今年の夏も暑かったですね~
この7月に3年ぶりに来日を果たし猛暑の日本を過ごしている妻と4歳の娘。
娘は生まれてからほとんどの時間をセブで過ごしてきました。
コロナ禍以前の乳児期に何度か日本に滞在したことはありました。
が、物心ついてからというもの妻が話すカタコトの日本語と、父親Eとスマホ越しに会話するくらいしか日本語に接する機会がなかった娘。
それまで日本語をほとんど話せなかった娘は果たして日本に来て話せるようになるのでしょうか?
英語、現地ビザヤ語、日本語のトリリンガルになることはできるのでしょうか?
今回は日本滞在約2か月を経過した娘Kの言語発達の様子をレポートします。
来日前の4歳の娘の言語状況
4歳の娘の今回の来日前までの言語状況です。
・英語が第一言語になっている
・英語で年齢相応に自分の意思を伝えられている
・英語の発音はネイティブとは異なるが妻の発音よりネイティブに近い
・現地ビザヤ語は聞き取れる
・ビザヤ語で簡単な会話はできる
・日本語はいくつかの単語と簡単なフレーズがわかる程度
という状況に至った、これまでの経緯についてまずはまとめてみます。
乳児期の言語環境
約5年前にセブで生まれ(もうすぐ5歳です)コロナ前の2019年までは何度か数か月単位で日本に滞在したことがありました。
が、最後に日本に滞在したのが1歳半ほどの頃で「ママ~」とか「アンファンワン(アンパンマン)」など単語を数個言えるようになった程度。
さすがに幼すぎて当時の日本で過ごした時間はほとんと言語の発達に影響ないといってもいい状況でした。
従って娘の乳児期の言語発達はこれらの影響を受けてきました。
①ほとんどの時間を過ごしたセブの現地の言語環境(ビザヤ語)
②妻が意図的に娘に対して話す言語(英語)
まずフィリピンはセブ島。
現地の言葉はビザヤ語という言語です。
ビザヤ語って聞き馴染みがないかと思います。
Eは以前ビザヤ語を覚えようと思い現地の書店でビザヤ語のテキストと辞書を買って勉強しようと試みたことがありますが、ものすごく困難で諦めました。
何が困難だったかというと、英語のように文法などをきちんと体系的に解説していて、効率的に学習できるテキストがはば皆無だから。
要するに外国人にとってはめちゃめちゃマイナーな言語です。
そして「妻が意図的に娘に対して話す言語」というのが、英語です。
フィリピンで英語は公用語ですが、妻は英語のネイティブスピーカーではありません。
Eも判別できるくらい文法の間違いもあるし、使う語彙もそこまで多くありません。
ただ、妻は言語的才能があるのか平均的フィリピン人に比べると英語の能力は高いようです。妻が英語ネイティブと話すところを何度か見たことがありますが、問題なく流暢に会話しています。
ちなみに妻は日本で技能実習生をやっていたことがあって、同僚の技能実習生と比べて英語も日本語も一番能力が高かったです。
これまでの英語教育
どうして普段は現地のビザヤ語だけで日常生活になんの不自由もない妻が「意図的に」娘には英語で話していたのか。それは「Eがビザヤ語を理解できない」からです。
近年フィリピンの子供は小学校のうちから学校で英語での授業が始まり自然に英語を覚えます。現に現在高校生のうちのお兄ちゃん二人は英語で基本的な会話ができるようになっています。
要するにこれまでEと妻は、娘を「英語が第一言語」になるように育ててきました。
そのためにやってきたことが、
・妻は娘と英語で話す(最近はビザヤ語も混ざる)
・Eも基本英語で話す
・現在高校生の二人のお兄ちゃんも娘には英語で話す
・現地の言葉のテレビ番組は見ない
・Netflixなどでネイティブ英語のキッズ番組を見せる
などです。
妻とお兄ちゃん二人は普段からビザヤ語で話していますから、とりあえず娘はビザヤ語を聞きまくって暮らしてきました。
ただ、妻の話す英語の文法が正しくないために間違って覚えている英語も多々あります。
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これまでの日本語環境
では日本語とは全く接点がなかったのかというとそうでもありません。
カタコトの日本語を話せる妻は自分が馴染みのある日本語フレーズは極力娘に使うようにしていました。
今回の来日前までに娘が英語に混ぜて普段から使うようになっていた日本語フレーズの一例です。
「かわーい」 (妻の発音の特徴から「かわいい」が変化)
「おなかいたい」
「おはよー」
「はんたい」(「○○の反対」は英語だと結構面倒)
「ごはん」「おかず」
「はやく」
と、思い出せるだけでこの程度ですからホントに「外国人が聞きかじった日本語」のレベルです。
Eも普段から日本語に接することのできない環境下で日本語で話しかけても混乱させるだろうし、そもそも娘が全く理解できない言葉をごり押ししても楽しくないので、基本英語で話すことにしていました。
そのおかげと言っていいかわかりませんが、娘はEの完全日本語訛りの英語を理解してくれています。
テレビ番組のおかげでネイティブの英語も聴き取れています。
フィリピンではコロナ禍を理由につい最近まで2年以上、幼稚園も対面授業が中止されていました。
娘もこれまで一度も幼稚園というものに通ったことがないんですが、近所の同世代の子どもは英語が話せない子が多く、そのおかげもあってかビザヤ語もそこそこ話せるようになっています。
と、英語とビザヤ語に関しては順調に発達していると言っていいでしょう。
そしてやって来ました3年ぶりの来日。
果たして娘の日本語能力に変化は訪れるのでしょうか?
