50代派遣社員の職歴紹介シリーズ続きです!
時は1990年代前半。世の中を舐めた就活をして、唯一内定をもらったレストランチェーンの会社に就職。新入社員研修を終え、三軒茶屋の店舗に配属されました。
前回の記事では、店長がボンクラで(マジですいません~)管理がゆるゆるなせいで新入社員Eは入社一年目を丸々アルバイト気分で過ごしたこと、社員もアルバイトも比較的見た目がいいメンバーが多く、Eはみんなと毎日をおもしろおかしく過ごしたこと、などを語りました。
さて、その後のEの活躍は?
なにしろ30年以上前なので、ところどころ記憶が曖昧です。
前回の記事です。
新入社員Eの仲間たち
前回記事で、サービス業という特性から見た目のいい学生アルバイトが多くいた、と語りました。
Eと同時に三軒茶屋に配属された高卒接客の二人、タナベとホリは早々にお気に入りの大学生男子ができたよう。
そんな学生バイトの面々の他、Eは今でも記憶に残る個性的な人物とも出会うこともできました。
そんなEが当時一緒に働いた珠玉のメンバーを紹介します。

にほんブログ村
タナベ
神奈川県出身の高卒一年目。
アイドル系のキレイどころ。仕事振りは天然そのもの。
後に学生バイトのサイトーと付き合うも、すぐ地元の男に心変わり。
秋を待たずして栄養士を目指すから、と退職。
ホリ
地方出身の高卒一年目。
見た目がよい新入社員が多い中、ホリは個性系。お気に入りのアルバイト男子ができたものの、試用期間が終わって本採用となった7月に多店舗に異動となり、1年を待たずに退職。
ワタベさん
入社3年目のEの大卒先輩で、新入社員の教育係。
年上だけどちっちゃかわいい系でやや天然。
Eとは職場内外で何かとかかわりがあったが、付き合ってはいない。秋ごろにいつの間にか調理場の中堅社員と付き合っていた。
ナリタくん
地方出身、近隣の私立大学3年生男子。
彼女いない歴=年齢。接客道に真剣に取り組む真面目な男。アスリート体形で見た目も中身も体育会系で、ドラムもたしなむ。
Eと後述のコバさんとバンドを組んで店で開催されたクリスマスディナーのイベントで演奏を披露する。
店に好きなバイト女子がいたが不発に終わる。
サイトー
地方出身、都心の私立大学2年生男子。
バイクに興味があり、中免を取ってバイクを購入(スズキのバンディット250)。その過程でバイク乗りのEにいろいろと相談を持ち掛けるなど、かなりEになついていた。
前述の高卒社員タナベと付き合う。が、タナベの突然の心変わりですぐ別れる。
シバくん
神奈川県在住、一流私立大学の2年生男子。
バイトメンバーで一番のイケメン。でありながら極度にシャイなせいで人生これまで彼女ナシ。
が、のちにバイトのタカコと付き合う。店一番の美男美女カップルだったが、お互い無口で行き詰まる。
「しゃべりは苦手で…」というシバくんにEがなにかとアドバイスするものの、すぐ別れる。
Eが異動後の翌年に新しく入った女子バイトと付き合う。Eが飲み会に呼ばれたときは新彼女と別人のように喋りまくって、超ラブラブだった。
タカコ
神奈川県出身の短大1年生。
絵にかいたような純粋おしとやか美少女。シバくんと付き合うも会話が弾まないことに悩む。
Eはシバくんにアドバイスする一方、タカコにもいろいろとアドバイスする。が、別れた。
タカコの短大卒業時、店の卒業メンバーのお別れ会に呼ばれたE。タカコがいつの間にかEと普通に楽しく会話できていて、しかも笑顔が普段の数倍かわいくて、無口だからとタカコを恋愛対象から外していたことを後悔した。
アキちゃん
世田谷在住のお嬢様系女子大3年生。
外見からしてお嬢様。家は高級住宅街にあり、タカコのいとこ。タカコはアキちゃんの家に下宿していた。
当初、後述のコバさんに気があったと思われるが発展はなかった模様。
一時Eにも思いを寄せていた節もあり。クリスマスには大学のサークル男子とディズニーランドに行くも、ノリが合わなかったらしく「Eさんがよかった~」とそこらで公言していた。
スズさん
近隣の私立大学3年生女子。
クール系美女でバイト仲間のアキちゃんと仲良し。心理学専攻で人間観察・分析が趣味。Eもことごとく分析される。
アキちゃんとスズさんはかなりEになついていた。間もなくスズさんはEにガチ恋をする。
コジマさん
配膳会所属の文学部女子。
店は慢性的人手不足のため、常態的に配膳会から人を雇っていた。
配膳会とは飲食業専門の派遣会社のようなもので、必要な時間だけ人材を派遣してもらう、今でいうタイミーが近い。
コジマさんは常連の配膳さんで、普段は私立大の文学部に通う学生。
帰りがEと(コバさんと)同じ世田谷線で文学好きのEと話が合うことからEに気があるのかと思いきや、いつの間にかコバさんの毒牙にかかってた。
やがて店に姿を見せなくなる。
特殊枠バイト
と、ここまでは学生バイトのメンバーでした。
三軒茶屋の店舗には特殊な出勤形態の別枠バイトが一人いました。
先ほどから度々名前が挙がっていた、Eが三十年以上たった今でも強く記憶に残っているコバさんです。
少し詳し目に紹介します。
コバさん
都内の旅行会社で働く26歳。
昼間の会社を終えてから三軒茶屋の店に出勤する。そのため出勤時間は不定でおよそ19時半頃に登場。
