2002年のアジア放浪シリーズ、タイ正月で軽いうつ状態になった話の続きです。
水掛け祭とも呼ばれるタイ正月(ソンクラーン)でにぎわうバンコクを再び訪れて、三日三晩水を掛けられまくってうんざり。
軽いうつ状態にになりかけていたEですが、それなりに楽しんでもいました。
この時のバンコク滞在では、Eが常宿としていたカオサン通りの裏通りのゲストハウス近辺で知り合った日本人旅行者と一緒にあちこち観光したのでした。
今回はその時の模様、ワットポーやウイークエンドマーケットなどのバンコク観光とについて語ります。
前回の記事です。
タイ正月に観光!
前回記事のおさらいです。
前回タイに滞在した時に他の旅行者から、タイ正月はとにかく盛り上がる、めっちゃ楽しい、絶対に体験してみるべき、と聞かされていたE。
タイ正月を体験するためだけにシンガポールからマレー半島を逆走してバンコクに舞い戻ったE。
確かに、絶対体験してみてよかったタイ正月でしたが、三日三晩水を掛け合うお祭り騒ぎに嫌気がさして、軽いうつ病になりかけた、というのが前回の記事でした。

うつ状態でこの表情…
実はタイ正月、「水を掛け合う」というばかりではなく「泥のような白い粉をなすり付け合う」というおまけ付き。
街はこのようなゾンビであふれています。

タイ正月に出現するゾンビたち 撮影:E
その挙句、水と泥で早朝のカオサン通りはこの有様…

タイ正月早朝のカオサン通り 撮影:E
まるで雪が降ったかのように道路が真っ白に。
いかにとんでもない騒ぎが繰り広げられていたかがうかがえます。
これで、なぜEがうつ状態にまで至ったのかを察してもらえたのではないでしょうか~
カオサンの日本人旅行者
これも前回記事で紹介しましたが、この時のバンコク滞在で知り合った日本人旅行者が二人。
ママズハウスという安宿で同宿だった関西人のやっちゃんと、近所のゲストハウスに泊まっていたヒロミちゃんでした。
廃人系旅行者やっちゃん
やっちゃんは、ママズハウスの入り口にある共有スペースでいつも顔を合わせていて、一緒に近所にご飯を食べに行ったりしていました。
タイ正月中、やっちゃんは夜になると大音量の音楽でディスコ状態になったカオサンで踊り狂っては、翌朝になると「体が痛え~」といってママズハウス2(ママズハウスには別棟もあった)でタイマッサージを受けていました。
タイ正月の盛り上がり真っ最中のカオサン通りでは、カーリーヘアに日焼けしていて現地人かと思われるほど日本人離れしたいでたちに、未開の地の宗教的な踊りを彷彿とさせる異様な舞いを上半身裸で一心不乱に舞っていたやっちゃん。

