビジョンを描いていました。
①社労士試験合格
②実務経験を積む
③独立開業
これは社労士を目指す人のかなりの割合が描いている未来図ではないでしょうか。
この計画、他人に雇われたくない、独立したい、という当時のEのモチベーションからすると悪い選択肢ではなかったと思いますが、20代後半から持ち続けてきた、Eの人生の根底にある「南国でのんびり暮らしたい」という究極の目標からすると最悪の選択でした。
なにしろ社会保険労務士という国家資格は日本でしか通用しない。
独立開業した社労士は十中八九、のんびりとは暮らせない、からです。
そんな理由もあって計画は②の「実務経験を積む」までで頓挫して今に至っています。
社労士試験合格の軌跡
2009年9月、司法書士事務所になんとか就職。
と同時に社労士試験の勉強を始めます。
1年目の試験勉強の開始です。
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1年目の勉強法
ワーキングプアーとなったEは当時の最安価格帯であったフォーサイトの通信講座を申し込みます。
加藤講師による解説授業がCDに収められて送られてくる、というものでイレギュラーな教材など一年間ひっくるめて確か約7万円という価格でした。
膨大な試験範囲を対象とした記憶力試験といってもいい社労士試験。
直前期、猛暑の夏も必死で勉強しましたが1年目は実力不足。
選択式は足切りなしで合格点だったものの、択一式が2点足りずに不合格となりました。
この不合格発表を受けての選択、もちろん来年の再挑戦。
固定記憶がどんどん蓄積されている時期でしたから翌年への手ごたえは充分。
毎年難問奇問が出題され「答えは運を天に任せるしかない」という社労士試験独特の悪名高い選択式試験ですが、出題者の意図を徹底的に分析して正解の確立がより高い解答を導き出す、という能力にも少し自信が持てていました。
2年目の勉強法
2年目は市販の教材のみで勉強しました。
通信講座や通学を何年も続ける人がいますが、Eはある程度のレベルに達した後はリーズナブルな市販の教材だけで充分だと思っています。
ユーキャンの基本書を主体に勉強しましたが、最新の情報を集めるという意味では「月刊社労士受験」という雑誌が役立ちました。
適宜発行される別冊も含めると、通信講座や通学とほぼ同等の効果を得られると思います。
価格:1,320円 |
この年も猛勉強しまくり、前述のとおり選択式の2点救済のおかげでラッキー合格を成し遂げたのでした。
しかし、
あの命運を分けた「労働基準法・安全衛生法」の2点救済がもしなかったら!
その結果、不合格だったとしたら!
あの当時のEがとったであろうその後の行動をシミュレーションします。
もし2年目の試験で不合格だったなら
では2年目も不合格だったらの仮定の元にシミュレーションを始めます。
この当時の合格発表は11月上旬でした。
試験から2か月余りの長い時間。合格の可能性は五分五分かそれ以下、と思いながら実にもやもやした時間を過ごしていたE。
それでも一応は合格の場合のことも考えていました
会計事務所の社労士募集に応募するケースもあり得ると思い、日商簿記の試験勉強を始め、3級に合格していました。
これは実際に、翌年の会計事務所就職に直接的に役に立ちました。
そして結果発表、不合格(仮定)。
まず必要な意思決定として「来年も社労士を受験するのか?」「受験するならどう勉強していくのか?」という問題に直面することになります。
来年も社労士を受験するのか?
これについては「来年も受験する」を選択していたと思います。
当ブログの人気シリーズ、「社労士試験逆説勉強法」シリーズでも繰り返し述べていますが、社労士試験はほぼ記憶力試験。確かな記憶さえあればほぼ解けない問題はない(選択式の難問奇問以外)という試験です。
そして「記憶」にはざっくり「固定記憶」と「短期記憶」の2種類があることを意識して勉強することを推奨しています。
2年目の試験。Eは選択式も択一式も合計点では合格点を上回っていたものの、残念ながら全問足切り点を上回るだけの実力に達していませんでした。
救済された「労働基準法・安全衛生法」の選択式問題。
試験時間の最後に5分の時間が余ったE。もう一度回答を見直そうと問題用紙を一から検討し直しました。
これが魔の5分間で、労働基準法の割とオーソドックスな問題の、正解していたはずの解答を深読みしすぎてわざわざ間違った選択肢に書き換えてしまったのでした。
結果的に2点救済の措置で合格できましたが、その部分の準備が充分で記憶が確かなものであったなら3点以上の疑う余地のない合格点を取れていたはずでした。
とはいえ、いったんは正解を導き出せていたわけで、この先さらに勉強を進めれば固定記憶をさらに増やし、これまで2回の試験でやったように直前期の猛勉強で大量の短期記憶との二段構えで充分な記憶量を持って試験に臨めるのは確実。
ネックは選択式の難問奇問。