ピークタイムを半ば過ぎようかという時間に出勤して意味あるのかと思われるかもだが、ピーク後も従業員が交代で食事に入ったり、莫大な洗い物の拭き作業など充分人手が必要となる時間帯。
勤務歴は推定7~8年と長く、これまでにEのように三軒茶屋で若手時代を過ごした社員の面々と面識がある。つまり現在各店舗で活躍している店長たちとも仲良し、ということ。
イケメンではないが年齢プラス10歳くらいの貫禄あり。当時のEのコバさんへの評価は、異論はあったものの「セクシーな大人の男」だった。
立派な眉毛ともみあげでワイルド系だが、ベテランバイトということで店長クラスと同じ黒のタキシード着用のせいか、立ち姿はしなやか。
昼間よそで働きながら、わざわざ自宅と路線の違う三軒茶屋で夜遅くまでバイトしているのは女子目当てなのでは?と疑いたくなるほど、昔から店の女性と浮名を流していたらしい。
なるほどコミュ力も異常に高い。
若手メンバーにまんべんなく話しかけてくれて、全員を輪の中に巻き込むという心遣いもある。

と、夜のメンバーの中では年齢が上でバイト歴も長い異色のキャラがコバさんなのでした。
Eはコバさんとは帰りが同じ世田谷線とあって、時にはコバさんが乗り換える山下駅(小田急線豪徳寺駅)あたりでサシ飲みするなど、かなり親しくしていました。
お互いの近況(主に恋愛方面)も他言無用で情報交換していました。
特筆すべきは、この年の12月にEとナリタくんとバンドを組んで店舗主催のクリスマスディナーの席で演奏を披露したこと。
コバさんはバンド経験豊富で、バンドのリーダー。人生初めてバンドを組んだEはコバさんから音楽について(初歩中の初歩ですが)多くを学んだのでした。
まあ軽い人でしたが、彼のコミュ力や脱力系の生き方はEの人生に少なからず影響を与えていて、「コバさんならこうしていたよなあ」といつの間にか彼を模倣している自分に気付くことも。
コバさんはEが他店舗に異動した翌年、長年付き合った彼女と結婚して子供もできましたが、その後も店の女性たちへのアプローチは続いていたようです。
のちに三軒茶屋からEの在籍する店に移動してきた後輩大卒女子による「コバさんにはさんざん口説かれました」との証言もあり。
Eが名古屋に転勤した後、さすがに三軒茶屋のバイトは辞めたようでコバさんとの連絡は途切れてしまいました。
そんなわけで、後日Eがコバさんに貸した買ったばかりのエレキギター(5万円ほど)は一生返ってこないことでしょう…
![]() | Epiphone エピフォン SG Special P-90 Sparkling Burgundy SGスペシャルエレキギター by ギブソン 【 ボーナスセール 】 価格:54780円 |

このような、SGタイプのかっこいいギターでした…
人生初のバンド演奏
Eのバイト気分の就職1年目を飾る最大のイベントが12月の繁忙期に店舗で開催されたクリスマスディナーイベントでのバンド演奏でした。
毎年恒例となっているこのイベントは確か、お一人2万円ほどの宴席。
高級料理を振舞い、ビンゴで景品を配ったりとクリスマスを楽しんでもらう企画。
その年は40人ほどのお客さんが集まったんですが、この集客を可能としているのが多くの上顧客をもつベテランのナカノマネージャーの手腕なのでした。
この席を盛り上げるのに店長から「コバさんを中心にバンド演奏をやってくれ」との指名をいただいたのでした。
というのもやはりベテランバイトでバンド経験豊富のコバさんが、Eがギターにナリタくんがドラムをたしなんでいることに目をつけて、店長に提案していたようです。
この時すでに忘年会シーズンもピークの12月上旬。
Eもナリタくんも、そりゃ以前からバンドをやりたいからこそ楽器に携わっていたわけで二つ返事でOK。
客層は中高年の富裕層であることからオールディーズの曲を中心ということで、このようなセットリストに。
1.ベンチャーズの「Walk, Don't Run」
2.サザンの「そんなヒロシに騙されて」
3.ポール・アンカの「Diana」
4.ベンEキングの「Stand by Me」
バンドの編成がこれ。
コバさん:リードボーカル&リードギター
E:サイドギター、一曲だけリードボーカル
ナリタくん:ドラム
後年、アメリカのオールディーズの曲を演奏するライブハウスに入り浸るようになるEですが、この時点では正直ベンチャーズだのポール・アンカだのあまり馴染みがありませんでした。
この辺りはコバさんの指導を仰ぎます。
バンド名はオープニング曲のベンチャーズと三軒茶屋にちなんで「サンチャーズ」。って別にバンド名が人さまに知られることなどありませんでしたが。
後年60年代オールディーズにハマったE、YouTubeではドリフターズ(ドリフではない)の「Under The Boardwalk 」を演奏しています。
「Stand by Me」はスティーブン・キング原作の同名の映画の主題歌。
コードが超簡単なこともあり、Eの数少ないギターも弾ける持ち歌でもあったことから最後の曲としてEがボーカル。その他の3曲はコバさんがボーカルで決まり。
真夜中の練習開始!