こんな感じです。これはアフリカの踊り?
Eがカオサンのコンビニに買い物に行くと、たまたま踊り狂っているやっちゃんに見つかりました。「Eちゃん、一緒にどう?」と声を掛けられたんですが、仲間と思われたくないのと、無視するのも悪いという気持ちとがせめぎ合った末、「あー、あ、あ、あ…」と訳の分からないごまかし方でその場を離れたEでした
意識高い系旅行者ヒロミちゃん
そして東京のOLで、長期休みを取ってバンコクひとり旅に来ていたヒロミちゃん。
ママズハウス近辺には日本人旅行者がよく訪れるゲストハウスが軒を連ねていて、ヒロミちゃんとはそのうちのひとつ(確か「グリーンゲストハウス」か「フレンドゲストハウス」のどれか)でEが「ゴルゴ13」を読んでいる時に知り合った、と記憶しています。
そういえば、あのあたりの日本人宿って今は軒並み閉業しています。
当時のカオサンは日本人旅行者がめっちゃ多かったんですが、2015年にEが最後にバンコクを訪れた時でさえ、「GHゲストハウス」くらいしか残っていなかったし、そこも現在Google Map上では存在していないようです。
日本の若者、あまり海外旅行しなくなったようですね。
日本円が弱くなったことも影響しているのかな?
昔の日本円は最強でしたからね。
2015年の中国正月にカオサンを訪れた時のYouTube動画です。
それはさておき、Eがこの時出会った日本人旅行者ヒロミちゃんは廃人系のやっちゃんとは対極にある今でいう「意識高い系」の旅行者でした。
そもそも女子が一人で海外旅行をしようという時点で何かしら「目的意識」があるはずなんで、彼女はもう立派な意識高い系なわけです。
Eは違います、意識低い系でした。
日本が合わない、外国人と交流するのが楽しい、など様々な理由で「海外移住」のきっかけをつかむという現実的な目的のために旅をしていたので、「自分探しをしたい」的な意識はなく超有名な観光地もスルーしたりしていました。
「この街っておもしろそう」と思った場所でなんとなく移住のきっかけが落ちていないかなあ、と外国での貧乏生活を楽しみながらダラダラと過ごしていただけです。その結果、放浪の旅は一年に及びます。
ヒロミちゃんは旅の最中、常にカオサンのお土産屋で売っているようなアジアの民族衣装的な服を着てアジア風の下駄のような靴を履いて過ごしていました。
タイ正月の真っ只中に知り合ったヒロミちゃんとは、カオサン周辺だけでなくバンコクのあちこちの観光地にも足を運んだのでした。
バンコク再探訪
水掛け祭の狂乱の中、ヒロミちゃんと出かけた場所がこれでした。
①カオサン周辺、エアロビ公園など
②ワットポー
③モーチットのウイークエンドマーケット
まずはタイ正月真っ最中のカオサン周辺で水の掛け合いを楽しみます。
と、Eはもう初日からうつ状態が始まってはいたんですが、女子と一緒となれば話は別ですよね。
ヒロミちゃんはタイ初心者ですが、Eは前回に1か月以上滞在してこの辺りはそこそこ慣れています。
カオサン通りに始まって、夕方に市民が大勢集まってエアロビをするチャオプラヤ川沿いの公園などを案内します。

カオサン近くのエアロビ公園 カオサンを離れて一息つくE 撮影:現地のタイ人
この写真のE、あのうつ状態の仏頂面とはだいぶ表情が違うような。
ヒロミちゃんはというと、果てしなく続く水の掛け合いをそこそこ楽しんでいたようでした。
やっちゃんといいひろみちゃんといい、うつになっていたのはEだけ?
バンコク定番観光地、ワットポー
タイ正月三日目は、ワットポーというタイ仏教のお寺に。ちなみに「ワット」とはタイ語で「お寺」のことです。
⇒ ワットポーについて詳細はこちら
実はこの時点でEはワットポーに行くのは3回目でした。
1回目は一人で、2回目は前回のバンコク滞在時にパリピのみあちゃんと、そして3回目がヒロミちゃん。
バンコク初心者を定番のこの場所に連れてきては「わあ大きい」「え~寝てる~」といったリアクションを聞くわけです。
そして実は、この数か月後にも4回目もあるのですが、それについては後日語ります。

ワットポーの巨大な寝釈迦像 撮影:E
ワットポーはカオサンから近く、普通はタクシーかトゥクトゥクで行きますが、歩いても30分はかかりません。
一応バスもあります。バスが最安ですが、バンコクのバスは行き先がわかりにくいのであまりおすすめしません。
Eのように長期滞在者、またはリピート旅行者ならバスのルートを覚えると格段に便利です。今ならスマホで簡単に行先を調べられるかな?
ちなみにバンコクのバスには路線の番号しか表示されていません。
ワットポーの観光、実はあっという間に終わってしまいます。
次に訪れたのはヒロミちゃんのリクエスト、Eも初めてのモーチットのウイークエンドマーケットでした。
ここではちょっと衝撃的な出来事がありました。
広大なウイークエンドマーケット
Eは他の旅行者がそう呼ぶので「モーチットのウイークエンドマーケット」と呼んできましたが、正式名称は「チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケット」というようです。この名前は全然覚えられる気がしませんよね。
バンコクのBTSスカイトレインのモーチット駅の近くにある巨大なウイークエンドマーケット。
バックパックひとつで長旅をしているEには、お土産を買いこむなどもっての外なので、それまで買い物には興味のなかったE。
とはいえ、旅行者の中でも人気のスポットなので一緒に行く人がいるのなら話は別。
ワットポーを出るとタクシーでウイークエンドマーケットへ。

チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットにて(2015年) 撮影:E
このウイークエンドマーケットですが、とにかく広大でとにかく店が多いです。
最新情報によると「広さは約1.13キロ平方メートルに及び、15,000店舗以上が軒を連ねています」とのこと。
⇒ チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットについて詳細はこちら
ヒロミちゃんと広大なマーケットを見て回るんですが、ここでEの個人的な内面の問題、とでもいうのでしょうか?
実はE、せっかく知り合った旅友と観光をしているのに、こともあろうにヒロミちゃんに対してイライラしてきていたのでした。
まずヒロミちゃん、意識高い系の旅人で前述のように現地の伝統文化的な衣装をまとっているんですが、何やら布を巻いただけのスカート風に、日本の下駄のような歩きにくそうなサンダルを履いていました。
価格:2780円 |
↑↑ こんな感じです。
するとどうなるかというと、
歩くのがめちゃめちゃ遅いのでした…
Eは旅といえば、できるだけあちこち見て回りたいので基本めっちゃ速足で歩きまわります。
牛歩に近いヒロミちゃんのペースに合わせるのはきつくて…
それにEは今でこそアジアン雑貨は大好きですが、あまり買い物自体に興味はなく、しかも女性の買い物に付き合うのはもっと苦手だったのでした。
ここが日本語の本が売っている書店だったり、現地の食料が売っているスーパーとかだったら全然見て回れるんですが、女子の好むようなお土産を長時間見て回るとなると、マジできついです。
これ男性ならほとんどが共感してもらえるかと思うんですが…
そしてさらにEに追い打ちをかける衝撃の事件が起こります
日本人女性、切り裂きスリに遭う!
割と人の多い一角を二人で歩いている時に、ヒロミちゃんが何やら後ろを気にしだします。
ヒロミちゃんはこの時、やはりカオサンのお土産屋で売っているようなアジア風の布製の小さめのリュックを背負っていました。
価格:3080円 |
↑↑ こんな感じだったかな。
しばらくすると、タイ人の若い女性がヒロミちゃんにタイ語で何やら話しかけてきました。
女性はヒロミちゃんのリュックを指さし何かを伝えようとしています。
と、ヒロミちゃんがリュックの異変に気付きました。
リュックの横が何かで切り裂かれて、財布がはみ出ていたのでした。
ヒロミちゃんが財布の中身を確認すると、お札だけが抜かれていたとのこと。
その額、3,000バーツほど。
当時は日本円で1万円くらいです。
これにはEも驚きでした。
旅行ガイドブック「地球の歩き方」にも、タイにはこういった旅行者を狙った犯罪が頻発していることは書いてありましたが、前回1か月以上の滞在では特にそういったことは起こらず。
まさか、一緒に歩いている人がこんな犯罪に巻き込まれるとは。
しかも財布からお札だけを抜いてまた戻す、という高等技術まで披露するタイの切り裂きスリ。
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ここでE、ショックを受けているヒロミちゃんを慰めるべきなんですが、上手く言葉が出てきません。
なぜなら、
めっちゃ面倒なことになった~
としか思えなくなっていたからです…
はい、心狭いですよね。
でもこれがタイ正月の水掛けでうつ状態になっていなかったら、もっと別の対応もできていたはずなんですよ。
ヒロミちゃんの歩みが遅くてイライラ中だったせいもあって、その場では「えーひどいな」とか「最低だなー」とか言いながらも顔が引きつっていたのではないかと思われます。
それにE自身も大好きだったタイでこんなことが起こって、失望というかがっかりした感情であふれていました。
かろうじてE、「何か飲もうよ、おごるからさ」と、飲み物屋台でひと休み。
めっちゃショックを受けて落ち込んでいたヒロミちゃんも、少し笑顔を取り戻したような。
夕方になってエアコンなしの市バスでカオサンに帰ります。
タイ正月の水掛けはバスの車内の乗客も容赦なくターゲットとなり、Eもヒロミちゃんもまた服を濡らされます。
かと言って窓を閉めるとバス内はサウナ状態。
Eのうつ状態は確実に進行していくのでした。
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まとめ
こうして、2002年のタイ正月の三日間が過ぎました。
楽しいはずの旅友との観光も容赦ない水掛けと切り裂きスリで楽しみも半減。Eのうつ状態は深まっていきます。
放浪の旅も始まってから4か月ほどが経過。うつの原因には旅の疲れもあったのではないかと思われます。
タイ正月が終わると、シンガポール在住の日本人に紹介された日本語教師の働き口、台湾への渡航準備に入ります。
「海外移住のきっかけをつかむ」という旅の最大の目的のため、まだ見ぬ地「台湾」へと向かうのでした。
このあと旅は初の台湾へと移ります。
次回をお楽しみに!
アジアン雑貨は今も大好きです♪