しかし2回の試験で難問奇問は全て3点以上でクリア。
本番で全く初めて見る問題文から正解の選択肢を選び出す分析力には自信を持っていました。
それに、誰から見ても難問奇問という問題は確実に救済措置が入ります。
もうひとつの重大な要素、モチベーション。
またあの猛勉強をするかと思うと、さすがに気が重くなります。
が、3年目は過去2年のようにフルに1年間勉強を続ける必要はないと踏んでいました。
そんなわけで2年間の勉強で蓄積されたものをここで損切りするという選択は、当時のEにはなかったはずです。
3年目の勉強法
ほぼ合格レベルまで達していたE(実際合格しましたが)、年内くらいまでは簿記2級の試験勉強を続行していたと思います。
当時の習熟度からすれば、2月か3月頃から勉強を再開していても充分だったんじゃないかと思います。もちろん6月以降の直前期に例年通り、短期記憶の蓄積のために猛勉強は必須です。
教材は2年目と同じ、「月刊社労士受験」と市販の基本書で充分。
費用、労力ともにミニマムでいったことでしょう。
もちろん、「社労士試験逆説勉強法」シリーズで語ってきた通りの勉強法を実行します。
過去問を何度も解くなどというムダな作業はしない。
模擬試験をわざわざ会場にまで受けに行かない。
2年目の勉強であみ出した「試験開始時間「逆算」勉強スケジュール」もさらに緻密な直前勉強のスケジュールを作って実行する。
これだけやってあとは試験当日、選択式の難問奇問を考え抜いて解答を埋め、運を天に任せる。
と、2年目にもし不合格だったらこのようなことが行われていたんじゃないでしょうか。
最後はどうやっても運です。社労士試験はどこまでいってもくじ引きです。
一定以上の実力がある人の中から運で合格者が決まります。
どんなに出題者の意図を読む分析力があったとしても、結局初見の問題なんて運です。
それでも、また3年目も不合格だったら?
このケースは恐らく4回目をに挑戦することはなかったと思います。
理由、その頃にはいい加減社労士を目指すことの間違いに気付いていただろうからです。
今の自分ならどうする?
今現在のE、あの時の社労士を目指すという選択は完全に間違いだったと思っています。
社労士を目指すことが一般的によくないと言っているわけではありません。
社労士の資格は人生を好転させるに有効な切符であることに違いはありません。もちろん夢の切符では全くありませんが。
すでに述べたように、当時のEはリーマンショック後の就活で受けた屈辱から「他人に雇われたくない」「独立開業したい」という本来のEの人生の目標から外れた突発的な感情に突き動かされていました。
簡単に言えば、頭に血が上った状態になっていたわけです。
30代の初めにアジアを放浪し、目標であった海外移住を台湾で果たしたE。
もう一度海外に出たいという願望は全く消えていませんでした。
が、社会保険労務士は日本の国家資格、海外では通用しません。
外国で社労士が必要とされることは全くなくはないでしょうが稀ですよね。
という過ちに、さすがに3回も試験に落ちれば気付いていたんじゃないでしょうか。
今、過去の自分にアドバイスできるなら試験勉強を始める前の自分にこう言います。
「社労士の勉強のためなんかに1秒たりとも時間を使うな」
「将来外国でも働けるようにプログラミングを勉強してIT系の就職を目指せ」
実際最後まで社労士以外の選択肢として残っていたのがプログラミングなどIT系のスキルの勉強でした。
ただ、当時のEの情報収集能力では全く未知の分野をどういつツールで勉強したらいいか、わかり様がなかったとは思います。
副業、在宅ワークが当たり前の時代になってきましたよね。
まとめ
これは実際に社労士をやってみての実感ですが、独立開業を目指すものにとって社労士資格はただの開業許可証に過ぎません。飲食店を開くのに保健所で営業許可証を取ることと変わりません。
まず、実務に堪え得るスキルを身につけなければなりません。
成熟産業で古参がひしめく中、厳しい顧客獲得競争に勝ち抜かなければなりません。
顧客が取れれば年度更新・算定基礎届の時期、寝るヒマもない繁忙期が待っています(それくらいの受注量がないとやっていけません)。
軌道に乗れば人を雇って事務所を切り盛りしていかなければなりません。
つまり、ベンチャーとしてそもそものビジネススキルとマネジメント能力も必要となるわけです。
社労士資格が夢の切符ではない、と言ったのはそういう面からです。
もちろん開業を目指しているわけでなく「合格すれば資格手当がついて給料が上がる」といったモチベーションの受験生も多くいるかとは思います。
合格した後に社労士資格を生かせる算段があるのかどうか。
そもそも社労士になることが自分の人生の指向性に合っているのかどうか。
結果発表直後の現在、来年はどうしようかと迷っている人は、改めて考え直すのもいいんじゃないでしょうか。
今後も過去の経験から社労士や社労士試験にまつわることを語っていきます。
次回をお楽しみに!