さっそく練習!
まずは三軒茶屋から徒歩圏のナリタくんの狭いアパートへ。なぜ狭いかというと6畳の部屋の端っこにドラムセットが置いてあるから。ナリタくんはBOØWYに憧れて音楽を始めたクチ。
さすがにアパートでドラムなんて叩けないのになぜ買った?とは思ったものの、当日はこのドラムを店に持ち込んで演奏です。
ギターはEが高校生の時に買った初心者7点セットのもので、小さなアンプもついています。
なんと肝心のコバさんはギターを持っていない。しょうがないからEが買うことにしました。
「ぞうさん」と呼ばれるアンプ内蔵のギターです。
これでそこまで広くなく、歓声で音が聞こえなくなることもないであろう宴会場では充分な音量は確保できます。
![]() | IKEBE ORIGINAL ZO-3ST 1971YM (YWH) FERNANDES / Burny (新品) 価格:54780円 |

ボーナスが出たばかりのEは三軒茶屋の楽器屋でこのようなギターを購入。今と値段が変わらないですね。
このギター、無理やりゾウさんに形を似せていてコンパクト。わざわざアンプに繋がなくていいので家でエレキギターの練習をするのに最適です。この時のEたちのようにちょっとしたライブにも対応可。
Eとナリタくんはコバさんからコードなり、ドラムのパターンなり(Eはほとんどドラムの知識なし)を教わって、ひとまず各自持ち帰って練習。
約1週間後、仕事帰りに三人は下北沢の貸スタジオへ。
Eは貸スタジオなるものは初めてでしたが、日大商学部時代に地下の部室長屋(今もある?)の一角にあった軽音部やジャズ研のスタジオに似た雰囲気でかなり狭い。

そこで初めて楽器をアンプにつなげて演奏してみると、それまで完全独学のEのギターにいろいろと問題が発覚。
まず、コードストロークが無造作すぎてガチャガチャ聞こえるのでコバさんに矯正される。
そして自覚ゼロだったんですが、やたらとチョーキング(音を揺らす指技)をしたがるので「するな」と。
この時の一連の「練習→本番」を経験することによって、完全独学だったEの音楽スキルは飛躍的に上がったのでした。
そして「Diana」は、原曲がコバさんのキーに合わないから1度低くすることに。
なんと、Eはこの時初めて「ボーカルの声に合わせてキーを変える」ということがバンドでは普通に行われていることを知るのでした。
確かもう1回くらいスタジオでの練習をした記憶がありますが、12月の繁忙期で毎日仕事が11時を過ぎる中での練習は結構きつかったです。練習を終えて帰るともう朝が近いし。
その他の日は自宅で自主練習もするけど、今のようにデジタル機器がないから、スマホで録音して聴き返す、ということもできず、三人で合わせるのはスタジオでの時間が全て。
本番、緊張!
さてクリスマスディナーのイベント当日。実際はクリスマスの数日前に開催されました。
前夜にナリタくんのドラムセットを持ち込んで、店の宴会場で一回演奏を合わせてみます。バンドの一人がギターのチューニングをして、その音をアンプで拾って他のメンバーが音を合わせる、というやり方も初めて学びました。
お客さんが集まり、まずは普通に店のクリスマス特別コースが振舞われます。女子従業員は全員チャイナドレスを着用。
店長とナカノマネージャーによる「ビンゴでクリスマスプレゼント」イベント。
やがてEたちの出番です!