日本滞在での日本語能力の変化
7月から日本に滞在している娘の現在の言語環境はこうです。
・Eと妻は娘には基本的に英語で話す(妻はビザヤ語でも話す)
・テレビは日本の地上波が主
・YouTubeで日本のキッズチャンネルを見せる
・Netflixの英語チャンネルは見せない
・幼児用の五十音の教材で発音を教える(書き方はまだ)
・学校に通っていないため同世代の友達はいない
・日本語の絵本を読み聞かせる
セブにいても日本語のキッズコンテンツを見せればよかったじゃないかと思うことでしょう。
もちろんEも常々妻にそうするように訴えていました。
が、結局は娘自身が一番理解できる英語でのコンテンツを選択するし、理解できない言葉のコンテンツは興味を示さなかったりします。
一緒に生活することによってそこはもうEが口を出します。これまでと違うのはEが直接コントロールできるようになったことです。
とはいえ全てが順調とはいきません。娘が興味を持つかどうかにかかっています。
娘がYouTubeで外国のチャンネルばかり見ているとEが「はいこれ見て」と半強制で日本語の動画を見せます。
テレビでキッズ番組を放送する時間にはスマホを取り上げてテレビを見せます。
当初は娘もすぐに飽きたりしていました。
確かに、大人でも全く理解できない言語の映画やドラマを見るのって苦痛ですから当然ではありますよね。
ここ最近の変化
日本語コンテンツを見せる努力をゆるく続けていたら、ここ最近ようやく興味を持つようになってきました。
特に最近テレビで放送していた『となりのトトロ』はかなり気に入っていたようです。
あの映画をきっかけに日本語に興味を持ちだしたように思います。
どう変わったかというと、日本語の会話の中に出てくる日本語の単語の意味をEに聞いてくるようになりました。
そればかりでなくここ数日のことですが、逆に英語の単語を日本語でどう言うのかもEに聞いてきます。しかもかなりの数を。
「What is CAR in Japanese?」「What is RAIN in Japanese?」「What is FRIEND in Japanese?」
という風に。
日本語の絵本を読み聞かせる、これなかなか難しいです。
これ、子供がいる家庭なら普通の光景だと思いますが、Eも日本語の絵本の読み聞かせを試みました。
来日当初には娘の方から日本語の絵本を持ってきてEに読んで、と言ってくることもありました。
が、残念ながら「日本語の本はつまらない」と英語の絵本を妻の方に持っていったりします。
やはり動画コンテンツの力を借りる必要があるようです。
4歳といえば、日本人ならひらがなを教え始める時期ですよね。
我が家では、やっていません。
というのも、娘はいまだにローマ字や数字もほとんど覚えていないからです。
Eが強権を発動して自分の名前のローマ字の書き取りを練習させました。
おかげでこれまたほんの数日前に、自分の名前は書けるようになりました。
が、何度も書いて形状記憶的に覚えただけなので「A」は「エー」と発音する、といった形での文字の理解はまだできていません。
と、こんな状況なので、まるで象形文字のような文字がローマ字よりはるかに多くあるひらがなの書き方を教えようなどということはさすがにまだできません。
英語もきちんと教えなければとは思っているんですけどね。
現在のボキャブラリー
娘に日本語を覚えさせるのに「これをやればかなり効果があるはずだけど、なかなか実現が難しい」ことが、娘の同世代の日本人のお友だちを作る、ということです。
現在、短期滞在ビザでの滞在ということで幼稚園や保育園には通えないので、そこはどうしても難しいものがあります。
娘自身も人見知りするんで、他の子どもが大勢いる公共の幼児施設に連れて行ってもなかなか一緒に遊ぶというところまで行きません。
とはいえ、ほんのここ数日急激に日本語のボキャブラリーが増えて、こんなフレーズを使うようになりました。
「おなかすいた」「おなかいっぱい」
「○○たべたい」
「○○おいしかった」
「○○いこうよ」
「〇〇あった」
「おかあさん」
なんか、食べ物関連が多いですよね。
「おなかすいた」はなんとも悲しげな声で言うので、他の人が聞いたら貧しいかわいそうな子に聞こえてしまうかもです。
「○○あった」は「○○いた」との区別はまだついていません。
そしてこれらのボキャブラリーは日々増えている最中。
聞き取れるようになった言葉は話せるようになった言葉よりかなり多いです。
まとめ
近年、娘の言語発達が気になるEは、YouTubeなどでバイリンガルやトリリンガルのハーフの方々が発信している多くの語学の発育関連の情報を見ました。
現在日本語を流暢に話している彼らの多くは幼くして日本にやって来て、全く日本語を話せない状態で日本に飛び込み、始めは苦労しながらも日本語を克服し、二つ以上の言語を問題なく話せるようになっていたりします。
娘の、この時期の子供の脳の吸収力を信じて見守るしかないのかなと。
大人になって、30も過ぎてから英語や中国語の会話を勉強した経験のあるEには、文字を介さずに言葉を覚える彼らや、日々目にしている娘の様子は奇跡のように思えます。
子供の成長を見るのってめちゃめちゃ楽しいですよね。
今後も娘の言語の発達過程を紹介していきます。
次回をお楽しみに!