ステージには始めからドラムセットが置いてあるので、お客さんからすると「何か演奏するのかな」と察しはついていたはず。
それまで普通に仕事していた三人のサービスマンがギターをぶら下げてステージに上がります。
気分はアルバイトとはいえ一応社員のEが「クリスマスおめでとうございます」的な挨拶の後、オープニングはインストルメンタル曲の「Walk, Don't Run」。
ベンチャーズの「Walk, Don't Run」。レトロなインストルメンタル曲です。
Eはナリタくんのドラムとコバさんのリードギターに合わせて必死でコードを奏でます。
が、ミスも連発。
二曲目の「そんなヒロシに騙されて」でコバさんのボーカルが入り、お客さんも反応が出始めます。手拍子が入ったりなど。
そして三曲目の「Diana」。
前奏のリフはEが担当(超簡単)、チョーキングはなしで。
コバさんは最初英語歌詞で歌いだしますが、途中日本語歌詞も交えて熱唱。
すると、年配の着飾った女性の一人が席を立って踊り始めました!
それをきっかけにそこかしこでダンスが勃発ます。宴会場がダンスフロアと化しました~♪
これにはEたちもノってきます。
なるほど、「Diana」って当時の年配の方々にとってはお馴染みのナンバーなんですね。
コバさんもそのあたりよく心得ての選曲。
「ダイアナ」の日本語バージョンです。歌は山下敬二郎氏。
最後の曲、Eがボーカルの「Stand by Me」。
ギターはダメでも歌なら自信があるE、ここぞとばかりに熱唱。間奏のギターはEが自分で考えたオリジナルフレーズ、とはいえほぼジョンレノンバージョン。
この年の皆さまのクリスマスの夜(少し早いものの)を飾るひとコマになれた、のかな?
同名映画の主題歌にもなった元祖ベンEキングの哀愁漂う歌声。ちなみにジョン・レノンバージョンもかなり泣けます。
演奏を終え、店の奥に戻った三人はハイタッチ!
そこにはEの取り巻きのアキちゃんとスズさんもチャイナドレスで迎えてくれます。
二人の瞳にはうっすらと感動の涙も。
そんなわけで、この年のクリスマスディナーのバンド演奏はEの新入社員生活のクライマックスともいえるイベントとなったのでした。
恋の花咲く職場
話を職場に戻します。
今回紹介した若手従業員メンバーは大勢いる中のほんの一部、当時Eと比較的かかわりの多かったメンバーたちです。もちろんその他多くのメンバーと交流がありました。
世間一般、男女が集まる職場では恋愛が発生するのは自然な流れでしょうが、なにしろEも含めて若い、同じ世代の男女が集まっているわけですから、それはもうあちこちで恋愛が発生します。
三軒茶屋の店だけでなく、在籍したどの店でも同じだったし。
もちろん若かりし日のEもその渦に飛び込みました。
そりゃあもう毎日楽しくて。
こんな環境で「バイト気分」が1年も続くのは仕方ないことだということは、ご理解いただけるのではないでしょうか~。
ちなみにEは翌年3月に新宿の大規模店舗に異動します。
前回記事でも触れましたが、1年目を完全バイト気分で過ごしたEは2年目の新宿で、将来店長になるべく性根をたたき直され、鍛え上げられるわけです。
新宿の店舗と言えばそう、Eが就職活動の際に出会った、映画『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランド扮するドン・コルレオーネのような風格を漂わせる、あの店長がいる店。
2年目にして、憧れだったコルレオーネ店長のもとで働けることになるのでした。
Eの就職活動についての過去記事。「あの店長」が登場します。
新宿の店舗ではEの店での身の振り方も大きく変わり、仕事終わりに飲みに行くのもバイトの面々ではなく、店長や副店長、マネージャーなどの社員メンバーたちとなり、2年目からは店の従業員との恋愛沙汰も自粛するようになりました(ゼロではない…)。
では、新人Eの仕事ぶりはどうだったんでしょうか?
それは次回ということに。
まとめ
前回記事の終わりに「近日公開」としておきながらかなりの長文となったため更新遅れました~。
しかも人生初のバンド演奏という、職業紹介とはほぼ関係ない事柄ついて詳しく語ったため、肝心なEの仕事ぶりはまた今度。
完全にEの思い出話の回となりました。
ともあれ、Eの職業人生でこれほどまでに楽しい時を過ごせたことは、この新卒1年目の三軒茶屋、と台湾での日本語教師時代くらいのもの。
さて、当時のEが密かに恐れていた「将来店長になる」ための経験値不足問題は2年目に新宿の大規模店舗に異動すると同時に露見します。
さて、Eはこの後どんな試練を受けるのでしょうか~
次回をお楽しみに!
